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インタビュー

絵文字のルーツはシャープの電子手帳? AIoTクラウドが日本の製造業を支援する理由IT産業のトレンドリーダーに聞く!(1/3 ページ)

ポストコロナ時代に入り、業界を取り巻く環境の変化スピードが、1段上がった。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。大河原克行氏による経営者インタビュー連載のAIoTクラウド 後編をお届けする。

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ポストコロナ時代に入ったが、世界情勢の不安定化や続く円安など業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。前編の記事はこちら


 AIoTクラウドは、2027年度の中期経営目標として売上高100億円を掲げている。WIZIoT ラインで50億円、スリーゼロラインで40億円、IoTデータ利活用事業で10億円という内訳だ。

 ただ、この目標の達成には「T2D3」の達成が不可欠になる。これは、毎年3倍/3倍/2倍/2倍/2倍(5年で72倍)という、世界で成功するスタートアップ企業が描く成長曲線だ。

 この成長に向けて、AIoTクラウドの松本融社長はどんな手を打つのか。インタビュー後編では、AIoTクラウドが打ち出した2027年度に向けた意欲的な事業計画と、それに向けた具体的な戦略について聞いた。

 また、かつて松本社長が携わってきた電子書籍端末「GALAPAGOS」に関する、今だからこそ語れるエピソードについても触れてもらった。

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AIoTクラウドの本社があるNBF豊洲ガーデンフロント(東京都江東区)で代表取締役社長の松本融氏にお話を伺った

UXはSaaSビジネスを拡大する際に重要な要素

―― 2023年11月にシャープが開催した「SHARP TECH-DAY」では、AIoTクラウドが、画像認識AIの学習コストを大幅に削減する「AIゼロショット画像認識・状況判定」を展示していましたね。

松本 この技術は、画像認識AIの学習コストを大幅に削減するとともに、認識対象を簡単にチューニングすることができます。画像読み込みによる学習を行わずに、認識対象物を増やすことが可能なため、WIZIoT遠隔監視サービスに応用すれば、メーターだけでなく多彩なデータを読み取ることができるようになります。

 また、現場の様子を映し出すだけで、どこが危険であるのかといったことも分かるようになります。水たまりができているので滑りやすいとか、工具が出しっぱなしになっているので危険であるといった状況が認識できます。

 これを事前学習なしで検知できますし、その情報を取り出すときには自然言語で入力すれば済みます。「工具が出しっぱなしになっていれば教えてほしい」といえば、該当する場所を特定して、テキストや音声が返してくれます。これを活用することで、遠隔監視を幅広いユースケースに対応できると期待しています。

 まだ研究開発段階のものであり、どんな形でお客さまのお役に立てるかはこれから検討していくことになります。これ以外にも社内には研究開発レベルの技術がいくつかありますし、業務効率を高めるために生成AIをどう使うのかといった点でも要素技術の開発にも取り組んでいます。それらを早い段階で、お客さまのサービスとして提供できるように進化させていきたいですね。

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WIZIoT遠隔監視サービスを使って、スマホやカメラでメーターを読み取っているところ
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管理画面では異常値が検出されると赤くハイライト表示になる。さまざまなデータ処理が可能だ

―― AIoTクラウドは、シャープの枠に捉われないビジネスへと転換していますが、逆にシャープとのシナジーはどんなところで生まれていますか。

松本 シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社やDynabookを通じて、「スリーゼロ」や、「WIZIoT遠隔監視サービス」の販売を行うケースが生まれています。当社では接点がなく、アプローチができない取引先にも提案してもらうといった実績があります。発に関しては、当社とシャープは、基本的には分離した体制で進めています。

―― AIoTクラウドにおける課題は何でしょうか。

松本 営業リソースが足りていないという点です。以前はシャープの営業リソースを活用していましたが、新たな体制になってから、その方針を転換し、当社独自の営業体制の構築に取り組んでいます。

 ここでは、「The Model」の手法を用いながら、それに対応できるスキルを持った人材を、社外からキャリア採用し、足りないスキルやマインドを埋めています。私を含めてシャープからきた社員は、どうしても頭で考えてから動き始める傾向があり、SaaSのビジネスに求められるスピードが足りないところがあります。

 やはり、ハードウェアビジネスならではのやり方が浸透していますから、そのスキルやマインドのままではSaaSビジネスには合いません。SaaSビジネスのマネジメント経験者を数人採用したことで、社内の枠組みができてきたところです。

 今後はインサイドセールスの経験者や、ハイタッチセールスの経験者も増やし、体制を強化します。成長するSaaSビジネスの企業は、5割以上がビジネス領域を担当するという構成比になっています。

 当社は、まだまだ開発部門が多いですから、その構造も変えていきたいと思っています。一方で生成AIは、これから重要な要素になってきますから、AIをビジネスに応用できるエンジニアを強化したいですね。同時に、クラウドサービスに適したUXを実現できるエンジニアも増やしていきたいですね。私自身、UX(ユーザーエクスペリエンス)をずっとやってきたので、こだわりの部分でもありますし、おのずと要求レベルが高くなってしまいますが(笑)、SaaSビジネスを拡大するには重要な要素だと思っています。

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2027年度までの中期経営目標

 SaaSビジネスを行うスタートアップ企業には、T2D3という成長目標があります。毎年、3倍/3倍/2倍/2倍/2倍で成長させ、5年間で72倍のビジネス規模に拡大するというものですが、当社もそれを目指しています。初年度はそれに近いレベルで成長を遂げ、今は2年目として、さらに高いハードルに挑んでいるところです。当社は、2027年度までに売上高100億円を目指しています。目標に対しては、まだ10分の1の規模ですが、それに向けて体質を強化していきます。

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