検索
インタビュー

好奇心を高めること磨くことは教育や成長の原点 インテル鈴木社長が考える日本の未来IT産業のトレンドリーダーに聞く!(インテル 後編)(3/3 ページ)

コロナ禍以降も、経済環境や社会情勢が激変する昨今。さらに急激な円安が進む中でIT企業はどのような手を打っていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載のインテル 後編をお届けする。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

2023年のインテルを象徴する漢字は「肇(はじめ)」 その心は?

―― 鈴木社長は、2019年からデータのやりとりや分析、活用を核として、事業の刷新や成長を図る「DcX(データ・セントリック・トランスフォーメーション)」を推進する活動に力を入れていきました。この成果はどうですか。

鈴木氏 経営トップの方々と話をして感じているのは、データの利活用が、PoC(Proof of Concept:概念実証)の段階を終え、経営の中に実装されて実際に動き始めているケースが増えているという点です。

 3年前には全くなかったDcXの動きが、日本の大手企業の中で出始めているなという手応えはあります。さらに、データを単独の企業の中で活用するだけでなく、企業間や業界内で利用するといった動きが出てきていることも見逃せません。

 データに対する経営トップの意識変化や社会情勢の変化、テクノロジーの進化など、いろいろな要素が組み合わさってDcXの理解が進み、それが経営の一部に取り込まれているケースが増えています。

 これまでは当社がデータ活用の重要性を示したり、企業をまたいだデータ活用の提案を行ったりしてきましたが、ここまでくるとこちらが何も言わなくても、DcXが自然に広がっていくというフェーズへ徐々に入り始めると思っています。

 これに伴い、「データの民主化」が進展することになると思いますが、そこにもインテルは改めて関わっていく必要があります。DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)やGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)のような規制への対応、新たなルール作りといった課題が出てくるかもしれません。

 当社が持つ中立性や国を超えた活動が行えるという立場は、DcXが次のステップに進む上で、新たな形での活動や支援ができるのではないかと思っています。

―― 2023年はどんな1年になりますか。

鈴木氏 漢字一文字でいえば「肇(はじめ)」となります。「肇」には、切り開くという意味があります。ここ数年を振り返ると、地政学的な課題が生まれ、経済環境が大きく変化し、2023年は依然として不確実で不透明な時代が続くと見られています。しかし見方を変えれば、だからこそ、ここを起点になにかを始めやすい年でもあり、切り開くべく新しいことに取り組まなくてはならない年になってくると思います。


書道家である涼風花さんの筆による「肇(はじめ)」。2023年のインテルを表す漢字でもあるという

 そこで、インテルは何をするのか。私は何かを始めるために多くの人たちとつながり、分からないことがあれば、それを知るための努力をしていくということになります。この姿勢はずっと継続していくことになります。学ぶこと/知ることによって地ならしを進め、それを継続的に繰り返し積み重ねることで土台が出来上がり、その中から2023年を起点にして、切り開かれるものが出てくるのではないかと思っています。それが、2023年の当社の姿勢となります。

 将来を念頭に置き、市場をけん引する製品の開発や提供、半導体サプライチェーンの強靱(きょうじん)化を支えるIDM 2.0の推進、サステナビリティに向けた取り組みの加速化、デジタル人材の育成といった取り組みを通じて、当社は産業と社会に寄り添いながら、持続的な成長を続けていきます。

―― ちなみに、インテル本社は東京都千代田区にある国際ビルヂングに長年ありますが、全く移転する気配がありませんね。新たな働き方に合わせて移転するIT企業も多いのですが、インテルはどうですか?

鈴木氏 とても気に入っているビルですから、移転するつもりは全くありません。ビルが面している丸の内仲通りの雰囲気はとてもいいですし、このビルがなくなるまで居続けたいと思っているくらいですよ(笑)。


インテルが長年本社を構える国際ビルヂング。一部ではクニギワとも呼ばれている
前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る