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3万円台で登場したTuring 「GeForce GTX 1660 Ti」の実力は?(1/4 ページ)

これが僕らの求めるメインストリーム。GeForce GTX 1660 Tiの性能をベンチマークテストで確かめた。

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 NVIDIAからGeForce GTX 1660 Tiが発表され、先週末より店頭販売も開始された。GeForce RTXではなくGTX、つまりRTコアを省きつつ、ベースとなる部分はTuringアーキテクチャのGPUだ。

 GeForce RTX 2000シリーズは、性能の底上げと新機能が追加された一方、末尾2桁が従来のものと同じでも、価格的には少し上昇してしまった印象があり、アップグレードにためらう方がいたのも事実。一方、GeForce GTX 1660 Tiは279ドル、日本市場における価格で3万円台からと、確かにメインストリーム向けの価格で登場した。

RTX 2060の下位としてCUDAコアなどにも調整が入る

 冒頭の通り、GTX 1660 TiはRTコア(とTensorコア)のないTuringだ。ただし、スペックには調整が入っている。直近のTuringアーキテクチャのGPUとしてはGeForce RTX 2060があるが、それと比較してSMが30基から24基へと減った。この点で、GeForce RTX 2060からRTコアを除いただけでなく、下位モデルとして性能、製造面でもバランスをとったことになる。

 SMに合わせて、CUDAコア数やテクスチャユニット数もGeForce RTX 2060の8割に削減。一方、GPUのブーストクロックに関しては1.77GHzと、GeForce RTX 2060よりも引き上げられている。

製品名 GTX 1660 Ti RTX 2060 GTX 1060 GTX 1070 GTX 1070 Ti
コードネーム TU116 TU106 GP106 GP104 GP104
SMs 24 30 10 15 19
CUDAコア数 1536 1920 1280 1920 2432
Tensorコア N/A 240 N/A N/A N/A
RTコア N/A 30 N/A N/A N/A
テクスチャユニット 96 120 80 120 152
ROPs 48 48 48 64 64
GPUブーストクロック 1.77GHz 1.708GHz 1.68GHz 1.68GHz 1.68GHz
メモリ GDDR6 6GB GDDR6 6GB GDDR5 6GB GDDR5 8GB GDDR5 8GB
メモリデータレート 12GBps 14Gbps 8Gbps 8Gbps 8Gbps
メモリ接続バス幅 192bit 192bit 192bit 256bit 256bit
メモリ帯域幅 288.1GB/s 336.1GB/s 192GB/s 256GB/s 256GB/s
TDP 120W 160W 120W 150W 180W

 ROPsは48基で、これはメインストリームグレードでは従来同様。ただし、メモリ周りではクロックがGDDR6でも12Gbpsにとどまり、14GBpsのGeForce RTX 2060と比べるとメモリ帯域幅が狭い。とはいっても288.1GB/sあるので、これはGeForce GTX 1060の1.5倍、そしてGeForce GTX 1070などよりも高い。

 なお、GeForce GTX 1060を指標に比較してみれば、GeForce GTX 1660 Tiのアドバンテージは大きい。アーキテクチャが異なるので同列に比較できないがCUDAコア・テクスチャユニットは増強され、メモリ帯域幅も向上している。

 TDPは120Wで、これはGeForce GTX 1060と同じだ。GeForce RTX 2060は160W(ハイエンドへの入り口といえるGeForce GTX 1070よりもさらに大きい)だったことからすればおとなしい。GeForce GTX 1060やGeForce GTX 960クラスを運用していたユーザーなら、グラフィックスカードの買い替えに際し、同じ電源を流用できそうだ。


GPU-Zから見たGeForce GTX 1660 Tiカード

短い基板、小型のクーラー、扱いやすさが魅力的

 今回は「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 Ti 6GB GDDR6」を評価する。レファレンスとは異なる部分もあるかもしれないが、この製品を例にGeForce GTX 1660 Tiの特徴を見ていこう。


ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 Ti 6GB GDDR6

 この製品の場合、カード長は174mm。いわゆるショートサイズといわれる中でも上位GPUを搭載するものからさらに短く、Mini-ITXマザーボードとの相性がよい。Zotac自体、ショートカードに収める技術が高いこともあるが、GPUセグメント的にもこのくらいの基板で実装できそうな印象である。

ZOTAC GAMING GeForce RTX 2060 Twin Fan(奥)とのサイズ比較。GeForce RTX 2060のショートサイズカードよりもさらに短く、高さも抑えられている
十分に軽量で冷却の不安もないようで、バックプレートはなし。カードの厚みは2スロット分に収まっている

 ファンは2基で、1つは70mm径、もう1つは80mm径という組み合わせ。Zotacによれば、サイズや回転数を変えることで、エアフローを阻害せず最適に冷却できるという。カード長を抑えた中でできるだけ大口径のファンを搭載する選択ともいえるだろう。

 補助電源端子は8ピン1基。TDP的には6ピン1基(PCI Expressからの75Wと合わせて150W)で足りそうなところだが、GeForce GTX 1660 Tiのホワイトペーパーでも8ピン1基だった。TDPは熱設計なので、消費電力の目安にはなっても、そのものを示すわけではない。そこから予想すると、6ピン1基のモデルも多かったGeForce GTX 1060と比べると、多少消費電力が上がっている可能性がある。

補助電源コネクターは8ピン×1基。また、当然だがNV-LINK用の端子もなくマルチGPUはできない

 映像出力端子は、DisplayPort×3、HDMI×1だった。調べてみると、他社のGTX 1660 Tiカードもおおむねこのレイアウトであるようだ。USB Type-Cはなく、DVI-Dもない。ただ、メインストリーム向けのGPUであるので、最新のUSB Type-Cを必要とはしない(実装コストを抑えた)判断と、DVI-Dはさすがに変換アダプターで対応してほしいという判断だろう。


映像出力端子はDisplayPort×3、HDMI×1

 このように、GeForce GTX 1660 Tiカードは、非常に扱いやすい。もちろん、OC志向の製品ではロングカードやさらに大型のクーラーを搭載することもあると思われるが、定格〜ライトOCモデルならこのくらいで十分。発熱・冷却や動作音、物理的干渉などを気にせず組み込める点でもメインストリーム向きだ。

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