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エアコンなどの制御も可能、ECHONET Liteで家電と通信するHEMSエネルギー管理

家電向け通信プロトコル「ECHONET Lite」は事実上の業界標準プロトコルとなっているが、ECHONET Liteを利用して通信する製品はまだ少ない。パナソニック エコソリューションズ社は、ECHONET Liteで家電と通信し、家電を制御するHEMSを発売する。

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 パナソニック エコソリューションズ社は、HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)の新製品、「AiSEG(アイセグ)」を2012年10月21日に発売する(図1)。AiSEGはデータ処理や家電制御の機能を持つ本体と、電力消費量などを計測する「エネルギー計測ユニット」に分かれている。エネルギー計測ユニットは、住宅の分電盤に接続し、住宅全体で消費している電力量と、回路ごとの消費電力量を検知する。検知したデータはAiSEG本体に無線で送信する。価格は本体が4万2000円(税込、以下同様)。エネルギー計測ユニットが7万350円。合計価格は11万2350円。


図1 AiSEGの本体(左)とエネルギー計測ユニット(右)

 AiSEGの最大の特長は、ECHONET Liteを活用している点にある。先に説明した、エネルギー計測ユニットと本体の間の通信にもECHONET Liteを利用している。さらに、エアコンやIHクッキングヒーターと通信し、これらの機器の運転状態を制御することも可能。

 例えばエアコンなら、AiSEG本体から制御信号を出し、運転開始から30分かけて少しずつ設定温度を変更していき、電力消費量を抑えられる温度(冷房の場合は28℃、暖房なら20℃)に設定することができる。

 また、エアコンの室外機に付いている温度センサーで外気温を計測し、決まった温度になったところで、テレビなどの表示機器にメッセージを表示するということもできる。外出先からスマートフォンなどを利用して、エアコンの運転状態確認や運転停止の指示を出すといったことも可能。

 IHクッキングヒーターには、AiSEGから家庭内で消費している電力量のデータを送信する。IHクッキングヒーターはデータから使用可能な電力量を判断して、その範囲で動作する。

 太陽光発電システムとヒートポンプ給湯機(エコキュート)を接続すると、太陽光発電システムが発電した電力が余ったときに、余った電力でエコキュートを動作させ、お湯を自動的に沸かすということも可能。

 エネルギー計測ユニットが検知した消費電力量のデータはAiSEG本体が集計する。AiSEGを利用する際には、本体を家庭内LANを通してインターネットに接続する必要があるが、データの集計に外部サーバを利用することはない。集計結果は家庭内LANにつながっているパソコンやスマートフォン、テレビといった機器からWebブラウザで確認できる。また、AiSEG発売に合わせて、集計データ確認用のモニターも発売する(図2)。価格は9万8700円。


図2 AiSEG専用モニター。消費電力量だけでなく、太陽光発電システムで発電した電力量や、蓄電池に充電した電力量、電力会社からの受電量を表示できる

 ECHONET Liteは業界標準プロトコルになっているが、AiSEG発売当初は通信可能な製品を同社の新製品のみとする。これは、ECHONET Liteにインターネット標準プロトコルである「TCP/IP」を組み合わせる構想などについて、業界内で合意ができていないという事情や、メーカー間で無線通信の方式が異なるという事情が関係している。

 例えば、東芝ライテックが発売しているECHONET Lite対応HEMSは無線通信にBluetoothを利用するが、AiSEGは920MHz帯の特定小電力無線を利用する。パナソニック エコソリューションズ社は、他社製品との接続については今後検討していくとしている。さらに、AiSEGは本体内のソフトウェアを書き換えることで、新しい通信方式に対応するなど、新機能を追加できることも明らかにしている。ソフトウェアの書き換えは、AiSEGがインターネットにつながっていれば、自動でできるという。

 AiSEG対応エアコンは2012年10月19日から、対応IHクッキングヒーターは2012年10月21日から販売を始める。

 パナソニック エコソリューションズ社は今後、ECHONET Liteで通信できる家電製品の種類を増やすだけでなく、スマートメーターと接続してデマンドレスポンスに対応する機能や、電気自動車の電源を家庭で利用するV2Hに対応する機能などを追加していく予定だ。

 AiSEGの本体とエネルギー計測ユニットは、経済産業省の平成23年度「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金(HEMS導入事業)」の補助対象となっており、購入者は10万円の補助を受けられる(モニターは対象外)。補助金を計算に入れると、AiSEGの本体とエネルギー計測ユニットを1万2350円で購入できるということになる。

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