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MacでWindows 10の「Cortana」も使える! 「Parallels Desktop 11 for Mac」登場Windows 10とEl Capitanに対応

OS X上でWindowsを実行できる仮想化ソフトの最新版「Parallels Desktop 11 for Mac」では、パフォーマンスの向上に加えて、MacとWindowsのシームレスな操作環境をさらに追求した。

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 米Parallelsは8月19日、OS X上でWindowsを実行できる仮想化ソフトの最新版「Parallels Desktop 11 for Mac」を発表、同日19日よりダウンロード販売を開始する。店頭発売は26日から。ラインアップは、通常版とパワーユーザー向けのPro版、およびビジネス向けのBusiness版で、税込み価格は順に8500円、1万800円(1年ライセンス)、1万円(1年〜)。このほか、各エディションに5ユーザー版やUSBメディア版、生協/アカデミック版などが用意される。

「Parallels Desktop 11 for Mac」

 最新版となるバージョン11では、次期OS XであるEl CapitanとWindows 10に対応したほか、Windows 10のパーソナルアシスタントであるCortanaをOS X上でサポートしたのが最大の特徴。Parallels DesktopがOS X上でWindowsの機能を利用可能にしたのは今回が初めてだ。

 また、Windowsの起動とシャットダウンを最大50%高速化したほか、Windowsのファイル操作を最大20%、OS XとWindows間のファイル移動を最大5%、仮想マシンの中断を最大20%高速化するなどパフォーマンスを改善している。さらにOS XのQuick LookをWindows文書でも使用可能になり、新搭載の「Travel Mode」によってバッテリーライフも最大25%延長した。

Parallels DesktopはOS X上でWindowsを実行できる仮想化ソフトだ。ネイティブ動作のBoot Campと異なり、再起動することなくWindowsを利用でき、ドラッグ&ドロップによってWindowsとOS X間でファイルコピーをしたり、MacのジェスチャーでWindowsアプリケーションを操作するなど、両OSをシームレスに利用できる

ゲストOSのWindows側をフルスクリーンモードで利用すれば、Windowsを使っているのと変わらない感覚で利用できる

バックグラウンドでWindowsを走らせ、アプリケーションのみ前面で実行するコヒーレンスモードなら、あたかもOS XでWindowsアプリを使っているようなユーザー体験を得られる

Windows 7やWindows 8、OS X Lionなど複数のゲストOSを同時実行する様子。仮想環境なので複数OSでの検証や開発に便利

 製品発表会では、米Parallelsのシニアプロダクトマネージャーであるカート・シュマッカー氏がデモを交えながら新機能を披露した。Parallels DesktopはこれまでMacとWindowsのシームレスなユーザー体験を追求してきたが、それをさらに進めたとして、同氏はまず「Quick Look」を紹介。Quick Lookはスペースキーを押すとファイルを簡単にプレビューできるOS Xの標準機能だが、これがゲストOSのWindowsドキュメントでも利用可能になった。

米Parallelsシニアプロダクトマネージャーのカート・シュマッカー氏

スペースキーをぽんと押せばOS Xと同じようにWindowsドキュメントをプレビューできる。Dropboxなどクラウド上に置いたファイルもプレビュー可能

 続いて、消費電力を抑える新機能として「Travel Mode」を紹介。ACアダプタに接続されていない状態では自動的にTravel Modeがオンになり、CPUやGPUをはじめ10以上の要素で消費電力を抑え、バッテリー駆動時間が最大25%延びるとアピールした。

消費電力を抑えバッテリー駆動時間を延長できる「Travel Mode」を新搭載

このほか、Dockから最近使ったWindowsファイルを呼び出せるなど細かい改良も行われた

 さらにMacとWindowsのシームレスな利用体験を追求した新機能として、最新バージョン最大の目玉となるのがWindows 10のパーソナルアシスタントである「Cortana」のサポートだ。アップルにも同種の機能として「Siri」があるが、現時点ではOS X上でSiriはサポートされていない。

 シュマッカー氏による製品デモでは、「東京の人口は?」「日本円はいま何ドル?」「(Pagesの)ファイルを開いて」などとCortanaに頼み、OS X上できちんと動作する様子が示されたが、驚かされるのは「今どこにいる?」という問いかけに対して、現在位置を回答するとともに地図を表示したこと。

 つまりMac側のロケーション機能を利用したうえで、これをCortanaに返していることが分かる。Parallels Desktopを使えば、OS X上でパーソナルアシスタントを利用できるというだけでなく、Windows 10上でCortanaを利用する“以上”の使い方が可能になるということだ。現在Cortanaは日本語をサポートしていないためデモは英語で行われたが、Cortanaの日本語対応が待ち遠しい。

「今どこにいる?」というCortanaへの問いかけに対し、Mac側の機能を利用して地図を表示。また、Mac用のファイルを音声で開くなど、OS X上でSiriより先にパーソナルアシスタントが使えるようになった

このほかメニューバーにコヒーレンスボタンを配置し、Windows 10のアクションセンターがOS Xの通知センターのようなルック&フィールで利用できるなど、ユーザーインタフェース回りの改良もある

 シュマッカー氏は最後に、最新版ではWindows 10のサポートとともに、次期OS XであるEl Capitanにも対応していると述べ、仮想環境ならリスクなくβ版を利用できるメリットを強調した。

 なお、主にパワーユーザーや開発者向けに提供されるPro版は、Visual Studio(プラグイン)やDockerなどの開発ツールと統合されているほか、ゲストOS上でのデバッギングやネットワークシミュレーション機能がサポートされている。

Pro版ではUNIXのコマンドラインでゲストOSを直接操作し、コアダンプをとったりデバッギングするなど開発者向け機能を用意

開発者向けのPro版は別のゲストOSでコードを実行し、正常に動くか確認するといった際に便利。仮想環境のためクラッシュしてもリスクがないのが利点だ。また、ネットワーク環境を自由にシミュレートでき、10%パケットロスする環境でも正常にアプリケーションが動くかどうかといった検証が簡単に行える

「Parallels Desktop 11 for Mac」の価格表

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