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達人レビュアーが選ぶ「2014年の私的ベストPC/タブレット」Surface、Core M、4K、5K、超小型……(1/3 ページ)

早いもので2014年もあとわずか。今年もさまざまな新製品が登場し、注目機種を次々にテストしてきたが、中でも個人的に強い印象が残ったPC/タブレットを挙げていこう。

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Microsoftが自ら示した“売れる2in1”――「Surface Pro 3」

 市場全体としてはやや地味な展開だったモバイル向けノートPC、2in1デバイスの中でも光る存在感を見せたのが、Microsoftの「Surface Pro 3」だ(国内では日本マイクロソフトが7月に発売)。

 先代の「Surface Pro 2」より大きな画面を搭載しながら軽量化し、さらにキックスタンドやキーボードカバー、ACアダプタの改良により、ノートPCスタイルでの使い勝手が向上し、利便性がより増している。ノートPCとタブレットを1台で両立できる2in1デバイスは、逆に中途半端になりがちだが、Surface Pro 3は最も成功した製品だろう。

2014年を代表する2in1デバイスと言えば、日本マイクロソフトの「Surface Pro 3」だろう。写真はキーボードカバー(Type Cover)を装着した様子

 筆者が考えるSurface Pro 3の売れている理由を優先度順に書き出すと、

  1. デザイン、スタイルがいい
  2. 画面が精細できれい
  3. キックスタンド内蔵で自立できる
  4. タッチ感のよいキーボードカバー(Type Cover)が用意されている
  5. タブレットとしてはパフォーマンスがよい
  6. ペンの書き味がよい
  7. (Microsoft Office込みでの)コストパフォーマンスが高い

 といったところだろうか。

 1〜2は、ダイレクトに感性に飛び込んでくる直感的な要素で、所有したい、購入したいという意欲をあおる。最近のヒット商品には共通する要素だろう。3〜5は、ノートPC的な使い勝手を考えた場合に重要だ。「少ない重量負担で」「スマートに」タッチ感のよいキーボードを携帯できるType Coverの存在は大きい。特に「少ない重量負担で」という点は重要で、ここが決定的に欠けている2in1デバイスは多い。

 ペンについては、購入前から必須と考えているユーザーはそう多くはないかもしれない。しかし、クラムシェルのノートPCにはない要素であり、「できなかったことができるようになる」「活用シーンがイメージしやすい」といったことから、新しいデバイスへの期待感を高め、購入を後押しする要素として影響は小さくないと思われる。

Surface Pro 3の大きな魅力の1つがペン入力機能。筆圧レベルの段階数は下がったものの、OneNote連携の強化によりデジタルノート用途で使いやすくなり、ペンの質感がよくなった。画面サイズがアスペクト比3:2の12型なので、紙のノートに近い感覚で書き込める

 最後の7は、自社でOSとOfficeソフト部門を有するMicrosoftならではの優位性を生かした要素だが、それ以外は他のメーカーでも実現可能なはずだ。ボディ自体、特別に薄いわけでも軽いわけでもなく、バッテリー駆動時間が特別長いわけでもない。他社からもよい点を抜け目なく取り入れた、より魅力的な製品の登場を期待したい。

超軽量“約745グラム”のCore M搭載2in1――「Let'snote RZ4」

 2014年後半に登場したIntelの「Core M」プロセッサは、他のカテゴリに先駆けて14ナノメートルプロセスルールをいち早く採用し、2in1デバイスに最適化したSoC(System On Chip)だ。第4世代Core Yプロセッサの後継にあたるが、従来比でTDP(熱設計電力)を60%削減することにより、性能とバッテリー駆動時間を両立するとともに、ファンレス設計も容易になった。

 その高いポテンシャルを印象付けたのが、パナソニックが他社に先駆けて投入したCore M搭載の10.1型2in1デバイス「Let'snote RZ4」だろう。

「Let'snote RZ4」は、Let'snoteとしての強みを維持しながら、Core Mの持つポテンシャルを見せつけた。360度回転ヒンジにより、タブレットスタイルに変形できる。定番のシルバーに加えて、ユニークなブルー&カッパーのカラーが目新しい

 クラムシェル型ノートPCとしての使い勝手を完全に備えたコンバーチブルタイプの2in1でありながら、約745グラムの軽量ボディ、パフォーマンス、長時間のバッテリー駆動時間、ビジネスモバイルとしての堅牢性を高いレベルで兼ね備えている(ヒートパイプ縮小による軽量化のため、Core Mでもファンを内蔵した)。

 10.1型IPS液晶ディスプレイも同社の従来製品より表示品質がよくなった印象だ。画面アスペクト比16:10(1920×1200ピクセル)の採用、ビジネス向け端子(アナログRGB出力や有線LAN)を備えるなど、Let'snoteらしさも健在だ。

想像力をかき立てるスティック型PC――「m-Stick MS-NH1」

 年末に大きな注目を集めたのが、マウスコンピューターの「m-Stick MS-NH1」だ。わずか重量約44グラム、ちょっと大きめのマルチカードリーダーのようなボディでAtom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz)をはじめシステム一式を内蔵し、Windows 8.1 with Bing(32ビット版)が動くのだから面白い。

手のひらサイズで2万円切りのWindows PC「m-Stick MS-NH1」。マウスコンピューターの勢いを感じさせる製品だ

 電源についてはMicro USBポートからの給電で動作し(ACアダプタ付属)、HDMI出力端子の搭載でテレビやディスプレイのHDMI入力端子に直接差して使うことが可能だ。IEEE802.11b/g/nの無線LANとBluetooth 4.0+LEも搭載し、Bluetoothキーボードとマウスを組み合わせれば、リビングや宿泊したホテルのテレビがたちまち大画面PCに早変わりする。

 熱設計には少々無理があるようだが、それでもこのチャレンジは大いに評価したい。テレビの超小型セットトップボックス的な利用、店頭ディスプレイを用いたデジタルサイネージ用、車載用、あるいは出張時などのバックアップ機など、さまざまな活用が考えられそうだ。

 1万9800円(税込、送料込)という安さもあって、12月5日に同社の直販サイトで発売するやいなや数分で完売してしまった。その後の再販でもすぐに売り切れ、入荷待ちの状態が続いているという人気ぶりも納得だ。

このビジュアルはまさに絶景――「iMac Retina 5Kディスプレイモデル」

 今年最も注目を集めた液晶一体型デスクトップPCと言えば、アップルの「iMac Retina 5Kディスプレイモデル」だ。4Kを飛び越えての5K(5120×2880ピクセル)、27型の大画面でRetinaディスプレイである。これぞまさに絶景。極限まで絞りこんだフォルムも実にエレガントで、画面の美しさをさらに引き立てている。

単体のPC向けディスプレイより先に5Kを製品化してきた「iMac Retina 5Kディスプレイモデル」。その画質は一見の価値がある

 27型と大画面なだけに、画素密度は約217ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)とインパクトのある数値ではないが、画質とは数値でないことが見れば分かる(あえて理屈を言えば、至近距離で見るスマートフォンやタブレットと27型のディスプレイでは距離が異なるためだが)。もはや多くの説明は不要だろう。

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