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アキバでVista SP1記念イベント――XP SP3との比較ベンチも「ライバルはXP」

3月15日にWindows Vista SP1が発売解禁となり、アキバで記念イベントが開かれた。招かれたライター陣やインテルの天野氏、そしてショップ店員もあけすけにWindows Vistaについて語った。

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マイクロソフトがWindows XP SP3との比較ベンチ結果を公開

Windows Vista Ultimate SP1 Σ発売記念イベント会場

 3月15日、「Windows Vista with Service Pack 1」(Windows Vista SP1)の各バージョンが発売解禁となり、DSP版の限定パッケージ「Windows Vista Ultimate SP1 Σ」も各ショップの店頭に並んだ。これを記念してVistaマニア事務局は「Windows Vista Ultimate SP1 Σ発売記念イベント」をカフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店で開催。アキバに訪れた大勢の自作ユーザーで会場は賑わっていた。

 イベントはマイクロソフト三橋氏によるVista SP1の解説で幕を開けた。すでに公開されているSP1の改良点を説明したあと、VistaとVista SP1のベンチマーク比較に加え、「気になっているユーザーもいるかと思います」と、6月までにリリースされる予定のWindows XP SP3(RC3)との比較データも公開。ファイル検索速度はVista SP1がXP SP3より99%高速化され、ファイル圧縮も同じく25%高速化されるなど、Vista SP1の性能の高さを示す結果となっていた。

マイクロソフト三橋氏の「Windows Vista with Service Pack1(SP1)概要のご紹介!」(写真=左)。VistaとVista SP1のベンチ比較。SP1を適用すると、複数ファイルのローカルコピーで約10%高速化したほか、バッテリー駆動時間も約30%延長されるという(写真=中央)。Vista SP1とXP SP3(RC3)との比較データ。初公開とのこと。わずか15分のセッションながら、濃い内容となっていた(写真=右)

 続いて、テクニカルライターの笠原一輝氏と高橋敏也氏によるVista SP1のセッションがスタート。笠原氏は、Direct 3D 10.1対応やBitLocker機能の拡張、ファイルコピーの高速化など、Vista SP1の改善点を一通りおさらいしたあと、独自に行ったベンチマークの結果を公開した。バッテリー駆動時間が向上した結果から「XPからVistaに変わった際に少なくなった駆動時間が、これで取り戻せたんじゃないかと思います」と語った。

 高橋氏は、この日のために組んだVista SP1マシンを披露。セットアップの過程でほとんどのドライバをOS側が認識したとのことで「大げさにいうと、OSさえ入れればあとは最適なドライバを勝手に用意してくれる場合もありますね」と話した。また、セットアップはわずか35分で完了したという。

笠原一輝氏の「テクニカルライターから見た Windows Vista with SP1について!」(写真=左)。Mobile Mark 2007/battery life ratingの結果を公開。Vista SP1が若干高いスコア(長い駆動時間)を示している(写真=中央)。高橋氏は代理店から借りたパーツやケースでVista SP1マシンを組んだという。手に持っているのは、「代理店さんは僕が持っていったのを気づいていないかもしれない」というIntel X48マザーボード(写真=右)

「Core 2 Duo E8000シリーズの状況は5〜6月にはよくなっているかな」と神様

 イベントで一番の盛り上がりを見せたのは、夕方からの「Windows Live 活用シナリオ紹介」と、それに続く“神様”ことインテルの天野伸彦氏によるセッションだった。

 「Windows Live 活用シナリオ紹介」では、ライターの清水理史氏とスペシャルゲストの鈴木千絵理さんが登場。鈴木さんが壇上に立った際は客席から歓声が飛ぶなどして、場の空気が一気にヒートアップした。Windows Liveの便利な機能を紹介しつつ、「学校では数人の友達に待ち合わせ場所とかを送るときに“メッセ”(Windows Messengerのこと)を使っています」と、工学系の学校に通っている鈴木さんのPC活用法が明かされるなど、にぎやかなステージとなった。

清水氏と鈴木さんによる「Windows Live 活用シナリオ紹介」(写真=左)。メッセをよく使うという鈴木さん(写真=中央)。人の入れ替わりがあったものの、“神様”セッションまでのあいだは常に会場が満員だった(写真=右)

 そして、Core 2 Duo E8000シリーズの深夜販売ぶりにアキバに姿を現した天野氏は、同CPUが品薄になっている現状をわびるところからセッションを始めた。

 「少しずつ状況は改善されていますが、Core 2 Duo E8000シリーズはまだ潤沢に供給できる状態にありません。希望的観測も含めて考えると、5〜6月のボーナス時期には状況がよくなっているんじゃないかなと思います」とコメント。また、3月下旬に登場する予定のCore 2 Quad Q9000シリーズについては、「Core 2 Duo E8000シリーズ以上に供給状況が厳しくなるかもしれません」と語った。

 Vista SP1については「セットアップが20分ちょっとで完了したのは驚きました。これはいいですね」などと、おおむね好意的。一方、プレゼン画面のトラブルにあわてた際に「ちゃんと操作できてないかと焦りました。Vistaに慣れていないのがバレちゃいましたね」とジョークを飛ばしたり、「(Vista SP1の)宿敵のライバルは身内だ!」と、Windows XPとの魅力を比較するプレゼンシートを作ったりと、やりたい放題で観客を喜ばせていた。

2カ月ぶりにアキバに降臨した天野氏(写真=左)。「ゴージャスなPCや先進的な技術を追求するならVista、質実剛健を目指すならXP」(天野氏)と、2つのOSの選び方を語った(写真=中央)。最後はテクニカルライター陣のパネルディスカッションと、プレゼント抽選会で幕を閉じた(写真=右)

「良くも悪くも、こんなもんでしょう」――ショップの率直な感想

 アキバのPCパーツショップ各店舗も盛り上がりでは負けていない。同イベントと連動したスタンプラリーが複数の店舗で行われていたほか、ドスパラ秋葉原本店は同社専属のブログタレント「プリマベーラ」によるダンスステージを設けるなどして、複数の店舗に人だかりが発生していた。

各店舗には特設のスタンプラリーコーナーが用意され、スタッフがSP1 Σをアピールしていた(写真=左)。ドスパラ秋葉原本店前で行われたプリマベーラのダンスステージ(写真=中央)。当日は街のいたるところを、Vista SP1イベントの宣伝カーが巡回していた(写真=右)

 Windows Vista SP1の売れ行きについては、多くのショップが「良くも悪くも、予想通り」と答えていた。

 フェイス パーツ館は「順調に売れていますが、爆発的なヒットという感じではないですね。まあ、SP1が出たといっても焦って買う必要はないので、これから徐々に浸透していくと思いますよ」と語る。また、T-ZONE.PC DIY SHOPも「大ヒットしているかといえば、そうでもない感じ。7980円の500GバイトHDDは12時までに200台全部売り切れましたけど。ま、これからでしょ」とそっけない。

クレバリー1号店に並んだWindows Vista Ultimate SP1 Σ

 ただ、一部のショップは予想以上の売れ行きを記録している。TSUKUMO eX.は「ツクモ缶は64ビット版がほぼ売り切れ状態となっています。32ビット版も週末までになくなる可能性が高いですね。Vista SP1は全体的に順調ですよ」と話し、クレバリー1号店も「ようやくVistaが動き出したという感じです。SP1 Σだけでなく、普通のUltimateやHome Premium、Businessも人気が出ています」とうれしそうな様子だった。

 取材したすべてのショップで強烈にネガティブなコメントはなく、全体的な印象としては、ぽつぽつとVistaが受け入れられる土壌ができあがっていく過渡期という印象を受けた。SP1の登場は、Vistaが一気に普及する決定打とは言い切れない状況だが、少なくとも好材料にはなっているようだ。

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