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ゲームよりもクリエイター向き? 夢が広がる「第3世代 Ryzen Threadripper」の実力(3/5 ページ)

優れたパフォーマンスから2019年のベストセラーCPUとなった、AMDの第3世代Ryzen。それと同じZen2アーキテクチャで構築されたエンスージアスト向けCPUが、第3世代Ryzen Threadripperだ。その実力はいかほどのものか、試してみよう。

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アプリやゲームの性能は第3世代Ryzenとほぼ同じ CPUは超高スコア

 少し長くなったが、ここからが本題だ。Ryzen Threadripper 3960X/3970Xのパフォーマンスを、Ryzen 9 3950Xと比較しつつベンチマークテストを通してチェックしていく。

 検証環境はAMDから貸与を受けた評価キットを元にしている。環境統一のため、SSDは全て「Intel Optane SSD 800p」を利用している。詳しくは以下の表を見てほしい。

主な仕様
今回の検証環境の主な仕様

CINEBENCH R20/V-Ray Next Benchmark

 まず、CPUの実力を測る「CINEBENCH R20」を試してみる。スコアはCPUコア数にほぼ比例ししている。16コアの3950Xを基準に考えると、コア数が1.5倍である3960Xのスコアは約1.49倍、コア数が2倍である3970Xのスコアは1.75倍ほどとなっている。

 3960Xの方が若干レートが良いのは、メモリチャネル数などプラットフォーム側のアドバンテージ分が加算されているためと考えられる。

CINEBENCH R20の結果
CINEBENCH R20の計測結果

 レンダリングエンジン「V-Ray」を使ったCPUレンダリングの結果も、CINEBENCH R20のテスト結果とほぼ同じ傾向を示している。

 念のためにGPU(GeForce RTX 2080Ti)を使ったレンダリングテストも実施したのだが、Socket AM4の3950Xに対し、Socket sTRX4の3970Xが少しスコアを落としている点は気になる。理由としては、新しいプラットフォームに対する最適化不足、あるいはGPU性能を引き出せていないことが考えられる。

V-Rayテスト結果
V-Ray Next Benchmarkの計測結果

Sandra 20/ 20(2020) SP1

 次に、CPUやメモリ回りのテストを行う「Sandra 20/20(2020) SP1」を実行してみた。

 SandraのCPU関連テストは全コアを使用するため、基本的にコア数に対してスケーラブル、つまりコア数が多いほどテスト結果が良くなる。今回のテストにおいて結果面で特におかしな所はなく、ご多分に漏れない結果となった。

 演算能力を求めるのであれば、このベンチマーク結果を参考にCPUを選ぶといいだろう。

SandraのCPUテスト(プロセッサ性能)
SandraのCPUテストの結果(プロセッサ性能)
SandraのCPUテスト(マルチメディア性能)
SandraのCPUテストの結果(マルチメディア性能)

 続いてメモリ関連テストの結果を見てみよう。

 今回の検証環境のメモリ構成は、3960X/3970Xのシステムはクアッドチャネル、3950Xのシステムはデュアルチャネルとしているが、帯域性能には、その違いがはっきりと出ている。一方、レイテンシ(遅延)については、いずれもZen2アーキテクチャのCPUということもあり、32MB以上にならないと差が出ない。

Sandraのメモリテスト(帯域)
Sandraのメモリテストの結果(帯域)
Sandraのメモリテスト(レイテンシ)
Sandraのメモリテストの結果(レイテンシ)

PCMark 10

 PCの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」の結果はどうだろうか。

 「Extended(拡張テスト)」のOverall(総合)スコアを見てみると、Ryzen 9 3950XがThreadripperを上回っている。各シナリオのOverallをチェックしてみると、どうやら「Gaming(ゲーミング性能)」において3950Xが大きくスコアを伸ばしたことが差につながったようだ。「Essentials(基本性能)」や「Digital Content Creation(マルチメディア処理)」のスコアも、わずかだがThreadripperのほうが低くなっている。

PCMark 10(Extended)
PCMark 10 Extendedと、各シナリオの総合スコア

 Gamingを除く各シナリオにおける結果を細かく見ていくと、おおむね横並びとなっている。しかし、Essntialsの「App Start-up(アプリケーション起動)」はThreadripperがやや低く、Productivityの「Spreadsheet(表計算)」ではRyzen 9が明確にThreadripperをリードしている。そしてDigital Content Creationの「Rendering and Visualization(オブジェクトの生成と可視化)」では、Threadripperが大きくスコアを落としていることが分かる。

PCMark 10(Essentials)
Essentialsシナリオにある各テストの結果
PCMark 10(Productivity)
Productivityシナリオにある各テストの結果
PCMark 10(DCC)
Digital Content Creationシナリオにある各テストの結果

 今回テストしている3つのCPUはベースアーキテクチャが同じで、基本的にコア数とクロックが異なる製品だ。それにも関わらず、コア数の多いThreadripperの結果が振わない傾向にあるのは、PCMark 10がThreadripperの多コアを想定していなかった(≒コア数が多すぎて、一部のコアを生かせなかった)ことが原因と思われる。

 また、GPU支援機能を利用する一部のテストでも結果が振わなかったのは、登場したてのTRX40チップセットに対してグラフィックスドライバーの最適化が進んでいないからだろう。

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