> レビュー		2003年6月2日　09:00 PM 更新

リーズナブルで高画質、デジカメ写真向け廉価インクジェット
セイコーエプソン　カラリオプリンタ PM-870C（3/3）

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　普通紙へのモノクロテキスト、カラービジネス文書、地図サイトの出力品位は、顔料インク採用製品に比べると文字やラインのにじみが目立つが、色味も濃く、実用的には全く問題のないレベルだ。

　注目の写真画質は、同社のハイエンドモデルと見比べるとわずかに劣るが、粒状感もほとんどなく、満足のいくレベル。肌色や淡い色合いも、若干くすみがあるものの、自然で美しい。もちろん、原色もきれいだ。年賀状などのポストカード出力はもちろんのこと、デジカメ写真の出力用にも満足して使える画質レベルである。

　「はやいモード」を使用し、普通紙へのA4モノクロテキストを出力した場合にかかる時間は、1枚あたり18秒強。カラービジネス文書は約41秒、地図サイトは約42秒と、決して速いほうではない。ただしこれは、普通紙出力にターゲットを絞った、普通紙印字スピードが速い4色インク機に比べての話で、全色染料インクを採用した6色インク機としては極端に遅いものではない。

　PM写真用紙にデジカメ写真を高精細モードで出力するスピードは、はがきサイズフチなしプリントで1枚当たり4分弱、ふちアリでも2分40秒ほどかかる。これは、急速に高速化が進むインクジェット製品の中では、遅い方である。

　デジカメ写真を数枚出力する程度ならいいが、年賀状などを大量にプリントする場合は、画質に多少目をつむってでも出力スピードを速くしたくなるスピードだ。

　このように、PM-870Cの画質はデジカメ写真出力にも耐える高画質だが、出力スピードが遅いのが弱点。しかし、価格を考えると、多少スピードが遅いのを割り切ってでも選ぶ価値のある写真画質と言えるだろう（印刷速度結果を表示）。

よく見るとハイライト部分にわずかに粒状感が感じられるが、人肌も比較的自然でバランスのいい画質だ

このような均一なハイライト部分が少ない画像であれば、ハイエンドモデルにも見劣りしない写真高画質が得られる

なかなかきれいに表現できない淡い色合いのこの画像も、自然に表現できている。低価格のミッドレンジモデルだということを考えると、この画質は素晴らしいの一言

高濃度側が若干つぶれ気味でややマゼンタが濃い目だが、比較的均一に色再現ができている

全色染料インクを採用しているため、文字には黒文字、色文字共ににじみが目立つが、実用的には問題なし

画質も高く機能も豊富なハイコストパフォーマンス機

　PM-870Cは、低価格のミッドレンジモデルでありながら、CD-Rダイレクトプリントやロール紙プリントに対応し、機能が豊富なのも魅力の一つ。「EPSON PhotoQuicker」など、写真出力をサポートする便利な付属ソフトも付いている。

　また、「EPSON CD Direct Print3」を使えば、CD-Rダイレクトプリントも誰でも簡単に楽しめる。ただし、ホームユースがターゲットにも関わらず、動作音が大きめなのが残念な点。動作音に関しては、今後の改良に期待したい部分だ。

付属ソフトの「EPSON PhotoQuicker」は、デジカメ写真を出力する位置の調整やトリミングができるフォトプリント用ソフト

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使用するプリンタを選択すれば、そのプリンタの仕様に合わせて用紙設定やレイアウトなども簡単にできる。初心者でも失敗なく写真出力を楽しめるのがいい

　以上、写真画質を中心に評価してきたが、その実力は想像以上だった。実売価格1万台半ば−後半で、デジカメ写真が美しく出力でき、ハイエンド機並みの機能も備えている本製品は、狙い目だと言ってもいいだろう。スピードが遅いのが難点だが、コストパフォーマンスが高く、デジカメ写真の出力用に低価格の高画質プリンタが欲しいという人にぴったりの製品である。

[田中裕子, ITmedia ]

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