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2005/12/25 03:34 更新
やっぱりキミは来なかった 「線メリ」と過ごすひとりきりのXmas
IT戦士にも等しくこの夜はやってくる!「線メリと共にひとりきりのクリスマスイブを実際に過ごしてみる」という絶対零度の人体実験に新人記者(♀)が挑んだ!聖なる夜の聖なる試みの果てに待っていた結末は?Tonight's gonna be all right!
楽しそうにイチャイチャするカップルがむかつく。ケーキの箱を抱えて家路を急ぐビジネスマンが憎い。イルミネーションなんて電気の無駄だ。クリスチャンでもないのになぜキリストの生誕を祝うんだ。
やっかみや八つ当たり、屁理屈だらけの暗くせつない独り者のクリスマス。記者もすさんだ心でクリスマスを過ごそうとしていた一人だが、イブを目前にふと考え直した。今年はこれではいけない。IT戦士として目覚めた今年は……。
ITによる世界平和の実現を目指して日々戦うのがIT戦士の役割。汚い心でクリスマスを過ごすのなんてもってのほかだ。一介のIT戦士として、孤独でも楽しいクリスマスを創造しようではないか。心に決めた。
イブの夜。コンビニでケーキとチキンを購入。赤いサンタ帽と、イーレッツの「線上のメリークリスマスIII」(関連記事を参照)も用意した。USB接続のクリスマスツリーで、殺伐としたITルームもクリスマス仕様に大幅アップグレードしてくれる夢のアイテムだ。実売4000円弱だが、ヤフオクでは2万1000円で落札した人もいるという希少品である。
IT戦士の清く正しいクリスマスディナー。つぶれて形がゆがんだおにぎりは昼ご飯の残り物。清貧を旨とするIT戦士は食べ残しも無駄にしないのだ。孤独に負けない強い心を育てようと、一人なのにホールのケーキを買ってみた
ディナーを準備して、ケーキにもろうそくを立て、いざ線メリをスイッチオン!ブロワーに吹かれ、発泡スチロールの雪がさらさらと舞う。数年前の携帯電話の着信音のようなつたない音の「クリスマスイブ」(山下達郎)が流れる。曲に合わせてツリーの赤いLEDが点滅する。雪が舞い、クリスマスイブが流れ、LEDが点滅する。雪が舞い、曲が流れ、点滅する。繰り返し、繰り返し、いつまでも、いつまでも、いつまでも……。
むなしい。どんどんむなしくなってきた。もの悲しい音がむなしさの原因に違いないと思い、音楽に合わせて歌を口ずさんでみる。「きっと君は来ない 一人きりのクリスマスイブ サイレントナイト ホーリーナイト」……その通りだよ。君は今年も来なかったよ。一人しかいないこの部屋はまったく静かでサイレントでホーリーなことこの上ないよ……。
赤と緑の布を使って部屋の一角にクリスマスエリアを創出。サンタ帽もライト付きのものを選んでITを大いに活用したのに、むなしいのはなぜだろう
とてつもなくむなしくなったので、とりあえずケーキを食べることにした。人間は空腹だとろくなことを考えないものだから。
ケーキにはろうやススが落ちていた。上の写真がなかなかうまく撮れず、50回ほど撮りなおした過程で何本もろうそくが燃え尽きたせいだ。一口食べると口に残る違和感。ろうを食べてしまったようだ……。「Merry Xmas」と書かれたチョコもろうがかかって溶け、黒焦げになっている。
むなしい……。
チョコやケーキにかかった黄色いろうが無惨。チョコの後ろの丸い銀紙と黒いひもは燃え尽きたろうそくの残骸
焦げたチョコを見ながら考える。イブの夜に部屋で一人サンタ帽をかぶり、アングルや姿勢を変えながらセルフタイマーで自分の写真を50枚以上も撮るなんて私は女として終わっているのではないか。イブの夜に「IT戦士うんぬん」などという原稿をしこしこ書いている時点でもう真人間としての道を踏み外しているような気さえする……というか気づいたら夜中の2時だよ。もうイブじゃない、クリスマスだ。もちろんサンタなんて来るはずもないさ……。
いかんいかん、どんどん沈んできた。IT戦士として一人でも楽しいクリスマスを過ごすんじゃなかったのか。そうだ、クリスマスといえば雪だ。そしてIT戦士といえば分解だ。線メリを分解し、中のサンタさんと一緒に線メリの雪を使って遊んでみようと思い立つ。
線メリのベースをしっかりとささえて透明ドームを少し回すとドームは外れ、発泡スチロールの雪がさらさらとあふれだす。“分解”と呼ぶにはあまりに簡単でお粗末な行程だったが、まあいいじゃないか、クリスマスだし。
雪に囲まれ、ロマンチックな気分になってきた。「外は晴れているけど、私たちの周りだけホワイトクリスマスだね」なんてサンタさん(の人形)に語りかけてみる。発泡スチロールの柔らい感触が手に気持ちよく、ちょっと幸せだ。
線メリサンタさんと2人だけのホワイトクリスマス
ひとしきり遊んで満足し、雪とドームを元に戻す。雪は静電気で手にひっついたり、鼻息で飛んでいったりして散らかり、なかなか片付かない。またちょっとせつなくなりながらドームをはめる。
さて、もう一度線メリの雪が舞う様子を楽しもうとUSBに繋げてみる。
……?
スイッチを入れるとLEDは光る。音も鳴る。しかし雪が舞わない。もう一度ドームを開けてブロアー部分を掃除したり、本体を叩いたり振ったりしてスイッチを入れ直す。……やっぱり雪は舞わない。
線メリ、壊れた……。
もう2度と雪は降らない……
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イーレッツ
[岡田有花, ITmedia
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