西日本の電力需要4月は前年から減少、家庭の節電が貢献:電力供給サービス
10地域の電力会社による4月の販売量の実績データがまとまった。夏の節電が求められている西日本では、各地域で前年を3〜5%下回る電力需要に収まった。特に家庭向けの電力は前年比で7%前後の削減率になっており、継続的な節電対策の効果がうかがわれる。
電力会社ごとに4月の販売量を見ると、東北電力が前年比で16.7%の大幅な増加、北海道・東京・中部は2〜3%の増加だった。そのほかの6つの地域は2〜5%の減少幅になっている(図1)。
東北は前年4月に20.3%も減っており、2年前と比べれば今年は3.6%の減少になる。東京の増加も前年4月に13.8%と大きく減ったことが要因で、2年前と比べると11%の大幅な減少である。
図1 電気事業連合会が公開した、2012年4月の電力需要実績確報。全国の電力会社10社の電力販売量実績をまとめたもの。「電灯電力」は家庭を中心とした小規模ユーザーへの販売実績。「特定規模」は業務用を中心とした大規模ユーザーへの販売実績
家庭向けと企業向けで分けると、家庭や商店などで使われている「電灯電力」が前年比で4.2%減ったのに対して、大企業を中心とする「特定規模」の電力需要が4.8%増えた。過去1年間の推移を見ても、電灯電力は震災の影響による3月を除いて継続的に前年を下回っている(図2)。前年4月も4.4%減っており、2年間で8.6%の減少になる。
一方、特定規模の電力需要は前年4月が8.0%と電灯電力を上回る減少幅だったが、2年間では3.2%の減少にとどまる。電力需要は毎年の気象条件によっても変わるが、この結果を見る限りでは、企業よりも家庭における節電対策のほうが成果を上げていると言える。
企業の利用動向に関しては、電力需要が大きい大口ユーザーの状況を業種別にまとめたデータがある(図3)。これを見ると、今年4月の電力需要が大きく伸びたのは「鉄鋼」と「非鉄金属」の2業種で、それぞれ1割強の増加になっている。特に東北では前年から2倍前後の伸びになっており、震災からの復興が進んできたことが推測できる。
「紙・パルプ」のように継続して電力需要を下げている業種はあるものの、そのほかの業種では2010年度と比べて顕著な削減は見られない。いっそうの節電対策が各業種の大口ユーザー企業に求められる。
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