LED照明の導入効果と注意点 第2回 「コスト」:LED照明(2/2 ページ)
企業におけるLED照明導入の効果を検証する連載の第2回。前回比較した消費電力量のデータから、ランニングコストを比較し、初期導入コストを早期に回収する方法を解説する。
節電でピークを抑え、契約電力を下げる
LED照明に限った話ではないが、節電すると電力使用量にかかる電気料金のほかに、「契約電力」を下げられる可能性がある。契約電力の値によって、月々の基本料金が決まる。契約電力を引き下げることで、基本料金の引き下げも期待できる。
契約電力が500kW未満の高圧小口(高圧電力A)という種別の契約なら、節電により契約電力を引き下げることが可能だ。契約電力は「実量制」という方式で決まる。簡単にいうと、電力会社が30分単位で計測している消費電力量の最高値によって、1年間の契約電力が決まるという制度だ。
例えば、真夏のピーク時に電力を使いすぎてしまうと、その値を基に、その月から1年間の契約電力が決まってしまう(図4)。夏に使いすぎたペナルティを冬の間も支払うようなことになるわけだ。
先にも述べたように、LED照明の導入は、節電効果が大きい。毎月の消費電力量に応じた電力料金を引き下げる効果も期待できるが、契約電力の引き下げも期待できる。契約電力の引き下げについては、高くなる電気料金を削減へ、メニュー見直しとピーク制御が効果的を参照してほしい。
LED照明導入に補助金を出している自治体も
LED照明を導入すると、補助金を受けられる可能性もある。蓄電池やBEMSアグリゲータのように、政府による全国規模の施策はないが、自治体が補助金を用意していることがある。
例えば東京都中央区の「自然エネルギー・省エネルギー機器等導入費助成」制度では、区内に事業所がある中小企業や一般社団法人などを対象に、消費電力削減に役立つ機器の導入に補助金を支給している。
この制度の対象にLED照明も入っている。補助対象となる機器は、エネルギー消費効率が1ワット当たり40ルーメン以上であり、寿命が30,000時間以上のもの。40形蛍光灯とほぼ同じ大きさの直管型LED照明なら、この条件を十分満たしている。
補助率は、機器の代金と工事費を合わせた額の20%。中央区が推進しているCO2排出量を減らしていく取り組みに参加している企業なら、さらに多くの補助を受けることができる。
補助を受けるには、2013年3月31日までに機器の導入を済ませ、代金を支払い、区に導入完了報告をする必要がある。
中央区のほかにも、神奈川県横浜市も「中小製造業設備投資等助成制度」で、中小企業を対象に消費電力削減に役立つ機器の導入を支援している。台東区や墨田区も2012年7月から、LED照明の導入に補助金を支給することを予定している。
LED照明を導入する際は、自治体に補助金制度が利用できるかどうか問い合わせた方がよいだろう。
長期レンタルなら、初期導入コストゼロで始められる
初期導入コストを用意できない、オフィスを頻繁に移転するので、導入コスト回収が難しいなどといった事情を抱える企業にお勧めしたいのが、長期レンタルだ。この方法なら機器購入や取付工事などの初期導入コストは0円で済む。ただし、電気代のほかにレンタル料を支払うことになるので、毎月のランニングコストはやや高くなる。
例えば、日建リース工業が提供するオフィス向けのLED照明レンタルサービスでは、レンタル期間が3年のコースと5年のコースを用意している。月々のレンタル料金は3年コースなら照明1本当たり150円。5年コースなら1本当たり100円だ。同社は、どちらのプランも、レンタル料金は電気料金節約分で十分まかなえるように設定しているという。また、故障時には追加料金なしで何度でも交換することを約束している。
パナソニックは三井住友ファイナンス&リースと共同で長期レンタルサービス「あかりEサポート」を提供している。レンタル期間は7年もしくは点灯時間40,000時間の短い方と多少長いが、故障時の無料対応のほか、CO2削減効果の認証サービスや、新しい機器を導入した後、不要になった機器を適切な方法でリサイクルするというサービスも盛り込んでいる。
第3回の「機器選定、導入編」では、現在入手できる直管形LED照明を大まかに分類し、それぞれの利点、欠点を解説する。また、不要なトラブルを避けながら、スムーズに導入を進める方法も紹介する。
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