「Surface Book」はペン付き大画面タブレットの本命か――USモデル先行レビュー:iPad Proとの比較も(1/5 ページ)
Microsoftが“究極のノートPC”を標ぼうする「Surface Book」は、Core i7搭載PCで最薄最軽量のタブレットでもあります。今回は独特な2つのタブレットモードと筆圧ペンをチェックしてみました。
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ペン付き大画面タブレットとしての実力をチェック
こんにちはドリキンです。普段は米サンフランシスコでソフトウェアエンジニアをしていることから、現地で日本未発売のガジェット製品に多く触れています。
日本での発売(2016年の早い時期を予定)に先駆けてUSで発売された米Microsoftの最新ノートPC「Surface Book」について、これまで「開封編」「ノートPC編」と2回のレビューをしてきました。
今回は最終回ということで、ディスプレイ部分を取り外したペン付き大画面タブレットとして見たときの使い勝手を中心にまとめます。
2つのタブレットモードで体験が全く変わるSurface Book
Surface Bookはキーボードと13.5型の液晶ディスプレイ部分が分離可能な2in1タイプのノートPCです。普通の2in1ノートPCに比べてちょっと変わっている点として、ユニークな2つのタブレットモードを持っています。
1つ目のタブレットモードは、単純にキーボードを切り離して、液晶ディスプレイ部分だけをタブレットとして利用する方法です。一般的に想像するタブレットモードはこちらだと思います。
もう1つのタブレットモードは、いったんキーボードを切り離し、ひっくり返して再度キーボードに装着して折りたたんで使う方法です。これがSurface Bookの特徴で、この状態にすると、キーボード側のバッテリーや独立GPU(dGPU ※搭載していないモデルもある)を生かした高性能なタブレットとして利用できます。これをパフォーマンスタブレットモードと呼ぶことにします。
このハイパフォーマンスタブレットモードでは、Surface Bookの特徴的な多軸ヒンジの合体メカニズムにより、折りたたむとちょうどいい具合に画面のチルト角度がつくように設計されているので、Surface Penよる手書き操作がしやすくなります。
画面を閉じた際、多軸ヒンジ部分の内側にすき間が空くデザインは気になるという声も聞かれるSurface Bookですが、ハイパフォーマンスタブレットモードでSurface Penを使ってみると、ペンでの描きやすさも考慮された設計であることが実感できるでしょう。
タブレットモードと言ってもSurface Bookの場合、リビングで動画やネットサーフィンを楽しむコンテンツ消費型のタブレット利用と、プロフェッショナルのソフトウェアとSurface Penを最大限に活用したプロの使用に耐えるクリエイティブツールとしてのハイパフォーマンスタブレットという両方の側面をカバーしているのです。
2つのタブレットモードの違いは、基本的にはパフォーマンスとバッテリー稼働時間、持ち運びやすさです。Surface Bookの内部構造は、タブレット本体(液晶ディスプレイ側)にCPU、メモリ、SSDなど主要パーツと小容量のバッテリー(約18ワットアワー)を、キーボード側にdGPUと大容量バッテリー(約51ワットアワー)、2基のUSB 3.0やMini DisplayPort出力、SDメモリーカードスロットなどを搭載した独特の設計となっています。
キーボード側にdGPUと大容量バッテリー(約51ワットアワー)、2基のUSB 3.0やMini DisplayPort出力、SDメモリーカードスロットなどを内蔵しています。その多くの領域をバッテリーのセルが占めているのが分かります
そのため、通常のタブレットモードではdGPUや主要な端子類が使えず、バッテリー駆動時間がかなり短くなります。タブレット本体のみのバッテリー駆動時間は非公開ですが、体感的には2〜3時間といったところです。また、キックスタンドがないため、タブレットを自立させることはできません。
ただし、タブレット本体は7.7ミリ厚/約728グラムの薄型軽量ボディとなり、これはCore i7搭載PCとして最薄最軽量なので、高性能の大画面タブレットを手軽に持ち運べる利点はあります。
一方のハイパフォーマンスタブレットモードは、Surface Bookの大きな特徴であるdGPUをはじめ、主要なインタフェース、大容量バッテリー(ビデオ連続再生の公称値で約12時間)を含め、ノートPCモードと同様のフル機能が利用できます。
しかし、キーボード装着時の厚さは13〜22.8ミリ、総重量は約1516グラムに及ぶため、持ち運びやすさはタブレット単体より大きく劣ることになります。
実際のパフォーマンスの違いは、前回のレビューを参考してください。以下のレビューでは特に言及がない限り、どちらのタブレットモードにも共通な内容になります。
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