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AMD A10-7890KとWraith Coolerの性能をチェックするSocket FM2+でついに定格4GHz越え(2/4 ページ)

3月に販売開始となったAMDの新APU「A10-7890K」。定格側でも4GHz超までクロックを高め、新たなCPUクーラーを付属した同モデルは、久しぶりに試しがいのあるAPUだ。

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3DでもCPU性能が影響するタイトルではわずかに性能がアップ

 それではベンチマークによってA10-7890Kのパフォーマンスを測っていこう。今回は、AMDよりA10-7890KおよびA10-7870Kを借りている。A10-7870Kをベンチマークした時からかなりの月日が過ぎているので、改めてこの2製品で比較をしてみたい。

 まずはPCMark 8のHomeテストでシステムパフォーマンスを見てみよう。A10-7890Kのスコアは3539ポイントで、A10-7870Kの3514ポイントから若干の向上が見られた。基本的にCPUクロック以外で変わったところはないため、これがクロック相当分のパフォーマンス向上ということになるだろう。細かなテスト結果を見ても、わずかに向上しているテストと同等のテストといった具合で、テスト毎のCPU依存率によってこうした差が生じていると思われる。

PCMark 8

 続いてCINEBENCH R15によるCPU性能の比較に移りたい。こちらでは、CPUスコアではマルチCPUで10ポイントほどの差、シングルCPUで3ポイントほどの差となった。このあたり、1枚の画像を演算する程度ではこのくらいの差であるが、映像として某大な枚数を演算するような場合であれば、もっと長時間の差となるだろう。基本的に大きな差ではないが、「塵も積もれば」というところではないだろうか。A10-7890Kをこうした用途に使うことはあまりなさそうだが、1時間超の映像のエンコード処理などでは秒単位、分単位の差がつくこともあるだろう。

CINEBENCH R15

 APUで最も期待されるグラフィックスパフォーマンスはまず3DMarkから見ていきたい。3DMarkのOverallでは、計測した4つのプリセット全てで、A10-7890Kのほうが若干スコアが高かった。

 ただし、Graphicsスコアを見ると、低負荷のIce StormやCloud Gateではより高いスコアを出したものの、Sky DiverやFire Strikeでは逆転されたり、誤差のレベルの違いでしかなかった。APUのグラフィックス機能でゲームを楽しむとなると、DirectX 9や10といったAPIバージョンで、低負荷で画質オプションも引き下げたあたりとなると、まさにIce StormやCloud Gateあたりのテストが相当する。

 その意味では、A10-7870Kに対し、3Dグラフィックスでも多少のアドバンテージがあってもおかしくはない。ただし、基本的にはPhisicsテストで生じた差であることは、スコアからも明らかだ。

3DMark Overall

3DMark Graphics

3DMark Physics

 それでは軽負荷のタイトルでどのくらいアドバンテージが出るのか、ドラゴンクエストX ベンチマークソフトで確かめてみた。結果は最高品質の1920×1080ピクセルで「快適」評価のとおり、グラフィックス性能としては十分なものの、肝心のA10-7870Kと比較した際の差は確認できなかった。標準品質も最高品質も誤差の範囲の差である。

ドラゴンクエストX ベンチマークソフト

 続いてファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版。こちらのテストでは、画質3と5、解像度も1280×720ピクセルと1920×1080ピクセルを計測したが、誤差の範囲でしかない。

ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版

 また、ULTRA STREET FIGHTER IVでもスコア・フレームレートに明確な差は現れていない。基本的に、GPUへの依存率の高いタイトルでは、A10-7870Kとの差は全くと言ってよいほど感じられない結果だ。

ULTRA STREET FIGHTER IV(左がスコア、右が平均FPS)

 ゲームの最後はファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク。これまで見てきたタイトルの中ではCPUへの依存率がやや高い。こちらのテストではDirectX 9/11、画質を3段階、解像度も1280×720ピクセルと1920×1080ピクセルを試したが、全ててA10-7890Kのほうが若干よいスコアを出していた。

 この点で、CPUクロック引き上げ分のパフォーマンス向上は確かにあると言える。ただし、肝心な平均フレームレートで見ると、せいぜい1fps強の差でしかないので、例えばA10-7870Kを使っている方が3Dパフォーマンスを求めて乗り換えるというシナリオは現実的とは言えない。

 また、「快適」または「とても快適」という評価が得られたのは、DirectX 9で標準品質の1920×1080ピクセル、あるいは高品質の1280×720ピクセル、DirectX 11では標準品質の1280×720ピクセルなので、画質や高解像度を追求することはできないだろう。

蒼天のイシュガルド ベンチマークのスコア

蒼天のイシュガルド ベンチマークの平均FPS

 最後に消費電力を比較しておこう。消費電力計測は良好な結果で、A10-7890KもA10-7870Kもほぼ同じ数値だった。CPU-Zのスクリーンショットで、A10-7890KのほうがA10-7870Kよりも若干だがコア電圧が低かった。コア電圧は可変するため、これはその瞬間の数値ではあるが、クロックの引き上げ分と、コア電圧の引き下げ分がうまく釣り合っていると考えられる。もちろん、タイトルによって負荷が異なるため、そうした場合には差が生じる可能性があるものの、大きな違いはないと言えそうだ。

消費電力

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