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マウスのDAIVとUSBアダプターで10GbE環境を構築――もう1ギガビットには戻れない写真や動画などの大容量データをスムーズに(1/4 ページ)

10GbEや2.5GbEといった、ギガビットを超える高速ネットワークが身近に迫ってきている。USBアダプターやNASを使った“現実的な”10GbE環境の構築方法を探ってみた。

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 2019年、一気に低価格化が進んだPC周辺機器の1つが「10GbE(あるいは2.5/5GbEを含むマルチギガ)」だ。本格普及にはまだ少し早いかもしれないが、10Gbpsのインターネット接続サービスの登場、NAS(Network Attached Storage)やルーター、マザーボードなど対応周辺機器の増加を背景に、一気に普及が進む可能性も高い。

 動画や静止画を扱うプロカメラマンやハイアマチュアのカメラマンだけでなく、スマホやアクションカメラで手軽かつ高画質な撮影が可能になり、大容量データの取り扱いに悩んでいる人も多いはずだ。クラウドへの保存も考えられるが、今後の容量増加を考えると、身近なローカル環境に保存をしている人が多いだろう。

 業務効率を改善する観点でビジネスの現場はもちろん、個人でもマルチギガの導入に向けた検討を始めても良い頃合いになってきている。そこで、身近な視点で10GbE環境の構築からテストまでを見ていこう。

10GbEが身近になってきた2019年

 10GbE(10ギガビット・イーサネット)は、数年前なら企業内において各部門より上、社内サーバなどの接続で採用されていたくらいだろう。ネットワークインタフェースカード(NIC)も1枚あたり5万円ほどしたし、スイッチも8ポートで数十万円という価格だったと記憶している。

 ところが数年前に10GbE対応チップが各社から安価に登場し、2019年はNICが1万円台で登場したり、スイッチも10GbEポートを2ポート、残りをギガビットイーサ(1GbE)としたモデルを中心に2万円前後から登場したりと、手が届く低価格な製品が登場し始めた。加えて、ハイエンドNASが中心だった10GbE対応モデルも、最近では2〜4ベイモデルを中心に比較的安価な製品が発売されている。

 こういった背景から、全てとは言わないまでも、拠点内あるいは家庭内の基幹部分だけでも10GbEに対応させることで、ボトルネックを解消するようなことが可能になってきている。

10GbE
10GbE対応のLANカードも安価になってきた。写真は税込みで1万円を切るLR-LINKの「LREC6880BT」

 次に速度の話をしておこう。あくまで理論値だが、1GbEは1Gbps、10GbEは10Gbpsで、帯域は10倍だ。ちなみに、1GbEの場合、実行速度は毎秒120MBあたりになる。1Gbpsを8で割ってバイト単位にすれば毎秒125MBの実効値が毎秒120MB前後なら効率は悪くない。

 一方のUSBは、キーボードやマウスなどでしか利用されないUSB 2.0は外すとして、USB 3.0は5Gbpsとなり、以降倍々で速度を引き上げてきた。USB 3.1 Gen2は10Gbps、USB 3.2 Gen2x2は20Gbpsだ。規格が定まったUSB4は、USB Type-C端子を用いるThunderbolt 3ベースで40Gbpsとなる。USB 3.0時点で1GbEよりも5倍速く、USB 3.1 Gen2で10GbEの帯域に並んだ。

 最後に、ストレージの接続インタフェースも考えてみよう。Serial ATA IIIは6Gbpsで、現在PC内蔵ストレージの主流であるNVMe M.2 SSDなどで用いられるPCI Express 3.0 x4接続では32Gbps、さらには64Gbps、PCI Express 4.0 x4のSSDも入手が可能になった。

10GbE
各インタフェースごとの理論帯域比較

 こうして見ると、1GbEの帯域は他のインタフェースに対して後れを取っていることがよく分かるだろう。それをボトルネックと言う。10GbEなら一瞬で転送できるものを、1GbEでその10倍の時間(理論値として)をかけて行うのは時間をムダにしていることになる。そもそもネットワークが生活に密着し、業務にも結びついている今、ファイル転送に帯域を取れる間、その端末ではその他のネットワーク業務にも支障が出る。

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