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艇載ドローンで落水者を救え! ボートショー2018レポート勝手に連載!「海で使うIT」(3/3 ページ)

ボートショー2018の目玉展示をレポート

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舶用機器の日本無線に古野電気でも進むタブレットとスマートフォンの活用

 日本無線(JRC)と古野電気(FURUNO)は、舶用機器の開発販売では全世界的に長い実績があるメーカーだ。本船搭載用舶用機器が主力だが、小型船舶向けの製品もそろえている。その多くは洋上で使う電子機器に必要な耐久性を持たせた専用の舶用機器だったが、最近ではユーザー側から「使い慣れたスマートフォンやタブレットで使えるようにしてほしい」という意見が増えているという。

 そこで各メーカーとも、舶用機器にワイヤレス映像出力機能を持たせてスマートフォンとタブレットに複製画面を表示させるだけでなく、スマートフォンやタブレットのタッチパネル操作で舶用機器側もリモート操作できるような仕掛けを用意している。

 JRCでは、テーブルPCのような大画面タッチパネルディスプレイシステムに電子海図を表示してスタイラスペンによる書き込みなどができる航法支援システム「J-MARINE NeCST」を本船向けに出荷しているが、このシステムをタブレットPC程度のサイズで実現できる製品の開発を進めている。

 NeCST同様に、スタイラスペンや指での書き込みに対応するだけでなく、船に搭載した各種センサーからの航海情報、海象情報、警告などの表示や航路設定、仮想デバイダーや仮想定規を使った距離方位確認などが簡単にできる。

「J-MARINE NeCST」のタブレットサイズバージョン
船内センサーから取得した情報を表示できる
指で海図に書き込んだり
指2本で仮想デバイダーとして機能する

 なお、JRCでは、3年前からiOSやAndroidに対応した無料アプリを提供している。いずれもJRCが運営しているクラウドサービス「J-MARINE CLOUD」を利用しており、インターネットが接続できる範囲でJ-MARINE CLOUDに集積した海象情報を提供する。「JM-Weather」に海上警報を通知する「JM-InformU」、そして、AIS情報を利用して衝突する可能性を警告する「JM-Watcher」がある。

 JM-Watcherでは、陸上に設けたAIS受信施設からJ-MARINE CLOUDに集積したAISデータを5秒ごとに更新して配信しているので、ほぼリアルタイムで位置関係を把握できる。画面では、AISデータによる5分後の予想位置と針路を表示できる他、アプリ内輝度設定機能で夜間表示も可能になっている。また、Apple Watchにも対応する。

 これらの利用にはインターネット接続が必須になるため、利用できる海域は限られてしまうが、利用できる海域でなら高額なAIS対応システムと同等の効果を本船との衝突回避で発揮する。

AIS情報を利用して衝突する可能性を警告する「JM-Watcher」も無料で配布している

 FURUNOでは、タッチパネル操作に対応した舶用機器シリーズ「NAVnet TZtouch2」に対応したモバイルOS対応アプリ「NavNet Remote」「NavNet Viewer」「NavNet Controller」を用意。無線LANでNAVnet TZtouch2と接続すると、画面表示だけなくリモート操作が可能になる。

 なお、FURUNOでは、無線LAN接続に対応したワイヤレス小型レーダー「DRS4W」も新製品として投入しており、同社製品と接続してレーダー画面を重畳して表示できる。DRS4Wは小型船舶への搭載を重視したレーダーでサイズとともに消費電力も抑えており、説明スタッフによると約20ワットと航海灯(両舷+マスト灯+船尾灯)とほぼ同じとしている。

 FURUNOのラインアップで価格を抑えたGPSプロッタ魚群探知機「GT」シリーズの参考展示品「GP-1971F」「GP-1871F」でもDRS4Wとのワイヤレス接続に対応する他、モバイルOSアプリを用意して画面表示やリモート操作(こちらは現在対応未定)を可能にする予定だ。

無線LAN接続に対応したワイヤレス小型レーダー「DRS4W」
参考展示のGPSプロッタ魚群探知機「GP-1971F」は航海用電子参考図「new pec」を導入している
価格を抑えたモデルだが機能は充実している
DRS4Wとワイヤレス接続してレーダー画面を重畳表示もできる
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