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新生「NEXTGEAR」はPCゲーマーの理想か? ダブル水冷プラチナモデルを徹底レビュー(1/3 ページ)

G-TuneブランドのミドルタワーPC「NEXTGEAR」シリーズが、ゲーマーの声を反映した新デザインのケースにリニューアル。最高峰のW水冷モデルを徹底検証。

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 デザインを一新したG-Tuneの「NEXTGEAR」シリーズ。マウスコンピューターがゲーマーにアンケートを取った上で作り込んだデザインは、ハデなLEDは不要、前面はシンプルに、といったコンセプトだ(関連記事:ゲーマーは光るPCが好き、という勘違い)。

 NEXTGEARシリーズは、Z370ベースとX299ベースの2ラインがあるが、今回はメインストリームプラットフォームを採用するZ370モデルの魅力とパフォーマンスに迫っていく。

シンプルな外観が好印象。使い勝手もよく考えられた新ケース

 NEXTGEARを箱から取り出し、ひと目見たときの印象から紹介しよう。この新ケースは、シンプルだが存在感がある。コテコテのゲーミングPCではなく、汎用PCのカテゴリーにおけるスタイリッシュなデザイン、といえばいいだろうか。

 シンプルなデザインのミドルタワーケースといえば、NZXTの「H500」シリーズを連想するが、本製品はそれほど完全なフラット前面パネルではなく、少し丸みをおび、傾斜デザインやヒートシンク風の意匠などさりげないアクセントもある。


新ケースにリニューアルした「NEXTGEAR」シリーズ

 前面パネルはPCの“顔”だ。新筐体はまず5インチベイを廃し、フラットな前面を取り入れるとともに、上部をわずかに前傾させている。傾斜角はそれほど大きくはなく、インパクトを持たせるというよりはまだ落ち着いたデザインを保っている。中央にはG-Tuneのロゴがあり、電源オフの状態ではうっすらと見えるだけだが、電源投入時には赤く光る。スモークが入っているせいか、ギラついた光り方ではなく、全体の落ち着いたデザインと調和している。


装飾の少ないフラットな外観だが、角を丸めた柔らかなイメージも。G-Tuneロゴは電源投入時にほのかに赤く光る。落ち着きを求めた普段のPCにゲーミングパフォーマンスを詰め込んだ印象だ

 前面上部にはスリム光学ドライブが搭載されている。実はドライブはオプション扱いだ。標準構成ではカバーが装着されている。写真からスリム光学ドライブ搭載時の外観と使い勝手をイメージして欲しい。いわゆるノートPCで用いられるスリム光学ドライブなので、ボタンを押すとバネ式にトレイが飛び出し、戻す際は手で押し込む。


光学ドライブはスリムドライブを採用。評価機にはLG製Blu-ray Discドライブが搭載されていた

 こうした前面デザインのため、フロントインタフェースが天板部にレイアウトされている。前面をシンプルに見せようとしつつ利便性を高めると、ここ以外の選択肢はなかったのだろう。机の下に筐体を置く配置ならば、ちょうどよい位置に各種ポートが並ぶ。


天板部にあるフロントインタフェース。USB 3.0×4、ヘッドフォン、マイク、カードリーダー、そしてHDMI端子がある。HDMI端子のみキャップ付き

 本体上部にHDMIがあるのはちょっと面白い。NEXTGEARシリーズも、VR ReadyのGeForce GTX 1060〜1080 Ti搭載モデルがあり、必要に応じて着脱するVRヘッドセット用としてフロントHDMI端子が便利だ。

 また、HDMIキャプチャー機器を接続するのにも使えるし、サブディスプレイを接続するのにも使える。フロントHDMI端子から伸びるケーブルは、ケース内部を通じて背面上部に引き出しており、これをグラフィックスカードのHDMI出力に接続して使う。延長ケーブル方式なので、活用方法は出力に限るものではない。PCIe拡張カード型のHDMIキャプチャーを追加して、カードのHDMI入力を延長してフロントHDMIと接続すれば、デジタルビデオカメラの映像入力が前面から手軽に行えるようになる。映像編集PCを検討している方にオススメの活用法だ。

 その他の天板部はフラットだ。アンケート時には天板上に物を置きたいというニーズが高かったとのことで、本体上部にはファンもない。上部に各種ポートが並ぶぶん、物を置けるのは若干後部寄りになるが、奥行きも十分なミドルタワーなので問題ない。

 天板カバーは金属製でファンによる冷却はなくとも放熱効果は期待できる。それに、天板の下には電源のファン、背面ファン、それに側面ファンと、十分なエアフローを確保している。後ほど計測結果を紹介するが、冷却性能は良好だ。

新筐体は内部構造も理想的。冷却と見た目をとことん追求

 今回評価したモデルはNEXTGEAR Z370の中でも最上位のプラチナモデルの特別モデル「i680PA1-DL」だ。そのため左側パネルはクリアサイドパネル仕様になっている。

 その他のブロンズ〜プラチナモデルでは窓ナシのパネルが採用されているのでここが異なる。クリアサイドパネルについて説明すると、素材は強化ガラスでスモーク仕様、左下にはG-Tuneロゴが刻み込まれている。

 そしてクリアサイドパネルのみの特徴として、プッシュピンだけで開閉できる仕組みが挙げられる。通常モデルのサイドパネルはネジ2つで固定されており、開閉する際にドライバーが必要となるが、特別モデルのクリアサイドパネルは工具を必要としない。仮止めの機能もあるので、プッシュピンを解除しても倒れ込むことはなく、閉じる際も倒れないように手で抑える必要がない。このメンテナンス性のよさは特筆しておきたい。


クリアサイドパネル仕様は特別モデルのみ。高性能ハードウェアをいつでも眺めることができ、メンテナンス性でも工夫を添えている

 内部空間もこだわり抜いたレイアウトだ。先ほど少し触れたように、電源が上部にレイアウトされているが、カバーを加えて見た目をスッキリとさせている。電源スペースの延長上に3.5インチシャドーベイが2基あるが、ここがちょうど電源スペースの高さと同じ。ケース内は上が電源とシャドーベイ、その下はゆったりと広いマザーボードスペースといった区分けで、その境界は一直線。そのため、よりいっそうスッキリとした印象を受ける。


電源とシャドーベイ、マザーボードスペースが一直線に分けられた内部

 なお、電源から伸びるケーブルは、先のカバーによってコネクター部分が覆われ、加えて裏面配線によって表面に露出するケーブルも少ない。わずかに露出するケーブルも、製品出荷段階で結束されているため、クリアサイドパネル越しに見える内部もかなりキレイだ。自作PCではこうした配線にかなりの手間を要する。そうした手間なしにキレイな内部を「魅せる」PCが手に入れられるのはG-Tune NEXTGEARのメリットだ。

 特別モデルでは、CPUもGPUもともに水冷仕様となっている。こうしたW水冷を実現する場合、一般的な簡易水冷ユニットでは、水冷CPUクーラー、水冷GPUクーラーの2つのパーツを組み合わせ、2つのラジエーターを搭載することになるが、本製品のラジエーターは1つ。1つのラジエーターでCPUもGPUも冷却している。ラジエーターが搭載されているのは背面ファンスペースだ。

 冷却性能の高い厚みのあるタイプのラジエーターだが、サイズ的には120mmタイプ。CPUもGPUも高性能なので、冷却が間に合うのか少し気になったが、実際にベンチマーク中の温度を調べてみると、室温が30℃を超える夏の盛りの計測でも動作に問題ない温度に抑えられていた。CPUやGPUの動作温度の上限からは十分な余裕のある結果だった。


ラジエータは120mmで厚みのあるタイプ。CPUクーラーのヘッドは、最もポピュラーな丸い形状のもの

GPU側に水冷チューブを引き込んでいる。グラフィックスカードの外観はレファレンスクーラーに近く、VRMやメモリを冷やす空冷ファンも搭載されていてGPUのみだけではなくカード全体を冷却する構造だ
ベンチマーク中の最大温度(℃) CINEBENCH R15 3DMark Fire Strike
CPU 71 76
GPU 35 46

 ゲーマーを対象に実施したアンケート結果によると、「LEDは不要」が大半を占めたということで、通常のブロンズ〜プラチナモデルはこれに沿っているが、特別モデルだけはLEDを搭載している。内部を光らせたいユーザーも一定層いるためだ。

 ただし本製品のLEDは基本的にファンのみで、通電中もマザーボードは真っ暗で、発光色も赤の決め打ちだ。それもスモーク仕様のクリアサイドパネルを通すため、ギラついた印象は少ない。ピカピカ光らせてハデな演出を行うといったニーズではなく、ムードを少し高めたいといったマイルドなLED装飾である。

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