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品質向上に特効薬はない 新型コロナによる価値観の変化にどう対応したのか? マウスコンピューター小松社長に聞くコロナ禍でも売上利益とも過去最高に(2/2 ページ)

世界的に、文字通り激動の1年となった2020年をPCメーカーはどのようにサバイブしてきたのか。マウスコンピューターの小松社長に聞いた。

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―― 長らく乃木坂46をTV CMなどで起用されていましたが、2020年からはマツコ・デラックスさんに変わりました。こちらについてはお考えがあるのでしょうか?

小松社長 CMについては、目標の変化が大きいですね。これまでは社名の認知を優先させて、とにかくマウスという社名を広く知ってもらうということを目指してきました。乃木坂46さんを起用させていただいて、おかげさまでその目標はある程度は達成できたと思います。次のステップとして、「マウスコンピューターは国内生産のパソコンメーカーである」ということをアピールしていきたい、発信していきたいというのが意図になります。

マウスコンピューター小松社長
マウスコンピューターのWebサイトにあるポスターの一覧。マツコ・デラックスさん一色だ

意識してきたのは「お客さまの声、従業員の声に耳を傾ける」こと

―― 2021年で社長に就任されて15年がたちました。一貫して製品の品質向上に取り組まれてきたという印象がありますが、改めて今までの取り組みを振り返って教えていただけますか。

小松社長 2006年の就任当初から意識しているのは、お客さまの声をしっかり聞くということです。そして、私とお客さまとの間にいる社員、スタッフの声にも耳を傾けるようにしてきました。その上で重要課題として取り組んできたのが、製品品質の向上です。就任当時はアフターサポートで苦労をしていて、その先にはご迷惑をおかけしているお客さまがいました。メーカーの本質の部分でもありますし、ここは徹底していこうと取り組みました。

―― 品質向上のために意識してきたことは何でしょう?

小松社長 製品の品質向上に特効薬はなく、いろいろなことを積み重ねていく必要がありますので、地道に1つ1つ取り組んできました。サポートや修理の体制を整えることもそうですが、「品質というのは品質管理部門が作るわけではなく、社員1人1人全員が、自分の仕事の品質を上げることによって、結果的に製品、営業、サポートなどを含めた会社としてのクオリティーが上がってくる」というマインドセットが大きかったと思います。

―― 他に意識されたことはありますか?

小松社長 企業の経営者は、株主、社員、お客さま、地域のバランスをいかにとるかが重要ではないかと考えています。例えば「社員が働きやすい会社にしよう」というのは重要なことなのですが、それで会社の収益が良くなかったり、お客さまの満足度が低かったりすれば意味がありません。地域社会への貢献も重要です。どれが欠けてしまってもうまくいかず、バランスを取っていくことが結果的に全てに対して良いことにつながると考えてやってきました。

―― 具体的に思い入れのあるプロジェクトなどはありますか?

 思い入れは全ての取り組みにありますので、絞って挙げることはなかなかできないですね。逆に、できなかったこともたくさんあります。ただし、今日できなかったことが明日にはできて、あさってには当たり前のようにできているというように、一致団結して目標達成に向けて取り組んで進化していけたというのは、当社のいいところかなと思っています。

―― 就任当初と最近とでご自身の意識が変わってきたことはありますか?

小松社長 お客さまや社員とコミュニケーションをとって意見をきちんと聞く、という基本的な部分は変わらないですね。とはいえ世の中は動いていき、状況は変わっていきますので、お客さまと社員の声を聞きながら、変わったときにどう対応できるか、いかに適切な判断ができるかがポイントだと思います。

―― 社員のみなさんとコミュニケーションを行う際に意識されていることはありますか?

小松社長 公式行事として、半期に1回キックオフミーティングを実施し、経営状態や重点的に取り組んでいる課題、プロジェクトなどを説明し、そこで現場からの意見を聞く機会を設けています。自分が働いている会社が今どういう状況なのか、何を考えているのかを知ることはお互いにとってプラスだという考えからです。そうはいっても、このコロナ禍ではオフラインで会う機会がなく、雑談みたいなことがしづらくなっていることは今後の課題ですね。

―― 社長就任後の15年間を100点満点で自己採点いただくと何点でしょうか? その理由も教えてください。

小松社長 就任当初の基本ミッションであった「競争の激しいPC業界で生き残る」ということについては、無事に達成してこれたと思います。ただし評価というものはやはり自分でするものではありませんから……採点はお客さまにおまかせをします(笑)。

―― 最後に、これからの2021年、そしてその先へ向けての抱負、取り組んでいきたいことを教えてください。

小松社長 社会の価値観が大きく変わりました。変化した価値観に合わせて対応していかなければなりません。いろいろとやるべきことはあると思いますが、社内的には、みんなが健康で、仕事をしていけるような環境作りが1番ですね。

 お客さまには、より喜んでいただける製品を提供していくとともに、より安心して購入していただけるように取り組んでいきたいです。

 「マウスってどういう会社なのか」「マウスってどんなことをやっているのか」といった発信をしっかりとして、認知をしっかり高めていきたいと考えています。また、中長期的には、ストックホルダー(株主)のみなさまに対してビジネスの結果を出すとともに、地域、社会への貢献意識、発信も強めていきたいと考えています。2020年にSDGsへの取り組みを発表していますが、引き続きこちらも推進していきたいと考えています。

マウスコンピューター小松社長
マウスコンピューターも関連するSDGs目標を掲げている
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