省エネ照明のもう1つの選択肢、「CCFL」の実力:省エネ機器(2/2 ページ)
消費電力量節減のために、LED照明を導入した人、あるいは導入を検討している人は多いだろう。LED照明の消費電力量は確かに少ない。しかし、省エネ照明の選択肢はLED照明だけではない。最近は、「CCFL」という種類の蛍光管が注目を集めつつある。
電子を放出する電極の形によって寿命が変わる
一般的な蛍光灯の寿命は12,000時間。LED照明を見ると、寿命を40,000時間としている製品がほとんどだ。CCFLの寿命はLED照明と同等の40,000時間になるという。CCFLを蛍光灯と比較すると、発光する仕組みや、蛍光管の構造はほとんど変わらない。ただし、電極の形が大きく異なる。この違いが、寿命の違いに関係している。
CCFLに対して、一般に広く普及している蛍光灯を熱陰極蛍光管(HCFL:Hot Cathode Fluorescent Lamp)と呼ぶ。どちらも、光を発する仕組みは変わらない。電極から電子を放出し、管の中に浮遊する水銀原子と衝突させる。すると紫外線が発生する。この紫外線が、管の内部に塗布してある蛍光体に当たると人間の眼に見える光となる。
内部に塗布する蛍光体を変えることで、光の色(色温度)を変えることができるということも、両者に共通する。CCFLも、HCFLのように、昼光色、昼白色、電球色というように、それぞれ異なる色の光を発する製品を作ることができる。
CCFLとHCFLの違いは、電極から電子を放出する方式にある(図3)。HCFLの場合、フィラメントにエミッタ(電子を放出する物質)を塗布したものが蛍光管の両側にある。発光させるときは、フィラメントがつながっている電極に電流を流し、フィラメントを加熱する。フィラメントの温度が一定の値を超えると、エミッタが電子を放出するのだ。
一方、CCFLは電極から直接電子を放出する。電極に高圧電流を流すと、電極が電子を放出するのだ。電子を放出する際に熱を利用しないため、「冷陰極蛍光管」という名前が付いている。
HCFLの電極は2つの端子がフィラメントを支える構造になっている。このフィラメントは、電流を流すたび(点灯するたび)に少しずつ劣化していく。一方、CCFLの電極は金属でできており、点灯するたびに劣化するということはない。その結果、CCFLの寿命は40,000時間と長くなるのだ。
3種類の光を発する
最後に、CCFLの「光の質」について説明しよう。現在、家庭やオフィスに普及している蛍光灯は「三波長発光形蛍光灯」と呼ぶ。これは、3種類の異なる波長の光を発しているということを意味している。
光の波長と言われてもピンと来ない人もいるかもしれない。波長が変わると、光の色が変わる。「3種類の異なる波長の光」は、簡単に言うと「3色の光」ということになる。
三波長発光形蛍光灯が発している光は、光の三原色、つまり赤、緑、青の3色。光の三原色を重ねて白色の光を作っているのだ。先に説明したように、CCFLが光る仕組みは蛍光灯と変わらない。オプトロムは、この点でも蛍光灯と変わらない光を実現できていると主張する。
一方、急速に普及しているLED照明では、白色の光を作るために青色LEDを利用している。青色LEDに黄色の蛍光体を重ねることで白色を作っている。LEDの光を「青みがかっている」と感じる人も少なくないが、このことが原因となっている可能性も考えられる。
「枯れた技術」にさらなる進化の余地はどれほどあるのか?
以上、CCFLを利用した照明の仕組みと特長を解説してきた。「低消費電力、長寿命、蛍光灯と変わらない光」と聞くと、新しい技術を活用していると感じる人もいるかもしれない。しかしCCFLは枯れた技術であり、オプトロムはその特長をうまく引き出し、能力を発揮させているということになるだろう。
消費電力節減のために照明を入れ替えようと考えると、LED照明しか考えないという人は多いだろう。しかし、E・COOLのように古くからある技術を活用して、LED照明と同じように消費電力量低減を実現している照明器具も存在するということは覚えておいた方がよいだろう。
LED照明や有機EL照明の技術革新は着々と進んでいる。性能はどんどん上がっていくはずだ。CCFL照明が今後も戦っていくには、CCFL自体の技術革新も必要になるだろう。
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