ニュース
再エネ利用率を8割以上に、八丈島の地熱発電を大幅拡張:自然エネルギー
東京都環境局は八丈島の地熱発電所を大幅に拡張する計画を明らかにした。地熱発電所の出力を3倍に引き上げ、再生可能エネルギーの利用率を80%以上まで高めることを目指している。
現在、八丈島では東京電力が「八丈島地熱発電所」(図1)を運営している。東京都によるとその出力はおよそ2MW(2000kW)だ。八丈島では電力のおよそ25%を地熱発電でまかなっている。残りの75%は軽油を燃料としたディーゼル発電機から得ている。
今回明らかになった計画では、地熱発電所の出力を現状の3倍程度(6MW)まで拡張する。さらに出力が1.2MW(1200kW)程度の揚水発電所を建設する。
6MWもあれば、夜間は地熱による電力だけで十分間に合うので、余った夜間電力を利用して揚水発電所の水をくみ上げる。昼間になり、地熱だけでは電力供給が間に合わなくなったら、揚水発電所の水を落として電力を得る。それでも足りないときは、現在利用しているディーゼル発電機を稼働させる(図2)。猪瀬直樹東京都知事は、ディーゼル発電機を「非常用」と位置付け、夏のピーク時を除けば、ディーゼル発電機を稼働させなくても済む可能性が高いとしている。
地熱発電所の発電能力を拡張し、揚水発電所と組み合わせることで、八丈島で必要な電力の86%を再生可能エネルギーでまかなえると東京都は見ている(図3)。
図3 左側は現在の八丈島の電力源。地熱による電力が25%で、残り75%がディーゼル発電機によるものだ。右側は地熱発電所の出力を拡張した後の計画。揚水発電所と組み合わせることで80%以上の電力を再生可能エネルギーでまかなえる。出典:東京都
東京都は2012年度中に地元関係者や学識経験者を集めて検討委員会を発足させ、事業の進め方などを検討する。2013年度には実現可能性の調査やコスト計算を実施し、事業の進め方を確定させる予定だ。その後2014年度に整備事業という形で事業開始を目指す。
関連記事
- 未利用の温泉水で発電、地元の反対を乗り越えて開始へ
長崎県の小浜温泉では利用しないまま海に流している温泉水を活用して発電事業を始める - 温泉の湯気を利用して発電、2012年度末までデモを公開
温泉の湯気を利用して発電する「低温度差発電装置」を導入 - 地熱発電の巨大な潜在力、新たに「温泉発電」も広がる
温泉水を利用した小規模で低コストの「温泉発電」も広がってきた - 4つの再生可能エネルギーに注力、環境省が2030年の拡大戦略
注目度が低い洋上風力、地熱、バイオマス、海洋エネルギーを活用 - 熱を利用した再生可能エネルギーの導入加速へ、40億円の補助金制度が始まる
自然の熱を利用した再生可能エネルギーの拡大計画
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.