第5世代V-NANDの優位が歴然! PCI Express SSDの新定番「970 EVO Plus」の爆速性能を確かめる(1/3 ページ)
90層クラスの3D TLC NAND(第5世代V-NAND)を採用した新型SSD「970 EVO Plus」を徹底検証。
Samsung Electronicsから、PCI Express(NVMe)インタフェース対応の新型モデル「970 EVO Plus」が発表された。2018年4月に発表された「970 EVO」のアップデートモデルで、最新世代NANDフラッシュメモリの採用とファームウェアの最適化により、性能が大きく向上している。今回は製品版の発売に先駆け、1TBモデルを試用する機会を得た。その実力を確認しておこう。
M.2フォームファクターの最新ハイパフォーマンスモデル
970 EVO Plusは、従来970 EVOの後継となるPCI Express(NVMe)インタフェースのハイパフォーマンスモデルだ。
フォームファクターはM.2フォームファクターの標準サイズ(2280)を採用。コントローラーはSamsungのPhoenix、NANDフラッシュメモリはSamsungの3bit MLC V-NAND(3D TLC NAND)を搭載している。
最新90層クラスの3D TLC NAND(第5世代V-NAND)を採用
この仕様は先代の970 EVOと共通だが、970 EVO Plusでは、NANDフラッシュメモリが「V5-NAND」と呼ばれる最新の第5世代V-NANDとなっている。第4世代の64層からさらにメモリセルの積層数を高めて「90層以上(具体的な数は明記されていない)」として、さらなる大容量化、高性能化が可能になっている。コントローラーも第5世代に合わせてチューニングすることで、970 EVOからパフォーマンスアップ。特に書き込み性能が大きく進化している。
シーケンシャルリードは最大3500MB/s、シーケンシャルライトは最大3300MB/s。筆者が知る限り、いずれもM.2フォームファクターのSSDとしては最速だ。PCI Express 3.0×4(約3.94GB/s)の限界にいよいよ迫っている。970 EVOからの性能の伸びは、小容量モデルほど大きく、250GBモデルのシーケンシャルライト性能は、1500MB/sから2300MBへと、53%向上している。
大容量モデルと小容量モデルで性能差があるのは、大容量の方がキャッシュや並列アクセスなど、コントローラーの最適化で性能を稼ぎやすいためだ。悪い言い方をすれば、大容量なら少々NANDフラッシュメモリ自体の性能が悪くとも「ごまかす」ことができる。一方、小容量モデルはごまかしが効きにくく、NANDフラッシュメモリの「素の性能」の影響が大きくなる。
小容量モデルの性能アップが大きいということは、それだけ第5世代V-NANDでは、NANDフラッシュメモリ時代の性能が良くなっていることの証明といえる。
SLCバッファー領域外のパフォーマンスが向上
第5世代V-NANDの素性の良さは、SLCバッファー領域外のパフォーマンスにも現れている。
1セルに3bitのデータを記録できるTLCメモリセルは、電圧操作が複雑になるため、1bit記録のSLCや2bit記録のMLCに比べて書き込み性能が遅い。そこで一部のTLCメモリセルをSLC相当で動作させること性能を高め、バッファーとして使うことで遅さをカバーしている。
SamsungのSLCバッファー技術「Intelligent TurboWrite」は、固定SLCバッファー領域に加えて、空き容量を利用して動的にバッファー領域を確保する仕組みだ。バッファー容量はモデルによって異なるが、970 EVO Plusの1TBモデルでは、固定バッファーが6GB、可変バッファーが36GB、合計42GBまでSLCバッファーを確保できる。
そして、シーケンシャルライト性能の3300MB/sというのはこのバッファーが有効な状態での数値。書き込みデータがSLCバッファーの容量を超えた分の書き込み性能はバッファーが効かないために遅くなる。
Samsungは、レビュワー向けの資料でこのバッファー領域外の数値も公表しており、970 EVOの1200MB/sに対し、970 EVO Plusでは、1700MB/sまで性能向上している。この1700MB/sという数字自体、相当なもので、SLCバッファー有効時でもこれ以下の製品がまだまだ多くある。TLCモデルとしては脅威的な性能といってよい。
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