検索
レビュー

「UP2414Q」――画質も価格も衝撃的な23.8型“4K”ディスプレイは買いか?外付けディスプレイもRetina化へ(3/4 ページ)

ここ数年でスマホやタブレット、ノートPCの高画素密度化は一気に進んだが、外付けの単体ディスプレイは画面サイズの大きさから対応が遅れてきた。しかし、デルが投入した「UP2414Q」ならば、約24型で4K対応の高精細表示を(しかもお手ごろ価格で)手に入れられる。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

キャリブレーション機能でAdobe RGB/sRGBの色再現性を確認

エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro 2」(左)と「i1Display Pro」(右)。これらを別途用意すれば、専用ソフトウェアによるキャリブレーションが行える

 感覚的な話が続いたので、次は測色器を用いて表示精度についてチェックしよう。UP2414Qは、独自のハードウェアキャリブレーション機能も搭載する。

 付属の専用ソフトウェア「Dell UltraSharp Calibration Solution」と、エックスライトのカラーキャリブレーションセンサーである「i1Display Pro」または「i1Pro」シリーズを用いることで、UP2414Q内部の14ビットLUTに直接アクセスして調整し、長期にわたりディスプレイの表示を一定に保つことが可能だ。

 今回はこのソフトウェアとi1Pro 2により、UP2414Qのカラーキャリブレーションを行い、その結果からガンマカーブの精度と色域を検証した。キャリブレーションでは色域のターゲットとして「Adobe RGB」もしくは「sRGB」を選択し、それぞれのICCプロファイルを作成した。ターゲットの輝度は、Adobe RGBでは120カンデラ/平方メートル、sRGBでは80カンデラ/平方メートルに設定している。

「Dell UltraSharp Calibration Solution」は、エックスライトのソフトウェア「i1Profiler」をデル用にカスタマイズしたもののようだ。メニューの構成はi1Profilerと同様で、画面の案内に従って作業を進めていく。設定した目標値に対して、計測と調整は自動的に行われるので、手軽に高精度なキャリブレーションが可能だ

 まずはガンマ補正カーブの結果だが、入力と出力が1:1の関係、グラフでいえば右上がりの直線になるのが望ましい。結果を見るとAdobe RGB、sRGBの双方とも非常にキレイな直線が描けている。上端、下端ともズレておらず、上から下まで入出力のバランスが取れた優秀な結果が得られた。キャリブレーションの所要時間が長いのは少し気になるが、これだけ素晴しい結果ならば、多少の不満は吹き飛んでしまう。

ガンマ補正カーブの結果。Adobe RGB(画像=左)の設定も、sRGB(画像=右)の設定も入力と出力が1:1の関係になっており、階調の再現力は高い。もともとRGBの3本線グラフなのだが、各線が見事に重なっており、グレーバランスは優秀だ。また、再現が難しい黒にごく近い暗部もRGBの各線が乱れていないのは特筆できる

 次は色域だが、先ほど作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティによってグラフにプロットしたものを図示している。色の付いた部分がUP2414Qで表示できる色の範囲で、薄いグレーの部分がAdobe RGBもしくはsRGBの規格で定められている色域となる。当然ながら色の付いた部分と薄いグレーの部分が重なっているほうが、Adobe RGBもしくはsRGBの色を正しく再現できる。

 Adobe RGBの結果ではブルーからグリーンにかけての領域でわずかに不足する部分が見られるものの、ほぼ大半をカバーでき、紫から赤にかけてはより鮮やかな表示が可能だった。一方のsRGBはほぼ一致しており、ブルーとグリーンの領域にごくわずかなグレーが見えるだけだ。

 4Kの精細表示に対応するだけでなく、標準的なsRGB環境での作業はもちろん、フォトレタッチやデザインなどAdobe RGBが必要な環境でも十分に利用できる色再現性の高さを備えている点は高く評価できる。

Adobe RGBの目標値で作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、色域を確認した。色の付いた部分がUP2414Qの色域、薄いグレーの部分がAdobe RGBの色域だ。ブルーからグリーンにかけての領域でわずかに不足する部分が見られるが、ほぼすべてをカバーし、紫から赤にかけての領域はAdobe RGBを超えている
sRGBの目標値で作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、色域を確認した。色の付いた部分がUP2414Qの色域、薄いグレーの部分がsRGBの色域だ。sRGBをほぼ100%再現できていることが分かる良好な結果だ

シンプルながら調整範囲の広いスタンド&高機能

シルバーとブラックのツートーンカラーを採用。液晶ディスプレイのフレームも4K対応モデルにしては太くなく、スッキリした印象だ

 次はボディデザインを見ていこう。カラーはデルらしく、シルバーとブラックのツートーンで構成している。シンプルな外観で、パネル部、スタンドとも無駄な凹凸がなく、美しい仕上がりだ。

 4Kと聞くと巨体を想像するかもしれないが、本体サイズは569(幅)×192(奥行き)×371.1〜501.7(高さ)ミリ、重量は約7.1キロ(スタンドとケーブル含む)と、意外にかさばらない。4K対応モデルながら、専有面積は24型フルHDモデルと同じで済む。一方、消費電力は標準90ワット、最大120ワット、スタンバイ時で1.2ワット以下と、同サイズのフルHDモデルよりかなり高い。

 スタンドの調整範囲は広く、上6度/下22度のチルト、左右各45度のスイベル、130ミリ範囲の昇降、そして90度回転させての縦位置表示も行える。台座部が薄いので、写真からは少々頼りなく映るかもしれないが、実際はしっかりと重量があり、安定感もあるので不安はない。100ミリピッチのVESAマウントにも対応している。

チルト調整に加えて、画面はかなり下げられるので、自然に表示を見下ろす姿勢で利用できる
シルバーのスタンド部を外して、100ミリピッチのVESAマウントを利用することも可能(写真=左)。スタンドの台座には左右のスイベル機構も設けられている(写真=右)

 パネル部の背面には各種インタフェースが並ぶ。前記の通り、映像信号の入力端子はDisplayPort、Mini DisplayPort、HDMIの3系統だ。さすがにこのクラスでは、アナログRGB入力が省かれている。音声の入出力端子はないが、オプションで液晶パネル部の下に装着するステレオスピーカー「USBサウンドバー(AC511)」を利用可能だ。

 また、USB 3.0の端子もアップポート1基、ダウンポート4基を搭載。ダウンポートのうち1ポートはBC1.2(USB給電)に対応し、抜き差ししやすいよう水平方向に向いた端子を他のポートからやや右に離した場所に置いている。液晶パネルの左側面には、メモリカードリーダー(SDメモリーカード/MMC/メモリースティック PRO対応)も装備した。

 製品にはMini DisplayPortからDisplayPortへの変換ケーブル、USB 3.0アップケーブル、電源ケーブルが付属する。

液晶パネル部の背面には、左から電源、DisplayPort、Mini DisplayPort、HDMI、USB 3.0アップポート、USB 3.0ダウンポート3基、そして少し離れた場所にBC1.2(USB給電)対応のUSB 3.0ダウンも設けている(写真=左)。液晶パネル部の左側面にはメモリカードリーダー(SDメモリーカード/MMC/メモリースティック PRO対応)も搭載した(写真=右)

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る