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日本最大の火力発電所で使っている燃料はどれ?ウイークエンドQuiz(2/2 ページ)

原子力発電所が停止している現在、電力会社は大半の電力を火力発電所で作っている。では、日本最大の火力発電所ではどのような燃料を使っているのだろうか?

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正解:

 c.石油

ミニ解説:

 2012年10月現在、日本最大の発電能力を有する火力発電所は東京電力の鹿島火力発電所。石油を燃料とする発電設備が合計6機あり、すべて1970年台に運転を開始したもの。出力は1号機から4号機までがそれぞれ60万kW。5号機と6号機がそれぞれ100万kW。6機の合計出力は440万kW。

 しかし1979年に発生した第二次オイルショックを受けて、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)は同年の5月に「石炭利用拡大に関するIEA宣言」を採択した。石油が足りないから石炭をもっと活用しようということを謳ったものだ。これにより、石油を燃料とする火力発電所の新設ができなくなった。鹿島火力発電所は東京電力としては最後の、石油を燃料とする発電所となった。

 鹿島火力発電所は、運転開始から長期間発電を続けていたが、東日本大震災をきっかけにその姿を変えていく。震災とそれに伴う津波で大きな被害を受け、大部分の発電設備が停止してしまったのだ。

 東京電力は復旧を急ぐとともに、緊急対策として鹿島火力発電所に発電設備を増設することを決めた。増設した発電設備は、都市ガスを燃料とするガスタービン発電設備だ。発電能力が26万8000kWの発電設備を3機増設する計画を立て、2012年7月に3機とも稼働を始めた。既存の発電設備と合わせると、発電能力は520万4000kWとなった。


鹿島火力発電所の航空写真。第7-1号機、第7-2号機、第7-3号機が震災後に加わった設備

 東京電力は3機のガスタービン発電設備の出力を、さらに高める計画も進めている。「コンバインドサイクル」と呼ぶ方式に改造する計画だ。現在鹿島火力発電所に設置してあるガスタービン発電設備は、ガスを燃焼させてタービンを回して発電するだけだ。

 コンバインドサイクル方式に改造すると、ガスを燃焼させた時に発生する熱を利用して水蒸気を作り、別のタービンも回して発電する。コンバインドサイクル化により発電設備1つ当たり、出力が14万8000kW増加する。現在のガスタービンだけによる発電能力と合計すると、発電設備1台当たりの出力は41万6000kW、3台合計すると124万8000kWまで上昇する。発電所全体の出力は564万8000kWまで上がる。コンバインドサイクル化の工事は2016年7月に完了する予定。

 古い技術に基づく、古い設備で長期間稼働してきた鹿島火力発電所は、最新技術により生まれ変わろうとしている。

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