> ニュース 2003年12月8日 10:16 PM 更新

初のEfficeon搭載ノートPC「MURAMASA」見参


 シャープは12月8日にEfficeonを搭載した初めてのノートPCになるMebius MURAMASAの新シリーズ「PC-MM2-5NE」「PC-MM2-1シリーズ」を発表した。出荷はコンシューマー向けのPC-MM2-5NEが1月2日から始まり、企業向けのCTOモデル「PC-MM2-1シリーズ」は1月23日から受注が開始される。

 価格はともにオープンプライス。実売予想価格はPC-MM2-5NEで約18万円、PC-MM2-1シリーズは構成によって異なるが、16万円から21万円になる予定。


Mebius MURAMASA「PC-MM2-5NE」 キーボードはポップアップしないノーマルな構造。本体重量は910グラム。本体厚は15.7〜19.6ミリと最も厚い部分でも20ミリを切っている。ボディーにはマグネシウム合金を採用


PC-MM2-5NEのシステムプロパティを表示。Processorの欄にはTM8000が表示され、駆動クロックは993MHzとなっている。ちなみにサウスブリッジはULiのM1563Mを実装。インタフェースとしてはTypeII対応PCカードスロット×1、USB 2.0×2ポート、LAN、VGAコネクタ(専用形状)が筐体に用意されている。また、無線LANはIEEE 802.11b/gをサポートする

 PC-MM2に搭載されたEfficeonの動作クロックは1.0GHz。シャープ情報通信本部パソコン・モバイル事業部事業部長の中村眞氏は「一日フルに使えるバッテリー駆動性能とメインマシンとしても使えるパフォーマンスを両立するためにEfficeonを選択した」と述べている。

 PC-MM2は従来モデルのPC-MM1の性能向上版と見ることもできる。システム全体のパフォーマンスを向上させるために、CPU以外のパーツにも変更が加えられている。ビデオチップにはLynx 3DM+に代わってMOBILITY RADEONを採用して3D描画性能を向上させ、HDDも軽量化と静音化を図り耐衝撃性を向上させるため、軽くて流体軸受けを採用した新しいドライブを搭載した。

 ただしメモリはオンボードに搭載された256Mバイトのみ。メモリスロットが用意されていないのでこれ以上拡張できない。Windows XP時代にやや不安を感じる容量だが、中村氏は「筐体を薄くするためにはメモリスロットを採用するわけにいかなかった。基板のスペースの関係で256Mバイトが限界だったが、大容量のメモリチップを使えば容量そのものは拡張できる。CTOやカスタマイズモデルで対応することも考えられる」と答えている。


Efficeonのパフォーマンスをアピールするために、シャープが示したPCMark2002 CPU値とWindowsの起動時間のグラフ。比較対象のPC-MM1-H6Wには同じTransmetaの「Crusoe TM5800/1GHz」が搭載されている。同クロックの比較でもEfficeonを搭載したPC-MM2のパフォーマンスが上回っているのに注目


PC-MM2に搭載された新しいHDDドライブは、厚さが2ミリ程度増したものの、フットプリントが小さくなり耐衝撃性もアップしている。1.8インチHDDを採用しているので容量は20Gバイト。このあたりは常に評価が分かれるところだ

 気になるバッテリー駆動時間は、カタログデータで標準バッテリー搭載時3.5時間(搭載時重量910グラム)。PC-MM2には標準バッテリーのほかに、バッテリー駆動時間6時間(搭載時重量990グラム)の「中容量バッテリー」とバッテリー駆動時間11時間(搭載時重量1170グラム)の「大容量パッテリー」がオプションで用意されている。なお、これらのバッテリーは排他利用になっていて、同時に利用することはできない。

 PC-MM2には、Windows XPに標準で用意されている電源管理設定以外に、LongRunを管理するパワーマネジメント系のユーティリティーツールが用意されていない。「ソフトウェアによるパワーマネジメントはWindows XPにお任せ」(シャープ情報通信事業本部パソコン・モバイル事業部商品企画部主事 青木芳和氏)しているPC-MM2には、パフォーマンスを重視した「NORMAL」とバッテリー駆動時間を重視した「MOBILE」の二つのモードを切り替えるスイッチが、ユーザーが設定できるパワーマネジメント機能として筐体に用意されている。

 「細かい設定項目を用意するよりも、二つのモードを切り替えるだけのほうが、分かりやすく使いやすいと考えた」(青木氏)

 モードによって「CPUの処理能力と液晶の輝度を切り替えて、MOBILEモードでは実使用におけるバッテリー駆動時間を長くする」(青木氏)と説明しているが、一方で中村氏は「JEITAの方法でバッテリー駆動時間のベンチマークをしてみても、NORMALモードとMOBILEモードでほとんど時間の違いはない」と述べている。

 「バッテリー時間を長く見せようとするJEITAのベンチマークでは、NORMALモードもMOBILEモードも結果に代わりはない。しかし、ベンチマークではなく、実際に使ってみると明らかに差が出てくる。評価するときもベンチマークの値だけでなく、実際に使って評価して欲しい」(中村氏)


左から大容量、中容量、標準のバッテリーパック。大容量と中容量はオプション扱い。形状を見てわかるように、現行のPC-MM1シリーズと共通になっている


キーボードの上に設けられたパワーマネジメントのモード切替スイッチ。NORMALとMOBILEの二つのモードが用意されている。このようにパワーマネジメントをハードウェアで設定できるノートPCは珍しい

 Mebiusユーザーに好評だったクレードルは、PC-MM2にも標準で用意されている。これまでのように起動しなくても外付けHDDのようにデータを共有できるDirectHDの機能が拡張され、デスクトップPC側のディスクドライブからPC-MM2にリカバリーデータをコピーして復旧作業を行う機能も追加されている。

 発表会では「TransmetaからのCPU供給に不安なないのか」という質問も出たが、「Transmetaからは順調に納入されている。供給に不安を感じたことはない」(中村氏)と答えている。

 中村氏は、数あるモバイル向けCPUのなかから、Efficeonを選択した理由についても言及している。「特定のメーカーを意識的に選んでいるわけでなく、それぞれのCPUを評価して我々の目的にあった適切なものを選んでいる」

 「シャープはこれまでもTransmetaのCPUを採用しており、経験やノウハウが豊富であることに加えて、Efficeonは、シンプルなハードウェアとCMSとLongRunといったソフトウェアの両方でパフォーマンスとバッテリーのバランスを柔軟に調整できる特徴がある。これはメーカーにとっても大きなメリットだ」


製品発表会には、さりげなく「参考展示」の製品が並べられていた。これはテカテカのパールホワイトでコーティングされた新色のMURAMASA。黒いテカテカ塗装では「指紋」がとっても気になるが、白ならそれほど目に付かない


こちらは、実際に販売されるインナーバック。色といい巾着といい和風テイストのデザイン


で、こちらが西陣織の豪華版インナーバックの参考展示品。「製品化すると4〜5万円はするでしょう」


同じ西陣織のインナーバックだが、こちらは現代風のデザイン

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[長浜和也, ITmedia ]

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