なるべくお金をかけないで済ませる、照明の節電対策5つのポイント:LED照明(2/2 ページ)
LED照明など、消費電力が少ない照明器具を導入する企業が増えている。空調と異なり、照明は1年間同じように使うもの。照明機器が消費する電力を削減できれば、その効果は1年中続く。しかし、節電対策にあまりお金を掛けられないという企業もあるだろう。本稿では、なるべくコストをかけずに、照明にかかる電力を削減する方法を解説する。
作業する机上を十分明るくする
大抵の場合、オフィスの照明はかなり明るいものだ。しかし、そこまで明るく照らす必要があるのだろうか? 実は天井照明は暗めにしても問題はない。例えば、天井照明を一部消灯したとしても、従業員が作業する机上が十分に明るければよいのだ(ただし、一部の蛍光灯を照明器具から外して、点灯する蛍光灯の数を減らす「間引き点灯」には注意が必要。この点については後述する)。
実は、オフィスにおける机上の明るさについてはJIS規格が基準を定めている。JIS Z91110の「事務所の照度基準」によると、パソコンのキーボードを操作するような事務所では、机上の照度は750lx(ルクス)以上でなければならないとある。
天井から光を照らして机上の明るさを750lxにするには、強い光を放つ必要がある。そして、強い光を放つ照明は大きな電力を消費する。しかし、机上を照らす手段を天井照明に限る必要はない。天井照明を暗くしたとしても、何らかの方法で机上を明るく照らせばよいのだ。
これは、「タスク・アンビエント照明」という考え方だ。天井照明を暗くしたとしても、作業する机上にタスク照明を設置して750lx以上の明るさで照らせばよいのだ(図3)。ただし、あまりに天井照明を暗くしてしまうと、机上との明るさの差が大きくなってしまい、眼を疲れさせるので注意しよう。
最近のタスク照明は光源にLEDを使用したものが広く普及しており、安価に入手できる。ごく近いところから机上を照らすので、弱い光でも十分明るくなる。例えば図3の製品の消費電力は7W。実売価格は5000円程度だ。
間引き点灯は慎重に
最後に、一部の蛍光灯を照明器具から外す「間引き点灯」についての話だ。節電のつもりで間引き点灯をしているという人は少なくないが、実は照明器具の機種によっては、間引き点灯をすると問題が発生する。
例えば、蛍光灯を外したとしても照明器具の安定器に電流が流れ、安定器が電力を消費してしまうということもよくある。こうなると、節電を期待して蛍光灯を外したのに、期待したほど節電効果を得られないということになる。
蛍光灯を外すと、蛍光灯を点灯させている時よりも大きな電流が安定器に流れ、高熱を発するということもある。通常よりも大きな電流が流れると、分電盤の容量を超えてしまい、ブレーカーが落ちてしまうこともある。
蛍光灯を間引き点灯をするときは、照明器具のメーカーに問い合わせ、間引き点灯をしても問題が発生しないかどうかを確認したほうがよいだろう。
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