LED照明の導入効果と注意点 第1回 「消費電力量」:LED照明(2/2 ページ)
夏を前にして、節電計画を担当する人の悩みは深いのではないだろうか。企業の節電対策の1つとして重要性が高まっているLED照明への切り替えをテーマに、効果的な導入方法を4回に分けて解説する。
大まかに現状をつかみ、消費電力量とコストを計算
蛍光灯をLED照明に入れ替えることで実際に削減できる消費電力量は、オフィスの状況によって変わってくる。「約45%削減できる」とする大塚商会でも、「導入を検討される顧客企業には、入れ替え前と入れ替え後の消費電力量を大まかに見積もることを勧めている」という。
消費電力量の見積もりは、すぐに分かるデータを簡単な計算式に当てはめるだけで可能だ。必要なデータは、現在使用している蛍光灯の消費電力(メーカー公称値)、1日の点灯時間、蛍光灯の本数、年間のオフィス稼働日。これらを掛け合わせれば、1年間の消費電力量になる。
例えば、消費電力が40Wの蛍光灯を使っていて、1日に10時間点灯して、蛍光灯の数は100本、オフィス稼働日が240日の場合には、1年間に9,600kWhを消費していると分かる。計算式にすると以下の通りだ。
40×10×100×240=9,600,000
これをLED照明に替えた場合の消費電力量は、上の計算式で蛍光灯の消費電力をLED照明の消費電力に変更するだけでよい。直管形LED照明で標準的な製品の消費電力は22Wとして、この数値を使って計算すると、1年間の消費電力量は以下のように5,280kWhになる。
22×10×100×240=5,280,000
両者の差を計算すれば、蛍光灯からLED照明に切り替えることで、年間の消費電力量を4,320kWh削減できる、と見積ることができる。割合にすると45%の減少になり、これが大塚商会による削減率の根拠である。
こうして見積もった年間の消費電力量の削減分に、電気料金の単価を掛ければ、1年間に削減できる電気料金を計算することができる。先ほど説明した計算例を基に、蛍光灯を使った場合とLED照明を使った場合の電気料金の差額が毎年どのように積み上がっていくのかを図3に示した。電気代は標準的な1kWhあたり20円として計算した。
この電気料金の差額によって、LED照明の初期導入コストをどのくらいの期間で回収できるのか。初期導入コストを低減する方法と合わせて、第2回の「コスト編」で解説する。
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