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ポケモンGO×鳥取砂丘「スナホ・ゲーム解放区」の今その後どうなった?(2/3 ページ)

Pokemon GOに絡み「スナホ・ゲーム解放区」を発表して夏に話題となった鳥取砂丘だが、その後の動向は伝わってこない。現在の状況を実際に行って確かめてみた。

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ピークは過ぎた?

 筆者が鳥取砂丘を訪れるのはこれが二度目だ。今回訪れたのは平日の午前中という、人が少ない時間帯だったが、この時間帯でもツアーバスはひっきりなしに出入りしており、観光客もそれなりの数がいる。ただ、砂丘を歩いていてすれ違うのはそれらツアーの観光客ばかりで、ポケモンGOを目的に訪れたとみられるユーザーは、目視で探した限りでは発見できなかった。

 駐車場から砂丘入口にかけて設置された複数のジムを見ていると、いずれも10〜15分サイクルで色が塗り替わっていたので、ポケモンGOユーザーが全くいなかったわけではなさそうだ。しかし「スナホ・ゲーム解放区」の目玉である大量のポケストップを次から次へと渡り歩くようなユーザーには、滞在中ついに巡り会えなかった。

 近所の飲食店で従業員に話を聞いてみたが、週末になるとそれと分かるユーザーの姿はちらほら見られるものの、平日の客足については以前とそう変わりはないらしい。別の店員によると「夏休み期間は親子で訪れるユーザーも多かった」とのことで、いわゆる「ポケモンGO効果」と呼べる集客効果は、既にピークが過ぎた状況にあるようだ。別の店でも話を聞いたが、おおむね見解は同じだった。

 タクシーの運転手にも話を聞いてみたが、こちらは「ポケモン」というワードそのものにピンと来ておらず「ああ、そういえば何かやってましたねえ」と、てんで興味がない様子だった。「それよりも今はカニですよ、カニ」と、今回の取材日直前に解禁になったカニを熱心にPRされた。さすが蟹取県の面目躍如といったところである。

Pokemon GOPokemon GO 今、鳥取を訪れるとあちこちで目にする「蟹取県」のキャンペーンポスターや看板。ポケモンがかすむほどのインパクトだ

「このままでは厳しい」と感じた理由あれこれ

 今回現地に行ってみて、ポケモンGOの1ユーザーとして「このままでは厳しいだろうな」と感じた点がいくつかある。

 一つは、ポケストップの数は確かに多いものの、単に林立しているだけにすぎないことだ。もし至るところにルアーが挿さっており、アイテムを回収しつつポケモンをゲットできるのならばモチベーションも上がりそうだが、今回訪れた際はどのポケストップにもルアーはなく、閑散とした状態だった。

 週末には有志によってルアーが挿さっているケースも多いと聞くが、いかんせんポケストップの数が多いので、一つや二つ挿したところで焼け石に水であることは容易に想像できる。市の担当部署などが旗振り役となって大量のルアーを定期的に挿し、その時間帯を告知するくらいの動きはあっていいように思う。現状は、大量のポケストップというせっかくのリソースを、うまく活用できていない印象を受けた。

 ちなみにこの鳥取砂丘の大量のポケストップ、ニュースで見聞きする限りではぎっしりと密集しているイメージがあるが、前述のように間隔は100mも開いている。歩数にすると100〜150歩も離れており、かつ多くは傾斜がついた場所にあるため、ポケストップを渡り歩きながらアイテムを回収する際、体力の消耗度は平地の比ではない。

 今回、アイテムを大量に補給できることを期待してバッグの中身をかなり減らした状態で訪れたのだが、早々にあきらめてしまったほどだ。

Pokemon GOPokemon GO ポケストップの間隔は100mある(画像=左)。今回の訪問時はルアーは全く挿さっておらず閑散としていた。ちょっと寂しい。仕方なく自分でルアーを挿してみたが、出現したのはまたしてもコイキングというお約束だ(画像=右)
Pokemon GO
レーダーを見ても「みず」タイプのポケモンばかり。レア度が高めなミニリュウやオムナイトの姿も見えるが、砂丘では平地に比べ移動スピードが半減するので、行ったり来たりして出現場所を探り当てるだけでも一苦労だ

 さらに、砂丘ならではの事情と言ってしまえばそれまでだが、途中休憩できるベンチや段差が全くないのも、方角を定めずに歩き回るゲームの性格上、なかなかつらいものがある。ポケストップが林立しているのはすり鉢状になった底の部分なのだが、現地で椅子が置かれているのは砂丘の入口だ、すり鉢状の「縁」の部分だけなので、休憩するには斜面を登り切り、終わったらまた斜面を下りなくてはいけない。

 また、出現するポケモンに、これといった特色がないのもつらい。鳥取砂丘はすぐ北側が海なので(もともと鳥取砂丘は海岸に集まった砂が堆積してできている)、出現するのは主に「みず」タイプのポケモンばかりで、それゆえ砂丘でコイキングが何匹も跳ねているというシュールな光景が見られるのだが、ポケモンの種類そのものは他地域の水辺で見られる顔ぶれとそう変わらず、あまり新鮮味はなく、また極端な偏りもない。

 聞くところによると、Nianticでは有償で特定のポケモンを出現させるというプログラムは用意しておらず、石巻で大量出現しているラプラスも例外ではないとのことなので、市側の意向でレアポケモンを出現させるのは難しそうだが、クラブやキングラーを大量に出現させて「蟹取県」として強烈なインパクトを与えるなど、考えればアイデアはいくつも出てきそうだ(ユーザーに歓迎されるかは不明だが)。

 そうした創意工夫の余地がどこかにあればよいのだが、現状では未知数だ。

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