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大飯原発3号機がフル稼働へ、周辺地域の節電目標値も引き下げ電力供給サービス

関西電力の大飯原子力発電所3号機が、ほぼ予定通りのスケジュールでフル稼働を始めた。関西電力は、今夏の電力供給量についてまともな見通しを立てることすらできず、大出力を期待できる原子力発電所の再稼働に頼るしかない状況に追い込まれていた。これで、ひとまず供給量が安定すると見られる。

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 2012年7月9日午前1:00、ついに大飯原子力発電所3号機がフル稼働を始めた。2012年5月7日に北海道電力の泊原子力発電所3号機が停止して以来、およそ2カ月ぶりに原子力発電所の本格的な商業運転が始まった。

 政府は安定稼働を確認した後、関西電力管内の節電目標値を15%以上から10%以上に引き下げる。自力で十分な電力を調達できない関西電力に電力を融通している中部電力、北陸電力、中国電力各社管内の節電目標値も引き下げる(図1)。

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図1 大飯原子力発電所3号機フル稼働前の節電目標値(上)。政府は安定稼働を確認した後、節電目標値を改定する(下)

 ただし、四国電力管内の7%以上という節電目標値は変わらない。これは、四国電力管内で需要と供給のバランスを調整した上で、余力を他地域に融通することを前提にした設定であるためだ。これからは九州電力に融通する量が増えるとみられる。九州電力は供給量が大きく不足するとみられているが、大きく供給量を上積みする見込みも立っていないからだ。

 大飯3号機のフル稼働に伴い、関西電力は供給電力の構成比率を大きく変える。先週まで、大飯3号機は稼働していたもののフル稼働には至っていなかったので、その電力供給量は89万kWにとどまっていた。フル稼働開始により、供給量は118万kWまで上昇する。

 原子力発電所からの供給量増加に伴い、揚水型水力発電所の供給力も245万kWから、357万kWに上がる。原子力発電所と揚水型水力発電所の供給力増大に合わせて、他社からの受電量は645万kWから591万kWに引き下げる。

 関西電力は続いて、大飯原子力発電所4号機の再稼働に向けて作業を進めている。7月中にフル稼働を始める予定だ。4号機のフル稼働が実現すればさらに供給量を上積みできるが、4号機再稼働に伴うさらなる節電目標値引き下げの予定はない。

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