北海道の供給力が5万kW増加、新日鉄住金が自家発電設備から:電力供給サービス
今冬の電力需給が心配されている北海道で、室蘭製鉄所を運営する新日鉄住金が自家発電設備から北海道電力へ供給する電力を計画よりも早く増加させたと発表した。従来の火力発電設備を高効率の新型に入れ替えて発電能力を5万kW高めた。北海道全体の供給力の1%弱に相当する。
新日鉄住金は室蘭製鉄所に導入する新しい自家発電設備の試運転を計画よりも1か月半ほど前倒しして北海道電力への供給を開始した。すでに昨年12月20日から北海道電力へ送電を始めており、1月7日から定格出力12万5000kWで電力を供給できる体制に入ったことを明らかにした。
室蘭製鉄所に導入した火力発電設備(図1)は「再熱再生型汽力発電」と呼ばれるコンバインドサイクル型の一種である。発電に使った蒸気を再加熱し、さらに給水加熱することで、蒸気タービンによる発電効率を高める方式だ。
従来は2万5000kWの発電能力がある旧式の設備を3基で構成して合計7万5000kWの電力を供給していた。新型の高効率な設備は1基で12万5000kWの発電能力があり、一挙に5万kWの供給力を増やすことができた。
北海道電力の今冬の供給力は当初600万kW前後を見込んでおり、今のところ電力不足の心配はない。ただし複数の発電設備で同時にトラブルが発生した場合に電力が不足する可能性があるため、7%以上の節電目標が設定されている。室蘭製鉄所からの電力供給が5万kW増えたことで、さらに需給状況に余裕が生まれることになった。
新日鉄住金は2012年10月に新日本製鉄と住友金属工業が合併して発足した日本最大の製鉄会社である。旧・新日本製鉄は主力の製鉄所に大規模な火力発電設備を導入して、製鉄の過程で発生する熱やガスを活用した自家発電に取り組んできた。この数年間で各製鉄所の発電設備を高効率な新型に更新して発電能力を増強中である(図2)。
関連記事
- 厳寒でも余裕がある北海道の電力、原子力なしでも節電で乗り切る
複数の発電設備にトラブルが発生しない限り - もう増えることのない電力需要、省エネと創エネで原子力は不要に
太陽光発電やガスコージェネの拡大が後押し - 東京都の新エネルギー戦略、640億円を投じて自立分散体制へ
火力発電所の建設や大型蓄電池の配備などを推進 - 今すぐ始めよう!冬の節電対策 −北海道特別編−
電力不足のリスク低減と同時に電気料金も削減 - 供給不足による停電も十分考えられる、今冬の北海道の電力事情
「北海道・本州間連系設備」の送電能力が低い
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.