事業戦略
ビジネスPC市場の視野拡大に向けた新しいワークスタイルの提案
モバイルに適したノートPCは、昨今飛躍的な進化を果たした。特にビジネスシーンにも新たなニーズが生まれつつあり、モバイルノートPCが主役になりつつある。ビジネスノートPCがどうあるべきなのか、東芝の戦略とこだわりをまとめる
パソコンの進化によって、ワークスタイルが、少しずつ、変わろうとしている。ハードウェアの高機能化や軽薄短小化技術の進展などにより、ノートパソコンがニッチ製品ではなくなり、性能や実用性の面も飛躍的な進化を果たした。しかも、その方向性は、まだまだ歩みを止めそうにない。
その結果、いわゆるビジネスモバイルが現実的なものとなり、それに伴って、質実剛健が大前提だったビジネスノートPCにも、新たなニーズが生まれつつある。
その潮流に応えるためのビジネスノートPCとは、どうあるべきなのか。本特集は、企業マーケットに対するノートパソコンのパイオニアである東芝の企業姿勢と、その戦略に基いて生まれてくるプロダクトのアドバンテージを探ることになる。
ビジネスノートPCの覇者になるための必須条件
企業のITマネージャーにとって、PCの導入に際する最大の悩みは、自分が個人で使うPCを選ぶわけではないという点にある。エンドユーザーは、スタイリッシュで気の利いたPCをほしがり、マネージャーは、堅牢さと信頼性を望む。
TCOを削減し、ROIを高めることが、最優先課題とされてきたが、更に、ビジネスモバイルユーザーのライフスタイルを充実させる面での、新たな快適さが製品に求められる時代である。もはや、オフィスのPCは、業務用のPCであってはならない時代がやってこようとしている。
仕事の道具として進化を続けてきたPCは、個人使用においては、どちらかというと、業務用の冷蔵庫を家庭で使うような面が否めない時代が続いていた。そのままではいけないと同時に、仕事の道具にも、質実剛健以外の付加価値も必要であることを、同社はずっと考え続けている。
両極端ともいえるニーズの双方に応えることが、今後の、ビジネスノートPCの覇者になるための必須条件といえるだろう。そして、それは、ユビキタス時代に、的確に対応していくための必須条件でもある。
こだわりは「品質」「ユビキタス時代の付加価値」「ニーズへの対応」
東芝は、今後のPC事業ビジョンとして「ワイヤレス・ブロードバンドを核とした競争力の高い商品の継続投入」「ホーム・ビジネス・モバイルの3つのドメインにおける顧客価値の創造という2つの柱を立て、その実現のために、2つの戦略を実行している。
ひとつは「No.1戦略」、そしてもうひとつは「Only.1戦略」だ。
「No.1戦略」では、国内ノートパソコンシェア20%の実現によって市場を牽引し、サービスナンバーワンを達成、グローバルをベースにビジネス規模を拡充するという。
また、「Only.1戦略」では、ノートPC市場をリードする先進技術をいち早く投入することで、信頼性の確保につながる「安心感」「安定性」「堅牢性」を維持しながら、差別化製品を投入し、新規市場を創出していくという。
この2戦略に加えて、現在の東芝が、もっとも執心しているテーマは「情報ダウンタイムの削減」。スピード経営のための次世代テーマとして、個人や企業が情報と分断される時間を最小限にするべく「性能」「高品質」「サポート」を統合して、ビジネス市場に製品を提供していくというものだ。
価値ある情報と情報を融合させることで、新たなワークスタイルが誕生するユビキタス時代には、その統合化はもっとも重要なテーマであると同社は考える。
そして、「高品質への追求」「ユビキタス時代での付加価値の創造」「企業の幅広いニーズへの対応」をコンセプトに、東芝の製品戦略が展開される。まさに、全方向ストラテジーだ。そして、その戦略にマッチした複数のユーザーセグメントが想定され、個々のセグメントに魅力ある製品を用意する。
これら戦略・コンセプトに基いて開発される技術・製品群の真実は、本特集内で明らかにされることになるわけだ。
製品開発へのアプローチは多角的
東芝は、ビジネス市場でお客様に満足していただけるよう、マーケティング活動に基づいた商品開発を行っているほか、コンシューマー市場でもマーケティング主導の戦略で市場を強力に牽引している。
これらマーケティング活動が新たなユーザーニーズの収集・分析につながり、東芝全体として、どのような世界をつくり、どのような価値を提供するかという議論につながっていく。その結果として、新たな東芝PCが誕生するというスパイラルを実践している。
PCの開発思想にも、それは現れている。ノートパソコンの肝とも言える「性能」と「可搬性」に加えて、「快適さ」、すなわち堅牢性、安定性、安全性、ワイヤレス、サポート力など、ビジネスにもコンシューマーにも通じる思想に貫かれている。
つまり、ビジネス市場において企業価値の向上につながるノートPCは、ユーザー自身の個人価値向上につながる製品になる、ということだ。本特集で、東芝の挑戦の“現在”そして“未来の一端”を紹介できればと思う。
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