外気と排出熱の温度差を利用、自然換気で冷却できるデータセンター:省エネ機器
データセンターが消費する膨大な電力を削減するため、サーバーを効率良く冷却する方法を各社が研究している。NECほか3社は冷たい外気とサーバーが排出する熱気の温度差を利用するデータセンターを開発した。
データセンターの開発はNECが東洋熱工業、NECフィールディング、NSKと協力して進めた。現在動作している試作品は輸送用コンテナに機器を詰め込んで作ったものだ(図1)。
このデータセンターは、外壁の下の方から冷たい外気を取り入れる。その空気がサーバーを通過するとサーバーを冷却し、熱気となって出てくる。熱気は上方に舞い上がり、吸気側とは反対側の壁の上方にある流出口から外部に出ていく。熱気が出ていくと、吸気口から外気が入り込むので、冷却に必要な気流が自然にできるという仕掛けだ。
外気を取り込む量を調節すれば、東京では1年間の65%の期間は自然換気でサーバーを問題なく動作させることが可能だ。冬の空気が冷たい札幌では、自然換気で動作させることができる期間は1年間のうち62%になる。換気用のファンを取り付ければ、運用可能な期間は東京で70%、札幌で68%まで伸びる。
NECは今後の課題として、暑い環境で動作させることと、寒冷な環境で動作させることを挙げている。その結果、日本各地で1年中利用できるようになる。極端に暑い環境で動作させるには、外気冷却だけでは不十分ということが分かっている。サーバーを冷やすためにはエアコンを導入する必要があるが、なるべくエアコンに頼らずに済むようにエアコンの使い方などを研究するとしている。
寒冷な環境では、外気温がサーバーが正常に動作する温度を下回ることがある。この場合、外気の取り込み量を絞って、内部にファンを設置して暖かい空気をある程度循環させる必要がある。
NECは2013年中にこの技術を利用したデータセンターを完成させ、2014年には販売を始めることを予定している。販売開始時には、東京で動作させたときにPUE(Power Usage Effectiveness)値が1.1以下となることを目指すとしている(PUEはデータセンターの電力効率を示す尺度。1に近いほど、効率が良いことを示す)。
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