> レビュー 2003年8月12日 02:46 AM 更新

低価格な“iPodキラー”の実力は?――HDD携帯音楽プレーヤー「Zen NX」(2/2)


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 Zen NXとiPodの主な仕様の違いをまとめてみた。今回のレビュー機は20GバイトのNX 20GBだが、iPodには20Gバイト版がないので、最上位機種の30Gバイト版同士で比較を実施。iPodはHDDの容量によってサイズや重さが異なるが、Zen NXではHDDの容量以外は20Gバイト版と30Gバイト版の仕様は同じだ。

商品名Zen NX 30GBiPod 30GBモデル
型番CNJBZN30UM8948J/A
大きさ(幅×高さ×厚さ)約76×113×22ミリ61.8×103.5×18.7ミリ
重さ226グラム176グラム
PCインタフェースUSB 2.0を本体に装備専用Doc経由でIEEE1394、USB 1.1/2.0(ファームUGで対応)
バッテリーライフ14時間8時間
ストレージクラス非対応(付属ソフトで擬似対応)対応
音楽ファイル形式MP3/WMA/WAVMP3/WAV(MacintoshのみAAC/AIFF/Audible対応)
ディスプレイ132×64ピクセル、バックライト付き160x128ピクセル、バックライト付き
内蔵キャッシュ16MB32MB
対応OSWindows XP/2000/Me/SEWindows XP/2000/Me、Mac OS X(10.1.5以降)
価格オープン(3万6800円前後)5万9800円

 従来のZenシリーズは、PCインタフェースとしてUSBのほかにIEEE1394も用意されていたが、Zen NXはUSBのみとなった。USB 2.0接続の場合、アルバム1枚分のMP3データ(40M〜50Mバイト)の転送は10数秒で終了し、IEEE1394接続と変わらない高速転送が行える。ちなみに、同じデータをUSB 1.1接続で転送すると1分以上かかってしまう。


Zen NXのPCインタフェースはUSBのみ。USB 2.0接続なら、アルバム1枚分の転送は10数秒で終了

 スペック上でのZen NXの大きな優位性は「バッテリーライフ」と「価格」だろう。iPodはやはり「サイズ」のメリットが大きいが、ストレージクラス対応によって高速転送が行える外部HDDとして使える点も見逃せない。

 Zen NXも、付属のソフトウェア「File Manager2」によって“擬似的”にストレージクラスに対応し、外部HDDとして利用できる。従来のZenシリーズに同梱されていたFile Managerは、ソフトウェアを立ち上げないとファイル転送ができなかったが、新バージョンになってUSBケーブルに接続するだけで自動認識し、ストレージクラス対応の外部HDDと同じ操作感覚になった。

 しかしいずれにしても、File Manager2をインストールしていないPCでは、USB接続しても外部HDDとして認識されない。これでは、せっかくの大容量HDDや高速インタフェースも宝の持ち腐れだ。この辺は、ストレージクラスに完全対応したiPodの方が使い勝手はよさそうだ。

 CDからMP3/WMA形式へのデータ作成やZen NXへの転送は、付属の音楽管理ソフト「Creative MediaSource」を使って行う。CDDB対応で、英語だけでなく日本語の曲データもそのまま取得可能。従来の音楽管理ソフト(Creative PlayCenter)よりもシンプルな画面構成だが、必要十分な機能は用意されており、AudioSync機能によってPCとZen NX間の音楽ファイルを完全に同期させることができる。


もちろん本体表示も日本語に対応

 iPodではサポートしていないWMA形式に対応しているため、MP3とほぼ同じ音質でより多くの曲数が収録できるのもZen NXのメリット。WMAでの収録曲数は8000〜12000曲となり、アルバムCDなら600〜800枚以上に相当する。筆者の場合、たぶん一生で聴くアルバムCDをZen NXのHDD容量でまかなえるだろう。

 昨年、GIGABEATで市場参入したものの振るわなかった東芝も、HDD携帯音楽プレーヤーの意欲的な新製品を8月21日に発表すると予告している(別記事を参照)。

 HDDの大容量化が進み、一生分の音楽CDが収録できるようになったからこそ、HDD携帯音楽プレーヤーにも長く使えるための「高機能」「デザイン」「将来性」が求められている。「低価格な“iPodキラー”」として登場したZen NXは、HDD携帯音楽プレーヤー市場のすそ野を広げてくれることは間違いない。Zen NXの今後の製品展開で望むのは、現状の性能を維持しながら、さらなる小型化とデザイン性の向上を図ること。愛着を持って長く使える“こだわりの製品”なら、もう少し値段が高くても筆者はかまわないのだが。

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[西坂真人, ITmedia ]

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