光熱費はゼロで10万円の売電収入、スマートエネルギーハウス実験結果発表:スマートホーム
家庭用燃料電池、太陽光発電システム、住宅用蓄電池といった発電、充電機器を装備した「スマートハウス」が注目を集めている。では、その効果はどれほどのものなのだろうか。大阪ガスと積水ハウスは共同で続けていた実験の結果を明らかにした。
大阪ガスと積水ハウスは、2011年2月から続けている「スマートエネルギーハウス」の実験結果を発表した。実験の結果、発電、充電機器を活用することで、光熱費をゼロにできるだけでなく、売電収入も期待できるということが分かった。
スマートエネルギーハウスとは両社が実験用に建設した住宅で、家庭用燃料電池(出力700W)、太陽光発電システム(出力5.08kW)、住宅用蓄電池(蓄電容量3.5kWh)の3種類の発電、充電機器を装備した住宅だ(図1)。2011年2月から、この住宅に3人が住み込んで実験を続けている。実験では燃料電池の利用効率を高めるために独自に開発した蓄電池の制御方法を採用し、快適な環境を損なうことなく節電効果を高めるために検証を重ねたという。
今回、両社が発表した実験データは家庭用燃料電池、太陽光発電システム、住宅用蓄電池の3種類の発電、蓄電機器がある場合とない場合の光熱費の違いを調べたものだ。データは2011年7月1日から2012年6月30日の1年間にわたって収集した。
実験結果によると、発電、蓄電機器がない住宅では電力会社からの年間受電量は4830kWhに達する。一方、発電、蓄電機器を装備している住宅では年間受電量は584kWhで済む。発電、蓄電機器の効果で、電力会社からの受電量を約88%抑えることができるという結果になった。
電気料金、ガス料金を合算した光熱費を計算すると、発電、蓄電機器がない住宅では年間の光熱費は21万149円となるが、発電、蓄電機器がある住宅では光熱費はかからず、売電で9万5695円の収入を得られるという結果が出た。年間のコスト削減効果は30万円以上にもなる。
両社はこの実験を2014年3月まで続ける予定。今後の実験では、3種類の発電、蓄電機器の制御方法の改善を進めるほか、電気自動車を住宅用電源として利用することも検討している。さらに、実験で得たデータを基に、2015年にはスマートエネルギーハウスを市場に投入することを目指しているという。
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