> レビュー 2003年10月29日 04:57 PM 更新

染料「つよインク」の実力は?――PM-G800(1/3)

新カラリオプリンタのキーワードは「つよインク」。顔料インク採用の高画質機「PX-G900」とともに発表された「PM-G800」は、耐オゾン性を高めた色あせしにくい新染料インク「PM-Gインク」を採用したA4インクジェットの最上位機だ

耐オゾン性を高めた新染料インクを採用

 インクジェットプリンタ市場は、画質とスピードを競う時代から新たなステージへとステップアップしつつある。2002年末頃から始まった「複合機ブーム」がその一つ。そしてもう一つが、セイコーエプソンが提起した「耐候性」だ。

 染料系インクは、画質は高いが「水に弱い」、「放置すると色あせていく」という問題を潜在的に持っている。以前から光による退色対策には各社が取り組み、用紙の改良などにより10年以上色あせない工夫が施されている。写真スタンドなどに密封して飾っておく場合などでは、ある程度満足できる耐光性が備わっているのだ。

 その一方で、インクジェットプリンタで印刷した写真を何もせずにそのまま放置したため、写真が数カ月で色あせてしまったという経験をしている人もいるだろう。インクジェットプリンタの印刷物を空気にさらすと、染料インクが分解して色があせてしまうのだ。そのため、長期保存したいデジカメ写真はDPE専門店にプリントを頼んでいたという人も多いのではないだろうか。

 このような問題を解消するため、セイコーエプソンは空気、特にオゾンによる退色を防止する新染料インク「PM-Gインク」を開発し、染料インク系のラインアップに投入してきた。

 PM-Gインクは、インクの分子構造をオゾンの攻撃を受けにくいものに改良することで、これまで3カ月程度だった耐オゾン性を約10年まで延ばすことに成功した(数値はメーカー発表値)。これにより、クリアシートカバー付きのアルバムや写真スタンドなどに密封しなくても、写真を長期間保存できるようになった。


従来の染料インク(上)とPX-Gインク(下)の分子構造概念図。オゾンの攻撃を受けにくい構造に改良することで、インクが分解・脱色されにくくしている

 「PM-G800」は、このPM-Gインクを採用した染料系A4インクジェットの最上位機種だ。この上に新顔料インク「PX-Gインク」を採用した「PX-G900」があるが、画質的には最高ランクに属する機種だと考えてよい。


PM-G800の主要スペック

インク構成6色(Y/M/C/LC/LM/BK)
最高解像度2880×1440dpi
最小ドロップサイズ1.5pl(1.5/3/7plのMSDT)
インクカートリッジ各色独立タンク方式
対応用紙サイズ名刺、カード、L/2L版、六切、A6縦〜A4縦、89/100/127/210mm幅の専用ロール紙
インタフェースUSB 2.0×1
サイズ幅495×奥行き307×高さ198mm

 最高解像度は2880×1440dpi。最小インクドットは1.5ピコリットルで、一つのインク吐出口から1.5/3/7ピコリットル(最高解像度時)の3種類の大きさのインクを打ち分けて画質とスピードを両立する「MSDT」(マルチサイズドットテクノロジー)を採用している。インク数はイエロー、マゼンタ、シアン、ライトマゼンタ、ライトシアン、ブラックの6色。各色とも独立タンク方式だ。


インクは6色で、独立インクタンク方式。従来の最高画質モデル「PM-980C」よりも1色少ないが、6色でも十分に色再現できるようになっている

 インタフェースには、USB 2.0を1ポート備える。CD/DVDダイレクト印刷や、ロール紙を使った長尺印刷に対応するなど、インク以外の性能はPX-G900と同等で、コストパフォーマンスは非常に高い。デザインも、PX-G900と同様に高さが低く圧迫感のないスタイルに変更された。動作音も静かになり、前モデルよりもユーザービリティに配慮した製品となっている。

[田中裕子, ITmedia ]

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