有機EL照明をビル入口に導入、LED照明では実現できない機能を活用:省エネ機器
LED照明ほどは目立っていないが、次世代の照明として「有機EL照明」の開発も進んでいる。三菱化学は、同社の有機EL照明を五洋建設に導入した。有機EL照明ならではの特長を生かして、今までにない使い方を提案している。
三菱化学は同社の有機EL照明パネル「VELVE」(図1)を、5月31日に竣工した五洋建設本社ビル別館に納入したことを明らかにした。五洋建設は、有機EL照明パネルを1階入口ホールの天井照明として採用した。納入数は合計で91枚。
五洋建設が有機EL照明を採用した理由は3つ。1つ目は有機EL照明パネルが薄く、軽いこと。VELVEは1枚あたりの重量が192gで、本体の厚さはわずか8.7mm。天井裏に大きなスペースを用意できないところでも、有機EL照明なら天井を低くすることなく設置できる(図2)。
2つ目は有機EL照明パネルが面全体で発光するという点。LED照明や電球などを使うと、発光部が「点」になり、その結果広い面積を照らせないということがある。その点、面発光の有機EL照明なら、面全体で発光し、光を広い範囲に散らすことができる。
3つ目は、三菱化学の有機EL照明パネル独自の特長である、「フルカラー調色」の機能を評価したためである。同社の有機EL照明パネルVELVEは、「RGBストライプ構造」を採用しており、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色で発光する部分が並んでいる。RGBのそれぞれの光の強さを調節することで、フルカラーの調色を可能にしている。
VELVEを設置した五洋建設本社ビル別館の入口ホールでは、通常時は91枚すべてのパネルを白色で光らせるが、来客時などには、光の色を大きく変えたり、一旦消灯したあと、来客を案内するように進行方向に向かって順に照明を点灯させていくといった演出が可能になっている(図3)。
三菱化学では、有機EL照明について、明るさの面ではLED照明などには及ばないところはあるが、薄型軽量、面発光、フルカラー調色という有機EL照明にしかない特長をアピールしていきたいとしている。
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