> レビュー 2003年6月4日 07:30 PM 更新

カラーFAXコードレス留守番電話機がルーツのインクジェット多機能機
ブラザー工業 MyMio MFC-150CL(3/3)


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 しかし光沢紙への写真印刷はあまり良くない。4色インクだから……というレベルではない。インク滴の大きさから来る粒状性もさることながら、インク滴の配置が最適化されていないようで、同程度のハードウェアスペックを持つプリンタと比較すると、かなりざらつきが目立ってしまう。

 また色味もコントラストを強調する傾向が強く、シャドウ、ハイライトともに階調がつぶれる。このあたりは、カラープリンタドライバ開発ノウハウの蓄積の違いと言えるかもしれない。メモリカードダイレクトプリント機能に関しても、やはりコントラスト、彩度ともに演出過多の傾向がある。

コンパクトフラッシュ、メモリースティック、スマートメディアに対応したメモリスロットが本体前面に設けられており、メモリカードからのダイレクトプリントが可能だ。コンパクトフラッシュタイプのアダプタを使うことで、SDメモリカードも利用できる

 CIS(コンタクトイメージセンサー)採用の600dpiスキャナに関しても、プリンタと同様の印象を受けた。CISの特徴として、解像感は出しやすいが光量が不足しがちで、被写界深度が浅いという問題がある。本機の場合、被写界深度の問題が出る前に、スキャナ面に密着できない被写体をスキャンするとガラス面から数ミリ離れるだけで光が届かなくなり、真っ黒になってしまう。

 さらにスキャナユーティリティは、Windows標準の機能をそのまま使っており、細かな画像調整やスキャンエリアの設定が不得手。WIAに対応しているため互換性の問題はないものの、機能的には単体販売されているフラットベッドスキャナの使い勝手には遠く及ばない。

ブラザーブランドの今後の発展に期待

 本機の性能、機能面での問題は、主にPC用プリンタ、スキャナとしての経験不足に起因するところが多いように思う。hp、キヤノン、エプソン、レックスマークなどは、激しい競争の中でPCプリンタの機能を争ってきた。レックスマーク以外は、フラットベッドスキャナの分野でもトップブランドである(hpは日本以外の市場でのみ)。

 特に写真のスキャンと印刷に関しては、その画質向上をいかに行うかのノウハウは、一朝一夕では得られない。例えばコピー機能に関しても、PC用ドライバにおけるカラーイメージ処理技術のノウハウが功を奏して、高い画質を実現している製品がほとんどだ。

 そうしたノウハウの蓄積がない代わりに、ブラザーには家電製品としてFAXや留守番電話などを手頃な価格で提供してきた別のノウハウがある。問題はソフトウェアによって解決できる部分も多い。本機にしても、PCとつなぐこともできる家電として捉えると、多機能で扱いやすい製品だ。

 今後の開発によって、ブラザーブランドの複合機が発展することを願いたい。

MyMio MFC-150CL:印刷サンプル

写真のコピー

黒が黒くならず、全体のコントラストが浅くなっている。特に肌色は健康的に見えず、花やフルーツも新鮮さを失った。またハイライトとシャドウの両方をつぶしたトーンカーブを、かなり極端にかけているようだ。髪の毛のディテールは全くなくなってしまった。粒状感も最近の機種では珍しいほど目立つ

PCからの出力

PCからの出力では写真コピー時よりもずっと写真らしい絵作りとなるが、ハイライトとシャドウをつぶし気味にする傾向と粒状感の多さは変わらない。色は派手で彩度を大幅に強調する。本サンプルでは目立たないが、他のケースでは彩度が飽和して階調が失われるケースも見られた

普通紙へのコピー

派手めの色補正とコントラストを強調するトーンカーブが普通紙にマッチしているのか、普通紙コピーの画質は悪くない。オリジナルへの忠実度という面では疑問も残るが、普通紙コピーの性格を考えれば悪くない。にじみは少ない方ではないが、もともと解像感がそれほど高いタイプではなく、インクジェットプリンタとしては平均的

[本田雅一, ITmedia ]

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