初期投資ゼロで蓄電池を、レンタル事業の検討開始:蓄電・発電機器
「家庭用の据え置き型蓄電池を、初期投資ゼロで利用できる」。今ではとても考えられない話だが、レンタルという形でこれを実現するために3社が共同で検討に入った。
NEC、エプコ、オリックスの3社は、家庭向けの据え置き型蓄電池をレンタルで提供する事業で協業することを明らかにした。当面は事業可能性の検討を重ね、見込みが立ったら共同で新会社を設立し、事業を始める計画だ。
現在の計画では、NEC製の家庭向け据え置き型蓄電池(蓄電容量は5.53kWh)を、希望する世帯に長期レンタルという形で提供することを予定している(図1)。レンタル提供を受けるユーザーは毎月のレンタル料を支払うだけで済む。導入時に高額な初期費用がかかることはない。
レンタル料は蓄電池を活用した電力コスト削減分で支払える金額に設定する。割安な深夜電力を蓄電し、電気料金単価が高い昼間に蓄電池の電力を利用することで、毎月の電気料金と基本料金を下げることができる。レンタル料金をその下落分よりも安く設定するということだ。
ユーザーにレンタルする蓄電池にはインターネット接続機能が備わっており、データセンターと通信して、蓄電状態などのデータを送信することができる。この機能を利用して、蓄電池を遠隔地から常時監視する。故障や蓄電池の異常な消耗を検知したら、修理、交換を実施する。
ユーザーからの問い合わせを受け付けるコールセンターも用意する。このほか、スマートフォン向けに節電情報を提供するアプリケーションを配布したり、気象情報から翌日の電力需要を予測して、その情報を節電アドバイスとともにユーザーに提供するなどのサービスを計画している。
将来は、蓄電池利用者同士で電力を融通しあう仕組みや、利用者全体でピークカットする仕組みの提供、ネガワット取引の実施なども検討している。
この事業に参加する3社の役割分担は以下の通り、NECは家庭向け据え置き型蓄電池を提供するほか、蓄電池を管理、制御するデータセンターの提供と管理、電力需要の予測結果の提供などを担当する。
エプコは蓄電池を利用する各家庭の節電コンサルティングや、電気設備の設計、スマートフォンへの情報提供、コールセンター業務などを担当する。
オリックスはリース・レンタル事業のノウハウを活用して、蓄電池長期レンタルにおけるレンタル費用の算出など、事業計画の構築や、普及促進に向けた営業活動を担当する。
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