2012年度第1四半期の太陽光発電セル出荷実績、発電事業用が約4倍増:蓄電・発電機器
太陽光発電システムを自宅の屋根に設置して、電力を可能な限り自給自足し、電気代を減らそうとする動きが活発になっている。さらに、2012年7月から自然エネルギーの固定価格買取制度が始まり、多種多様な業者が太陽光発電所を建造し、売電を始めた。このような動きは太陽光発電セルに出荷量にどのような影響を与えたのだろうか。
一般社団法人太陽光発電協会は、2012年度第1四半期の太陽光発電セルとモジュールの出荷実績の調査結果を明らかにした。太陽光発電セルとは、太陽光発電パネルを構成する要素。複数の太陽光セルをまとめたものを太陽光発電モジュールと呼び、複数の太陽光発電モジュールを直列あるいは並列で接続して並べたものを太陽光パネルと呼ぶ。
調査結果は出荷先と、国内における用途に分かれている。出荷先の調査結果を見ると、2012年第1四半期の総出荷量は61万3523kW。直前の四半期である2011年度第4四半期の総出荷量は55万4267kW。総出荷量は約10%伸びている。図1のグラフを見ると、国内出荷品、輸出品ともに数を伸ばしていることが分かる。
一方、総出荷量に対する構成比率を見ると、輸出品の比率が30%から27%に減少し、国内出荷分の国内生産品は52%から51%と微減した。比率が上がったのは国内出荷分の輸入品だ。18%から22%に上がっている。国内の需要が増加し、増加分のうちかなりの部分を輸入品が占めていることが分かる。
国内出荷分の総出荷量は44万5289kW。2011年度第4四半期と比較すると約14%の伸びだ(図2)。用途別に見ると、大部分が住宅向けという傾向は昨年度の調査結果と変わらない。住宅向けの出荷量の総出荷量に対する割合は約86%にもなる。2012年度第1四半期の住宅向け出荷量は38万3329kW。2011年度第4四半期と比較するとおよそ16%伸びている。
国内出荷分の中で特に大きく伸びたのが発電事業用だ。2011年度第4四半期の出荷量は7708kWにとどまっていたが、2012年度第1四半期では2万9838kWと、4倍近い伸びを見せた。これは、さまざまな業者が固定価格買取制度の開始を見据えて、太陽光発電システムに投資し、売電事業を始めたことによる。売電事業を始める業者はどんどん増えているので、今後発電事業用の出荷量はさらに伸びていくと予想できる。
一方、オフィス、工場、病院などで利用する非住宅向け製品の出荷量は3万1345kWにとどまった。2011年度第4四半期と比較すると、約39%の減少だ。しかし、今後このような大規模な建築物で電力を自給自足しようという動きが本格的になれば、この部分の出荷量も伸びていくだろう。
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