高品質実現2
高品質を生み出す過酷な試験(1/3)

確固たる理論の上に成り立つ設計を、現実の製品品質へと反映させ、それを確認するには多くのテストが必要となる。その“いじめ”を耐え抜いた製品にのみ“TOSHIBA”“dynabook”のバッジは付けられる。実際に東芝青梅事業所におけるテスト環境を覗いてみることにしよう。

 設計思想、プロセスなどがいくら優れていても、実利用環境での信頼性が確認されていなければ、机上の空論で終わってしまう。確固たる理論の上に成り立つ設計を、現実の製品品質へと反映させ、それを確認するには多くのテストが必要となる。

 その内容は見方を変えると、PCへの“いじめ”である。東芝は考えられる限りのシチュエーションで発生するPCへのストレスを、システマチックなテスト装置で実証確認することで設計品質の確認を行う。そして“いじめ”に耐えられないことがわかれば、それを科学的に分析。設計にフィードバックし変更の上、再度、厳しいストレステストにかけられる。

 “TOSHIBA”、“dynabook”。これらのバッジを付ける東芝製PCは、すべてこれらの“いじめ”を耐え抜いた製品たちばかり。ではどのようなテストが行われているのか。実際に東芝青梅事業所におけるテスト環境を覗いてみることにしよう。

低温・高温環境試験

「温度5〜35℃、湿度20〜80%(ただし結露しないこと)」

 これは東芝製PCだけでなく、ほぼすべてのPCカタログにうたわれているPCの稼働保証環境である。しかし、これは“必ず動作する”という保証範囲であり、実際に動作する範囲はまた別だ。また動作することと、きちんと最高性能で動作することには大きな違いがある。

 たとえ保証範囲が同じであっても、結露しにくい、あるいは結露による影響を受けにくいデザインを意識しているかどうかが重要と言えるだろう。また近年、ノートPCの消費電力が増加していることを考えれば、高温環境においてきちんと100%のパワーを使い切ることができるか、といった視点で製品間の違いが出る場合がある。冷却性能が不十分なパソコンは、高温環境において温度上昇を防ぐため、性能を意図的に落とす制御を行わなければならない。

 東芝はマイナス30度から最高80度、湿度は20〜80%までの環境を再現できる装置を用い、動作パフォーマンスや故障傾向を計測・調査。トラブルや性能低下といった問題に関するデータを収集、製品へとフィードバックしている。


PCの動作保証温度で、実際に人間が動作させてみる試験。ちなみに本装置は、−30度から+80度まで設定することができる

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静電気放電試験

 電子機器であるPCは、静電気による故障や誤動作の可能性がある。そこで、人工的に静電気を放電させ、壊れたり、誤動作したりしないかをテストする。パームレスト、液晶面、キーボード、各I/Oポートなどにおいて試験が行われる。

静電気試験


静電気を発生させ、PCの動作状態を確認する試験。パームレスト、液晶面、キーボード、ポート周辺などで行う

耐衝撃性試験

 衝撃に対する耐性テストは、本体に対するものに加え、HDD単体に対するテストも行われる。東芝は、パーツ単位にも耐衝撃性を高めることで、ノートPC本体の品質を維持している。ご存じのようにPCの中でも、非常に精密で衝撃に弱いのがHDDだ。落下先の床材や被験対象を置くテーブルの質量などを変えることで、実際にかかる衝撃の大きさや、衝撃の作用する時間を細かくコントロールできるという。

 PC本体はともかく、HDDは部品メーカー側でテストされ保証値が出ているが、東芝では社内基準においてどの程度の耐衝撃性があるかを把握するため、必ず自社でのテストを行うようにしている。


落下等の衝撃に対するHDDの耐久試験。本試験設備は、日本に数台しかない

耐振動性試験

 細かな振動がある環境下で、実際にPCを動作させた時のテストを行う。またこちらも、衝撃テストと同じく、HDD単体でも実施するという。試験装置は縦、横にそれぞれ振動させることが可能。振動周波数は5〜500Hz程度の間で制御できる。

 このテストは主に、物流の最中に良品が不良品へと変わってしまうことを防ぐ目的があるそうだが、OSを起動させた状態でもテストが行われるため、実利用環境において起動中の振動に対する耐性を図る試験にもなる。

 利用者側からすれば、飛行機や新幹線の中で利用時の振動も気になるところだが、東芝によると乗り物のテーブルは、いずれもステー部に柔軟性があるため、故障が発生するほどのストレスがPCにかかることは、ほとんどないそうだ。


OSを起動させた状態で振動させ、正常に動作するかどうかを試す

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HDDをPCにつないでOSを起動させた状態で行う振動試験。縦・横に振動させる

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[本田雅一, ITmedia ]

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