> レビュー 2003年6月2日 09:00 PM 更新

インクジェット複合機の革命児
日本ヒューレット・パッカード hp psc 1210(2/3)


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3420のコンパクトさと5550の画質を兼ね備えた低価格複合機


 プリンタにイメージスキャナを合体させ、ノンPCでのコピー機能を搭載したパーソナル複合機が人気だ。今春も数多くの製品が投入されているが、その中でも異彩を放っているのが日本ヒューレット・パッカードの「psc 1210」。なにしろ複合機とは思えないほど小さい。そのコンパクトさは、単機能プリンタとサイズ比較をしたくなるほどだ。




本体サイズは426(W)×259(D)×170(H)ミリ、重量は4.31キロ。インクジェット複合機の中ではダントツに小さい

※必要スペースの目安となるように、可動部を全開にして撮影しています。また、カメラ位置などの関係で、実際のサイズとは違った見え方になる場合があります

 ここまで小型化できたのは、コンパクトプリンタ「deskjet 3420」の主要メカを流用し、シンプルな構造のCIS(コンタクトイメージセンサー)スキャナを採用したためである。CISはキヤノンのインクジェット複合機にも搭載されているが、本機の方がはるかにコンパクト。主要デバイスのコンパクトさを活かして、全体のパッケージの中でもその特徴を生かした形だ。

 プリンタ部は、メカこそdeskjet 3420ベースだが、インクカートリッジは「deskjet 5550」に採用されているものと同一。顔料系黒カートリッジ、3色カラーカートリッジの組み合わせで、インク容量も3420の2倍入っている。カートリッジ単価は高くなるが、交換頻度が低い方が使いやすく、またランニングコストの面でも有利だ。

 横方向の解像度は、フォト用紙利用時は4800dpiに設定可能と、なかなかのスペック。ただし、上位機の「psc 2150」で利用可能なフォトインクカートリッジには対応していないため、写真画質に関しては一般的な4色プリンタのレベルである。

 スキャナ部は600×2400dpi、入力12ビット、出力10ビットのスペックでA4に対応。解像力は価格を考えると十分だが、CISは被写界深度(ピントの合う範囲)が浅いため、立体物のスキャンは不得手。

 例えば本や雑誌をコピーする場合は、とじ部分に気を付けないとスキャン台から離れている部分がぼける。これは本機だけではなく、CISを採用したすべてのスキャナに共通する問題だ。この点が問題ならば、CCDスキャナを採用する機種を選んだ方がいい。ただし、本機がCIS採用との引き換えに圧倒的なコンパクトさを得ていることを考えれば、決してマイナスとは言えない。

 また、色味に関しても少々癖があり、適正な色でなかなかスキャンできない。ドライバの色補正が間違った方向で効いているようだが、上位機種のスキャナは写真をスキャンした時の画質が良好だっただけに改善が望まれる。階調特性もあまり良くなく、部分的に疑似階調が見られる。

良好な普通紙画質とコピー性能

 普通紙画質に定評のあるhpの4色インク機だけに、文字や普通紙へのカラー品質で不満を持つことはないはずだ。写真印刷時の粒状性は高いが、実売価格(予想価格2万円以下)を考えれば、こちらも納得できる。コピー時の画質では、むしろ上位機のpsc 2150より良い面もある。

 例えば緑色罫線の書類をカラーコピーすると、2150では黒罫線になってしまうが、本機ではきちんと緑で印刷できるなど、細かい画像処理で誤った処理が施されることが少なくなった。拡大コピー時の品質に関しても、文字エッジの滑らかさなどで進歩の後が見える。

 給排紙トレイはコンパクトなだけに少々頼りなく見えるが、実は100枚までの用紙をセットできる。はがきの場合は30枚となるため、大量の年賀状印刷時は不満を感じるかもしれないが、筐体のサイズを考えれば十分な数字だろう。

[本田雅一, ITmedia ]

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