> レビュー 2003年12月16日 03:01 PM 更新

“考えるための道具”として進化を遂げた一太郎2004(2/2)

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文書校正機能も大幅に洗練・強化

 同音異議語の誤用や二重敬語といった誤った日本語を指摘する文書校正機能「修太」も洗練・強化された。

 同音異義語は誤用した時だけの指摘となり、例えば、正しく変換された「人口密度」では指摘されず、誤って変換された「人工密度」では指摘されるようになった。

 また、二重敬語、変更された名称、機種依存文字の指摘機能が新たに加えられた。「お読みになられる」→「お読みになる」(二重敬語)、「田無市」→「西東京市」(変更された名称)といった修正や、外字や「@」「A」(注:○に1と○に2)のような機種依存文字が使用されている場合に指摘してくれる。最近はWebで情報を公開するケースが増えており、作成した文章が人目に触れる機会も多い。校正機能を利用して文書の誤りはできる限りつぶしておきたい。

 さて、注目の「ATOK17」に話を移そう。

 ATOKを手に入れるために一太郎を買うユーザーがいるほど信頼されている日本語IMEだが、ATOK17は、入力した語句に類似する意味を持つ語句を変換候補として表示する「連想変換」をサポートした。例えば、「うつくしい」と入力した場合、「美しい」に加えて「麗しい」「煌びやか」「色めく」といった変換候補も表示される。変換候補の意味や用例が合わせて表示されるのは言うまでもない。ユーザーが思いつかない表現を提案してくれるので、これまでとは一味も二味も違った表現力豊かな文書を作成できる。意味や用例を理解したうえで効果的に利用したい。


連想変換は「Ctrl」+「Tab」キーで実行する

 また、ビジネス文書では御法度となる「ら」抜き表現や、「書いてる」といった「い」抜き表現の指摘など、校正支援機能が強化された。訂正候補の語尾を文脈に沿った形に自動変更する機能も備えている。方言対応では、第3弾として「中部・北陸」地方の方言に対応した。なお、「明鏡国語辞典・ジーニアス英和/和英辞典」がセットになった「ATOK17 for Windows電子辞典セット」(1万1000円)ならば、それぞれの辞書と連携でき、意味を調べたい語句を入力すると、変換候補とともに意味や用例が表示されるので、より便利に使えるだろう。

画像やレイアウト枠にキャプションを付加可能に

 一太郎13では、テンプレート図形として利用できるのは矢印と括弧の2種類のみだった。これに対し一太郎2004では、矢印、吹き出し、多角形、円、星形など4種類78個の図形が用意された。


「基本編集」モードを選択し、ナレッジウィンドウの「図で表現」を選択するとテンプレートが利用できる。

 写真やイラストを表示する画像枠に説明文が付けられるようになった。説明文は、レイアウト枠同様、文字サイズやフォントを設定できる。また、レイアウト枠には、フォントエフェクトツールを利用した見出しが付けられるようになった。

 説明文や見出しを本文と同じレベルで入力すると、編集作業によってレイアウトが崩れたりする問題があったが、この悩みから解放されることは大きい。連番機能が枠と本文で連動できればもっとよかったと思うのだが。


画像枠に説明文が付けられる。説明文は文字サイズやフォントも設定可能

Wordドキュメントとの互換性もさらにアップ

 オフィスアプリケーションソフトのトップシェアは、もはや表計算ソフトなら「Excel」、ワープロソフトなら「Word」であるのは、読者の方ならご存じだろう。一太郎ファンも、オフィスでWordが使われていれば、Wordを使わざるを得ない。

 このような状況に対処するため、一太郎2004はWordドキュメントとの互換性を強化している。一太郎2004で作成した文書をWord形式で保存できることはもちろん、Wordドキュメントを読み込んだ時のレイアウト崩れが改善された。


Wordドキュメントを読み込んだ時にレイアウトが崩れないよう改善された

 ブロードバンド時代を迎え、ますます重要になっているのが文書のセキュリティ確保だ。一太郎2004では電子署名が付けられるようになり、文書の非改ざん検証や文書作成者の本人認証などが行えるようになった。文書を暗号化して特定の人以外は開けないようにしたり、指定した文字や画像を塗りつぶして見えなくすることも可能だ。

 このほか、PDF出力品質の向上、画像データサイズの小容量化、表枠の改良、ツールボックスの操作性向上など、数多くの改良や機能強化が行われている。

 ほとんどの人がワープロソフトにWordを使っているという現状で、どのように一太郎が生き残っていくのか、という解をジャストシステムが出したバージョンが、この一太郎2004とも言えよう。「考えるためのツール」として多くの機能が搭載されているので、これまで一太郎を使っていたユーザーだけでなく、新たなコンセプトに共感を覚えるユーザーなら、購入してみる価値はあるだろう。

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[川越裕之, ITmedia ]

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