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NVIDIAが最新GPU/モバイルSoCのロードマップを披露――GTC 2014基調講演まとめPascal、Erista、TITAN Z(2/3 ページ)

GPU技術会議「GPU Technology Conference 2014」のオープニングキーノートを振り返りつつ、ポイントをまとめた。

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GK110コアを2基搭載する「GeForce GTX Titan Z」

大量のデータを使って自らデータ検出などの精度を高めていく「機械学習(Machine Learning)」も、GPUコンピューティング利用に適した用途の1つ。

 同氏は続いて、GPUの並列演算処理性能を生かせる新しい分野として「機械学習」(Machine Learning)を挙げた。機械学習とは、コンピュータが大量のデータを使って自ら学習することにより、より精度の高い解析を可能にするもの。現在Googleと米スタンフォード大学が共同で構築した機械学習システムの「Google Brain」では、2 CPU構成のノードを1000台用意することで、2000 CPU/1万6000コアを実現しているが、その構築には約50億円(500万ドル)を要し、その稼働に必要な電力は600キロワットにも達する。

 そこでファン氏は、スタンフォード大学のAI(人工知能)ラボが採用している同社のシステムを紹介し、GPUを積極的に活用すればGoogle Brainと同等の性能を、3基のGPUを搭載したサーバたった3台で実現でき、そのコストは3万3000ドル、消費電力も4キロワットに抑えることができると、GPUコンピューティングの積極的な利用を訴えた。

Google Brainは、1000台のサーバで、2000 CPU/1万6000コアを搭載することで、機械学習を実現。しかし、人間の脳に比べれば、わずか500万分の1の能力しかなく、人間の脳と同等の学習機能を実現するためには4万年必要だという

そこで、GPUをもっと積極的に活用すれば、たった3台のサーバでGoogle Brainと同等の性能を実現でき、安価かつ低消費電力のソリューションになるとアピール(写真=左)。すでに、CUDAを利用した機械学習は、AdobeやIBM、Baidu(百度)などに採用されてきたほか、今回のカンファレンスでは、facebookやデンソーなども機械学習に関するセッションを開催している(写真=右)

 さらにファン氏は、新しいGeForceシリーズのフラグシップ製品として、GeForce TitanをデュアルGPU構成で搭載した「GeForce GTX Titan Z」を発表した。同製品は、GeForce Titan Blackでも採用されているGK110コア×2のフルスペックとなる5760 CUDAコアを統合し、各GPUに6Gバイト、合計12Gバイトの7Gbps動作のGDDR5メモリを搭載することで8TFLOPSの性能を実現する。その市場価格は2999ドルとなる見通しだ。

 同氏は、スタンフォード大学のAIラボが、このGeForce GTX Titan Zを採用すれば、同カードを3枚搭載した、たった1台のサーバでGoogle Brainと同等の性能を実現でき、そのコストはわずか1万2000ドル(約120万円)、消費電力は2キロワットに抑えられ、机の脇にGoogle Brainと同等性能をもったサーバを置くことも可能になるとアピールした。

GeForce Titan Zを披露するジェンスン・ファンCEO(写真=左)。2枚のGeForce Titanを1枚のグラフィックスカードに変形するイメージビデオを公開(写真=右)

GeForce Titan Zを機械学習に利用すれば、同カードを3枚搭載した1台のサーバだけで、Google Brainと同等の性能を実現するとアピール

 このほか、同社が新たに市場投入するクラウドレンダリングサーバの「IRAY VCA」の活用事例として、本田技術研究所が自動車の設計に利用している環境を、19台のIRAY VCA環境で実現。リアルタイムで実車そのものにしか見えない高品質の3Dモデルをレイトレーシング表示するデモも披露され、そのピーク性能は1ペタFLOPS(1000TFLOPS、なおキーノート内では1テラFLOPSと紹介された)に達するという。

 また、同氏は仮想化市場で最大手のVMWareが、同社GPUの仮想化に対応する予定であることも発表した。VMWareのベン・ファティCTOは、GPU仮想化に対応したHorizon Daas Platformの評価環境を2014年末にも提供し、2015年に正式サービスを開始する予定であることを明らかにした。

室内写真の片方は、3Dレイトレーシングによって作られたイメージだ

4Uラックマウントサイズの仮想クラウドレンダリングサーバー「IRAY VCA」。Quadro K5000に比べて20倍以上のパフォーマンスを実現しながら、システムの価格は5万ドルと安価な点をアピール

本田が実際の車体設計に採用している3Dレイトレーシングのデモ

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