“異次元の速度”を達成 コンシューマー向け最速クラスの「Samsung SSD 980 PRO」 の実力を試す(1/4 ページ)
Samsung Electronics(サムスン電子)が、初めてのPCI Express 4.0対応SSDを発売する。その実力はいかほどのものか、発売に先駆けて500GBモデルのベンチマークテストを実施した。
Samsung Electronics(サムスン電子)が、同社としてコンシューマー市場向けでは初となるPCI Express(PCIe) 4.0接続に対応するM.2 SSD「Samsung SSD 980 PRO」を発売した。公称のシーケンシャル(連続)読み出し速度は最大毎秒7000MBと、これまでのコンシューマー向け単体SSDとしては最速クラスの製品だ。
今回、980 PROの評価用サンプルを入手したので、その実力をレビューしていく。
事実上の「970 EVO Plus」後継モデル NANDは3D TLCに
980 PROは、Samsungのコンシューマー向けSSDの最上位に位置付けられる、ハイパフォーマンス製品だ。従来の最上位であった「970 PRO」は3D MLC NANDフラッシュメモリを搭載していたが、本製品はTLC NANDフラッシュメモリを搭載する。
この製品の投入に伴い、Samusungはコンシューマー向けSSDのラインアップを再編することを明らかにしている。「PRO」はハイパフォーマンス(性能重視)、「EVO」はメインストリーム(普及帯)、「QVO」または無印がバリュー(価格重視)と、シンプルな区分けとなる。
新しいPROシリーズのメインターゲットは「プロフェッショナルユーザー(筆者注:クリエイターなどを指すと思われる)」「ゲーマー」「プロシューマー」とされている。つまり、980 PROは970 PROの後継モデルというよりは、実質的に「970 EVO Plus」の後継モデルを“格上げ”したものとなる。
主要メーカー初のPCI Express 4.0対応
PCIe 4.0に対応するSSD自体は、CFD販売の「PG3VNFシリーズ」やSeagateの「FireCuda 520」など、2019年半ばから流通している。しかし従来は、Samsung、Intel、Western Digitalといったメジャーブランドの製品は存在しなかった。
980 PROはメジャーブランドのコンシューマー向けSSDとしては初めてのPCIe 4.0対応製品ということになる。
PCIe 4.0の1レーン当たりのデータ転送速度は、「PCI Express 3.0」比で2倍となる。M.2 SSDで使われる4レーン伝送なら、最大転送速度が毎秒約3.97GBから毎秒約7.87GBに引き上げられる。インタフェースだけでも、増速効果はてきめんだ。

980 PRO(手前)のフォームファクターは、970 EVO Pro Plus(奥)と同じ「M.2(2280)」となる。ブラックの基板、ラベルなど、見た目が大きく変わったわけではない。ニッケルコーティングされたコントローラー、キャッシュ用DRAM、NANDフラッシュメモリ2チップという構成も同様だ

980 PROの裏面。従来モデルと同様に、ヒートスプレッダーの役目を果たす銅箔層を備えるラベルが貼り付けられている。このラベルの効果で、ピーク性能(速度)の持続時間はシーケンシャルライトで34%、シーケンシャルリードで33%延びているという
シーケンシャルリードは“毎秒7000MB”に
980 PROには「250GB」「500GB」「1TB」の3種類の容量が用意されている。2020年内に2TBモデルも登場する予定だ。現時点で存在する3モデルにおけるシーケンシャル(連続)読み書きの性能は以下の通りだ。
- 250GBモデル:リード毎秒6400MB/ライト毎秒2700MB
- 500GBモデル:リード毎秒6900MB/ライト毎秒5000MB
- 1TBモデル:リード毎秒7000MB/ライト毎秒5000MB
最速の1TBモデルは、今までは考えられない高速さを発揮する。既存のコンシューマー向けPCIe 4.0 SSDではシーケンシャルリードが毎秒5000MB程度だったことを考えると、突出ぶりは目立つ。
ランダム4Kアクセス時のIOPS(1秒当たりの入出力回数)もリード時で2万2000、ライト時で6万と、こちらもコンシューマー向け製品としてはトップ水準となっている。
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