> ニュース 2003年6月11日 07:14 AM 更新

“ソニーのバイオ”はどこに行く?――彼らが目指す“ホンモノ”(2/4)


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 「ノートパソコンとは? デスクトップパソコンとは? その境界は徐々になくなっています。フォームファクターによる区別がなくなるとは思わないが、ハッキリした境界線はなくなるでしょう。そうした意味では、これまで二つに分かれていたカンパニーはを一つにする方がいいと考えています」

 カンパニーを統合すると、どのような効果が期待できるのだろう?

 「バイオはソニーの中でも、大きなビジネスに成長していました。デスクトップとノート、二つあったカンパニーがそれぞれに大きな組織で、それぞれに異なるカルチャーがありました。この二つのカルチャーの間にある壁を取り去ることで、新しい市場に対応できるようになると考えています。新しい市場に適応するためにも、メンバーには“過去に作った製品は忘れてしまえ”と話しています

ソフトウェアベンダーとして超一流を目指す

 バイオシリーズはこれまで、独自のソフトウェアで新しい価値を創造しようとしていた。ところが、バイオのソフトウェアを使わず、汎用のWindowsパソコンとして使うユーザーも少なくない。今後もソフトウェアへのコミットは続けるのか?

 「ソフトウェアはバイオという製品を語る上でのキーとなっていました。しかし、近年は差別化の要因にはなっていません。まだまだそれ自身が光を放つほどではありません」

 ソフトウェアを商品力アップの“テコ”にするためには、何が足りないのか?

 「ユーザーが初めて使った時、“おっ!このソフトは確かにすごい!”と、ストレートに感動してもらえるものじゃなければならない。しかし、世の中を見回してもそういったソフトウェアは多くありません。驚きと感動を作るには、超一級品のソフトウェアじゃなければならない。ところが、そういうソフトをバイオ事業の中で作れていませんでした」

 バイオはソフトウェアとAV機能の融合体であったハズなのに、近年はパソコンハードウェアとしての魅力を追いかけていたようにも見える。本当にソフトウェアがバイオ復活の鍵を握るのだろうか?

 「パソコンメーカーで、ここまでソフトにコミットしているところはないでしょう。競合する相手がいない中でのチャレンジになります。例えば、最小限の操作でDVDを作成できる『Click2DVD』は、米国などの市場では高い評価を受けています」

 「しかし、Click2DVDぐらいでは、ユーザーに衝撃を与えることはできないのは認識しています。結局、本体の付属物にしかならないソフトウェアではダメなんです。今、バイオの魅力のうち、専用ソフトウェアは10から20%ぐらいの魅力しか持っていません」

 「でも、魅力的なハードウェアと魅力的なソフトウェアがシナジーを生み出すには、それぞれの魅力を50対50にする必要があります。50と50が共鳴して120、150の魅力を持つ製品ができる。ハードウェアばかりが市場拡大を牽引してきたのがこれまでのバイオ。しかし、これからは違います」

 昨年末の製品では、それまでバラバラだった専用ソフトウェアの一部が統合されるなどして、使い勝手の面でも変化しようという気持ちが見えるようにはなってきている。しかし開発のアプローチに変化がなければ、大きな飛躍はない。

 「ソフトウェア開発に関しては、少しずつ変えていきます。最終的には大改革となるでしょう。飛躍をするために、単体のソフトとしてどういう機能を作るかではなく、バイオという製品全体の力を向上させるアプローチを徹底します」

 「力があるソフトウェアは、将来性、パソコンの新しい可能性などを想像させるものです。1〜2年の間には、ユーザーが“これは事件だ!”と驚くぐらいのインパクトがあるソフトウェアを出します」

“ホンモノ”にはユーザーを振り向かせる力がある

 もっとも、ソフトウェアの力だけで復活できるほど、市場は甘くはない。AVとコンピュータを融合させたAV/ITコンセプトも、他社が真似てくるようになった。バイオがユニークな商品であり続けるために、どのように舵を切って行くのか?

[本田雅一, ITmedia ]

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