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よく見ると実物と製品写真のサイズが違う? 「優良誤認」が疑われる画像にだまされないために牧ノブユキの「ワークアラウンド」(1/2 ページ)

製品を本物以上によく思わせようとする製品画像の加工は、海外メーカーで見られることがある。これらは優良誤認ではないのか、またユーザーとしてだまされないようにするには、どうすればいいだろうか。

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 とある海外メーカーが出したAndroidタブレット新製品のプレスリリースが一部で話題になったことがある。画期的な機能があるとか、とびきり価格が安かったわけではなく、掲載された写真のうち、ポートなどの配置を示した画像と、使用例の写真とで、ベゼルの厚みが露骨に違っていたからだ。

 大手PRメディアで公開されたこのリリースは、その後取り下げられてしまい現在は見ることができない。ただ、実際に製品を手にしたユーザーのレビューにも、公式サイトの画像との宣材写真とベゼルの厚みの違いを指摘する声があるほどで、それらが問題となってリリースを取り下げた可能性は高そうだ。

 この件に限らず、本物以上によく見せようとする製品画像の加工は、主に海外メーカーで見られることがある。日本人の感覚からすると「現物を見ればすぐバレるようなウソはつかないだろう」と考えてしまいがちだが、そこをちゅうちょなくやってくるので油断ならない。今回はこうした「優良誤認」が疑われる画像について説明しよう。

追求が難しい画像に関する優良誤認

 PCやスマートフォンの周辺機器は、サイズがコンパクトであることは大きな売りになる。USB充電器やモバイルバッテリーの本体サイズ、ディスプレイのベゼル幅、タブレットの厚さがよい例で、既存製品や他社製品と比べてどれだけ小さく薄いかを、比較写真やイラストを使って、視覚的に訴えようとしてくる。

 ところが実際に該当の製品を並べてみると、それほどサイズの差はないケースもよくある。つまるところ、比較材料となる写真やイラストを用意する過程で、なるべく違いがよく分かるよう、比較相手をより大きく、新製品をより小さく、縮尺を変えて調整しているわけだ。

 製品を実際よりもよく見せる表現は一般的に景品表示法の「優良誤認」として扱われ、悪質なケースでは事業者に対して措置命令が出ることもある。ニュースを検索すれば、こうした措置命令はひんぱんに出ていることが分かる。

 もっとも、中古車の走行距離が実際には10万kmだったのを3万kmと表示したとか、人工ダイヤを天然ダイヤと表示するといった、言い逃れが難しい優良誤認と違って、画像内にあるサイズの誤認というのはかなりのグレーゾーンだ。

 特に厚みが実際は10mmなのにその半分の5mmと書かれているといった、明らかに数字を偽っているのならまだしも、実際には「親指くらいの幅」があるのが「小指くらいの幅」に写っていても、なかなかそれだけで追求するのは難しい。「確かにおかしいけど、写真のアングルによってはそう見えないこともない」などと不問に付されるのがオチだ。

 特にサイズに関しては、いかなる場合においても、小さい方がよいとは限らないというのが、話をややこしくしている。前述のベゼルなどは、幅が細い方があらゆる場合に有利でなく、幅が少し太い方が指をかけやすく持ちやすいという人もいるかもしれない。このように、視点一つで優劣がひっくり返る場合は、なおのこと判断が難しい。

 これに加えて、PC関連のマーケットは、生活用品や食品などと比べてユーザーの母数自体が少ないので、苦情を寄せる人数もたかが知れている。冒頭の例ではたまたま、写真とイラストで幅が全く異なっていたために話題になったが、それでも措置命令などに至っていない。

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