> ニュース 2003年12月4日 08:50 PM 更新

3Dゲーム最前線インサイドレポート
HALO PCの秘密(第2回)


HALO PCを違うDirect X 世代GPUで動かす

 Pitchford氏は、各世代のGPUでHALO PCを動作させたときの違いを、以下のようにまとめている。

 Direct X 7世代GPU
ビデオカードNVIDIA GeForce2系、GeForce4MX系
ATI RADEON256系、RADEON7500系
活用されるフィーチャーハードウェアT&L
固定機能ピクセルパイプライン
ビジュアルクオリティ大規模な表現省略
ピクセルシェーダなし
1ポリゴンあたり2パス

 DirectX8世代GPU
ビデオカードNVIDIA GeForce3Ti系、GeForce4Ti系
ATI RADEON8500系、RADEON9000系
活用されるフィーチャー頂点シェーダ1.1
ピクセルシェーダ1.1
ピクセルシェーダ1.4
ビジュアルクオリティXbox版とほぼ同等

 DirectX9世代GPU
ビデオカードNVIDIA GeForceFXシリーズ
ATI RADEON9500以上
活用されるフィーチャー頂点シェーダ2.0
ピクセルシェーダ2.0
ビジュアルクオリティXbox版と同等、またはXbox以上(動作させられるシャーダによって決められる)

HALO PC Direct X 7世代GPUの場合

 Direct X 7世代のGPUを搭載したビデオカードの場合は、マルチテクスチャリング程度の表現に留まるため、ビジュアルとしてはかなり前世代的なものになる。

 具体的には「環境マップ、スペキュラ、バンプマッピングといったビジュアル効果が省略される」(Pitchford氏)とのことで、映像的にはかなり寂しいものに感じるだろう。ただ、それでも「ゲーム自体は問題なく楽しめる」(Pitchford氏)という。

 新世代3Dゲームとして注目されているid softwareの「DOOMIII」では、リアルタイム光源処理とリアルタイム影生成が実現不能なGPUでの動作は保証しない、という足切り姿勢を明らかにしている。これはDOOMIIIのゲームコンセプトが「影にモンスターが潜んでいたりする」などといった、リアルタイム光源処理とリアルタイム影生成に依存したデザインになっているためだ。

「幸いHALOというゲームは、DOOMIIIのような特定のビジュアル表現がゲームデザインと関連していないので、ビジュアル的には寂しくなってもゲームプレイそのものはできるようにした」(Pitchford氏)


DirectX7世代GPUの固定機能ピクセルパイプラインでは水面は水色の半透明表示になる(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)

HALO PC Direct X 8世代GPUの場合

 Direct X 8世代のGPUを搭載ビデオカードの場合は、ほぼXbox版と同等のビジュアルになるという。さて、なぜ「完全同等」ではなく「ほぼ同等」なのか。たしかXboxのGPUはDirect X 8に対応していたGeForce3相当であったはずだ。

 これはXboxのAPIはPC用Direct3Dよりも機能的に上回っている部分があるためだ。

「Xboxで提供されるAPI仕様の一部は、D3D8におけるプログラマブルピクセルシェーダ1.4を超越するケースもある。このため、まったく同じシェーダが動かないケースが発生する。こうした部分にたいして我々は独自技術でシェーダを書き直すことで対応した。Xbox版と見比べた場合でも遜色ない完成度になっていると思う」(Pitchford氏)


Direct X 8世代のGPU以降ではプログラマブルピクセルシェーダが活用され、環境バンプマッピング処理されたリアルな「さざ波」の表現が付加される(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)


環境マップによるメタリック感満点の主人公マスターチーフ。Direct X 8世代のGPU以上ではこのような表現になるが……(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)


Direct X 7世代GPUでは環境マップなしのテクスチャのみになる。マスターチーフのボディスーツがプラスチック製みたいな質感になっている(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)

HALO PC Direct X 9世代GPUの場合

 Direct X 9世代GPU搭載ビデオカードにおいて、Xbox版ではビデオメモリの容量やGPUそのもののパフォーマンス的な制約によって、省略されてしまったビジュアル表現に加えて、Xbox版ではなかった興味深い特殊効果をプログラマブルピクセルシェーダ2.0を活用して実現しているという。

 なお、Direct X 9世代GPUを搭載したビデオカードであれば必ずXbox版以上のビジュアル表現になるかというと、そういうわけでもないようだ。理由の一つはビデオカードラインアップのハイエンドとローエンドクラス間によって出てくるパフォーマンスの格差の影響。二つめの理由はNVIDIA製GPUとATI製GPUのそれぞれでサポートする機能とサポートしない機能に相違があることにより、微妙に表現が変わってくるらしい。

 具体的に言えば、gearbox softwareが作成した様々なシェーダプログラム群が片方のGPUで動作するが、片方のGPUでは動作しないという場合がある……ということだ。

(以下、次回へ続く。連載第3回では最後に説明した「GPUベンダーによる描画の違い」を紹介する予定だ)

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[トライゼット西川善司, ITmedia ]

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