両面で発電する太陽光パネル、企業や公共施設に向けて販売開始:蓄電・発電機器
固定価格買取制度開始を前にして、太陽光発電システムに注目が集まっている。しかし、太陽光発電システムは設置の際に太陽光が当たる角度などを綿密に計算し、計画を立ててから設置する必要がある。パナソニックは自由なレイアウトを許容する太陽光パネルの販売を開始する。
パナソニックは2012年6月7日、同社独自の「HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)」太陽光パネルの新製品「HITダブル」の販売を2012年8月6日から始めると発表した(図1)。価格は1枚当たり18万9000円。
アメリカやヨーロッパでは2006年からHITダブルの販売は始まっており、好評を博しているという。日本でも自然エネルギーの固定価格買取制度が始まることから、企業や公共施設からの需要が期待できると判断し、国内販売開始に至った。
特長は3つ。1つ目は太陽光パネルの表面だけでなく、裏面に当たる光も発電に利用できること。元々、HIT太陽光セルは表裏両面からの光を発電に利用できる構造だったが、これまでの製品では背面に不透明な素材を採用していたため、表面に当たる光しか発電に利用できなかった。
HITダブルでは、裏面の素材を表面と同じ強化ガラスに変えた(図2)。これで、裏側からの光が太陽電池セルに当たるようになり、表裏両面に当たる光をすべて発電に利用できるようになった。
太陽光が当たる角度に合わせて太陽光パネルを傾けて設置すると、表面に直接光が当たるだけでなく、地面に当たって反射した「裏面入射光」がパネル裏側に当たる。従来のHIT太陽光パネルでは、裏面入射光を生かせなかったが、HITダブルでは、この光も発電に利用できる。
2つ目の特長は、従来のHIT太陽光パネルに比べて、設置する方向や角度の違いによる発電量の差が少ないという点。駐輪場や駐車場の屋根や、ビルの壁面など、角度や方向を調整できない場所に設置しても、ある程度の発電量を期待できる(図3)。
3つ目の特長は、太陽電池セルと外枠の間隔を広げ、光が透過する部分の面積を増やしたこと。例えばビルの壁面に設置するとき、ほかの太陽光パネルでは室内に光がほとんど入らなくなってしまうが、HITダブルなら、ある程度の自然光が室内に入ると期待できる。
1枚当たりの公称最大出力は210Wで、変換効率は14.9%。外形寸法は1630×862×35mm。重量は26kg。
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