火力発電が競争入札に、2017年度の調達分から:法制度・規制
電力会社による火力発電に関して、今後は競争入札を導入することが正式に決まった。これまで電力会社は自社で火力発電設備を建設しており、高い発電コストの一因になっていると指摘されていた。小規模な火力発電は2017年度、大規模な場合は2019年度の調達分から入札の対象になる。
先ごろ政府が発表した「革新的エネルギー・環境戦略」では、原子力発電を撤廃するための方策のひとつとして、火力発電を増強することを掲げている。その方策を後押しする新たな指針を経済産業省がとりまとめた。
電力会社が将来に調達する火力発電に関しては競争入札を原則とし、発電コストを可能な限り低減することを目指す。入札の対象になるのは発電規模が1000kW以上で、7年後の2019年度以降に調達または運転を開始する火力発電である。ただし発電規模が10万kW以下の場合は準備期間を短くできるため、5年後の2017年度分から入札の対象になる。
すでに東京電力は5月に認可を受けた「総合特別事業計画」の中で、2019年度〜2021年度に増強する予定の火力発電260万kW分について、入札方式に切り替えることを明示している(図1)。ほかの電力会社も同様に競争入札で火力発電を増強することになる。
競争入札は電力会社が実施する形をとり、電力会社みずからが自社で設備を建設する形で応札することも認める。電力の供給期間は15年間を原則とする。従来からの電気事業者のほかに、広大な遊休地や遊休施設を所有する一般企業が新規事業として参入する可能性もある。
入札結果については応札者との契約金額などを公表する。電力会社が電気料金を決定するベースとなる原価にも反映する。競争入札によって火力発電の調達コストが下がれば、再生可能エネルギーによる調達コストの増加をある程度はカバーできることになる。
関連記事
- 原子力に依存しない「革新的エネルギー・環境戦略」が決まる
2030年に向けたエネルギー供給体制を構築へ - 天然ガス発電所で110MW、新電力の日本テクノが千葉で運転開始
14基のガスエンジンをフル稼働 - 電力改革のグランドデザインが固まる、小売・供給・送配電を開放へ
電力会社に依存した閉鎖的な体制から脱却 - 電力会社に依存しすぎない日本へ、電気事業の参入企業が増える
企業に電力を供給できる「特定規模電気事業者」 - 電力ネットワークの役割は「送電」と「配電」
サマーセミナー/電力の基礎知識(4)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.