ニュース
走行用電力をおよそ45%削減、京王電鉄が全車両に新制御方式を導入:エネルギー管理
特に都市部においては、鉄道は人間の生活に欠かせないものになっている。しかし、鉄道には大きな電力を消費するという側面もある。日本の大手私鉄で初めて、京王電鉄が全車両にVVVFインバータ制御方式を導入する。すでに導入を済ませている回生ブレーキとの相乗効果で、電車走行時の電力を約45%削減できるという。
京王電鉄は全営業車両へのVVVFインバータ導入を2012年9月7日に完了させる。VVVFインバータとは、交流電流の制御方式の一種。電車の加速力や速度などさまざまな条件の変化に応じて、交流電流の電圧や周波数を変化させ、電車を駆動させる交流モーターを効率よく動作させるもの(図1)。
同社は1991年度から新たに製造を開始した8000系車両からVVVFインバータの導入を開始し、VVVFインバータを搭載していない7000系の車両への改造工事を2003年度から始めていた。まだ改造が済んでいない最後の車両が9月6日に工場に入り改造を済ませて、9月8日から全車両がVVVFインバータ制御となる。
同社はすでに1998年度までにすべての営業車両に回生ブレーキの導入を済ませている。回生ブレーキとは、電車にブレーキをかけたとき、モーターを発電機として利用して電力を得るもの。ブレーキをかけてもしばらくの間は慣性で車輪が回り続けることを利用したものだ。回生ブレーキで発電した電力は架線に戻し、近くを走るほかの車両が利用する。回生ブレーキの効果に合わせて、今回全車両に導入を完了したVVVFインバータの効果により、電車が1km走行するために必要な電力を45%削減できるという(図2)。
関連記事
- 太陽光+風力+LED、JR海浜幕張駅が電力を自給自足へ
太陽光パネルや風力発電機やLED照明などを導入して、発電と節電の両面を強化する - 鉄道会社も太陽光発電事業に参入、西鉄が自社工場の屋根にパネル設置
西日本鉄道は、同社の工場の屋根を利用して太陽光発電事業に参入する - 東京メトロの太陽光発電導入計画、東西線5駅に順次導入
東京メトロは数少ない地上駅に太陽光発電システムを導入していく計画だ - 節電、蓄電、発電で実現、電力自給が可能な駅
JR東日本は、駅舎の電力自給を目指して改修工事を進めている
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.