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NASを使ってみたい? それなら「ASUSTOR」で1歩先を行くデジタルライフを始めよう真打ちNAS、連載開始!(3/3 ページ)

新興NASメーカー「ASUSTOR」は、エントリーモデルにもインテルCPUを採用し、同価格帯の製品では抜群のコスパを誇る。まさにこれからNASを導入したいと考えている人にうってつけなのだ。

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他のサービスに対するアドバンテージ

 ASシリーズは高性能かつ多機能を実現したNASキットだ。だが、そもそもNASを導入する必要性はあるのだろうか。数年前であればNASと競合する他製品は外付けHDDケースだった。しかし、現在であれば対抗馬となるのはオンラインストレージサービスになるだろう。

 ASシリーズを始めとするNASキットには次のようなメリットがある。

  • 書き込み速度が速い

 オンラインストレージサービスはデータセンターに設置された共有ストレージを利用する。そのため、ストレージへのアクセスは読み出し/書き込みともにインターネットを経由して行う。読み出しは利用するアプリケーションの要求する速度を上回れば実質上問題なく、しかもその速度はインターネット経由での利用を前提としていることが多い。

 だが、書き込みが生じるアプリはローカルドライブを前提とした速度で設計されていることも多く、オンラインストレージサービスではその要求に応えられない。ASシリーズなどのNASでは、書き込み処理が多く発生する作業は自宅の高速な通信環境、高速なプロトコルで行い、そうして作られたファイルはインターネット経由でどこからでも再生できるようにしておくことで双方のメリットを生かすことができる。

  • ローカルディスクに近い使い勝手

 クラウドストレージサービスの多くは特定のローカルディスク上のフォルダを同期させる仕組みだったり、Webインタフェースなどでファイルをアップロードするようになっている。その結果、ローカルディスクの容量不足を解決することができなかったり、アプリケーションから直接読み出したり、書き込むことができなかったりする。その場合はいったんローカルディスクに書き込んでからファイルをコピー(アップロード)するなど、シームレスとは言えない運用方法を強いられることになる。

 一方、NASの場合には「ネットワークドライブの割り当て」によってドライブレターでアクセスできるようになる。いったんドライブレターを割り当ててしまえば、アプリ側で特に対応をしなくてもローカルディスクのように利用することが可能だ。

  • バイト単価が安い

 AS-202TEに2TバイトHDDを2台、RAID 1構成で搭載した場合の初期導入費用は5万3000円ほど。初期費用はかかるものの、最安価サービスの1つであるGoogleドライブでも2Tバイトでは2000円強/月。2年以上の利用でAS-202TEのほうがトータルコストは安くなる。もっとも、オンラインストレージの場合は電気代や通信費用、バックアップやメンテナンスなどの保守サービスを含めての利用料金なので、そこを理解したうえで使い分けるといいだろう。

  • サービス事業者に依存しない

 オンラインストレージサービスはいつまでも利用できるとは限らない。事業見直しや運営会社の倒産などによってサービスが終了することもあれば、利用者自身が月々の利用料を負担できなくなってサービスを解約しなくてはならなくなることもある。

 そのときにはデータを失ってもよいのでない限りは、新たなストレージを確保し、限られた時間でファイルを移動させなくてはならない。テラバイトクラスの容量ともなると、1カ月かかっても終わらないということもあるだろう。

 また、オンラインストレージサービス事業者の中には事実上の検閲を行っているところ、現時点では行っていなくても利用規約によっていつでも検閲できるようになっているところ、利用規約を予告なく変更できるようになっているところも多い。

 例え暗号化されているから安全、とうたっていても、それは必ずしも事業者自身が閲覧できないことを意味しない。例えば、Webインタフェースで動画や画像のサムネイルが表示されるのであれば、その時点で事業者側の閲覧が技術的には可能であることを意味しているわけだ。

 自分は不健全なもの、見られて困るものは置かないから大丈夫、と思うかもしれない。だが、全年齢対象のライトノベルの挿絵を保存していただけでアカウントを停止させられたという事例も耳にする。アクセス権をきちんと管理している限り、NASではこのような心配は起こらない。

 オンラインストレージはオンラインストレージのよさがあり、一概にどちらが優れていると言えるものではない。双方の利点を把握したうえで相互補完的に利用したい。

ASシリーズの型番に隠された秘密

 原稿執筆時点でASシリーズにはAS2、AS3、AS6の3つのシリーズがある。そしてそれぞれのシリーズには2〜6機種がラインアップされている。これだけを聞くとシリーズ型番末尾の数字はベイ数、つまりAS2は2ベイ、AS6は6ベイと思うのではないだろうか。

 だが、実際はこの数値はCPU/メモリのスペックを表し、各モデル下一ケタの数字がベイ数を表している。つまり、AS-202T/AS-302T/AS-602Tはすべてが2ベイモデルだ。ほかのメーカーがまずベイ数でシリーズ分けしていることを考えると極めて異例の採番と言える。これはNASキットの処理能力を重視していることの現れだ。

ASシリーズ一覧。ベイ数ではなくプロセッサ/メモリなど性能でシリーズ分けしている

 他社のLinuxベースNASキットではエントリーモデルにMarvell製のプロセッサを用いていることが多い。ミドルレンジ以上ではIntel製プロセッサを採用するものの、Marvell製プロセッサはARM系であり、アーキテクチャとしては別モノだ。そのため、管理画面のインタフェースは全シリーズで統一していても、エントリーモデルではファームウェアのアップデートタイミングがほかのシリーズとは異なったり、リリースされない追加アプリケーションがある、といった制限が生じることがある。

 ASシリーズではクロック数、メモリ容量は異なるものの、全シリーズをインテルプロセッサのAtomで統一している。そのため、開発リソースを分散させることなく、すべてのモデルに対して品質のばらつきのないファームウェア、ソフトウェアを提供している。また、エントリーモデルであっても他社の競合モデルと比較してポテンシャルの高いプロセッサを搭載しており、コストパフォーマンスが高くなっているのも見逃せない特徴だ。

 ASシリーズの導入を考えた場合、どれにすればよいか迷うかもしれない。そのような人におすすめなのが今回冒頭で取り上げた「AS-202TE」だ。

 AS-202TEは最廉価モデルAS-202Tのバリエーションモデルで、メモリが2倍(AS-202Tが512Mバイト、AS-202TEが1Gバイト)に増えているほか、AS-202Tでは省略されたHDMIを搭載している。AS-202TとAS-202TEの価格差は5000円ほどだが、利用価値はそれ以上だ。ディスプレイに接続する予定がない、2台目として導入するなど、目的が明確で少しでもコストを抑えたいという場合以外はAS-202TEを選択するのがいいだろう。

 次回からはAS-202TEの具体的な導入方法や、目的に沿った活用術を見ていくことにしよう。

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